「知らない人んち(仮)」#1視聴しました! & #2お題を考えてみた
初めまして、黒羽翔(くろばね しょう)です。
普段は小説を書きながら、Youtubeでテレビドラマ評論を行っています。
筧美和子さんが演じている「きいろ」ちゃんと似たような境遇です。
「知らない人んち(仮)」#1についての評論も早速動画にしております。
https://www.youtube.com/watch?v=FPlzbl4F4os
視聴者編は、数多くの視聴者の意見が提出され選抜されたことと、これらをプロデューサーや監督、構成作家さん等が手堅く再構成したおかげで、プロが作った作品のように高いレベルに仕上がっていて、非常に驚きました。
一方、プロ脚本家編については、一視聴者としてかなり辛口に批判することになってしまいました。SFを得意とする脚本家さんと云うことでしたが、私自身がSF小説を書いている身だったのでハードルが上がってしまいました。今回の話を担当したプロ脚本家の先生も、まだまだレベルアップ出来ると思うので頑張って欲しいです。
このテレビドラマの企画は、放送の1か月前から存じあげていましたが、私は応募しませんでした。
理由は、送ったメールがラジオ番組で読まれたり、アマチュア小説家として小説を電子書籍で出版したりした経験がある私でも、この企画はあまりにハードルが高過ぎると思ったからです。一般の方だけでなく、プロにとっても今回の企画は非常に難しい。
せめて「ロケは家の中1軒だけ」「若手のキャスト4人」って状態ならば難易度は低かったでしょうが、設定を事前に決められた中で「はい、やってみろ」と云う場合、テレビ業界ならば大抵原作小説や原作漫画があるものですが、今回はそれすらありませんから、クレイジー!としか言いようがありませんでした。
よって、自分の実力を発揮することが出来ないと考えた私は第1話には参加しませんでしたので、第1話のアイディアを投稿した約600人のnoteクリエイターには敬意を表します。無謀だと分かり切っていることに挑戦したスタッフをはじめ、キャスト、一般視聴者達は本当に素晴らしい。
さて、第1話に関しては応募せず様子を見ることにしましたが、これだけ大勢の方が自分のアイデアを勇気をもって出しているわけですから、私もテレビ局が作ったテレビドラマの批判ばかりしていないで、アイデアをちゃんと提案したいと思います。
その前に、プロデューサー様がまとめてくれたヒントを先に羅列します。
以下、謎の整理をしてみました。
1、「ニゲテ」のメッセージを書いたのは誰?
2、アクが心の病気というのは本当?ウソ?
3、3人の正体は?
4、アクの監視カメラの目的は?
5、なぜきいろが子どもの頃に描いた絵がこの家にあるのか?
6、暗室には何があるのか?
まず、このドラマは全4回で、「起承転結」や「三幕構成」で云う「起」「1幕目」の部分が第1話で明かされました。
つまり、第2話・第3話で行わなければならないのは「承」の部分、三幕構成で云うと「2幕目」に入ります。
もし「起承転結」や「三幕構成」の意味が分からなかったら、構成作家の先生から説明を受けて下さい。確実に知っています。
「承」「2幕目」で行わなければならないのは、「主人公が問題を解決しようとする描写」です。「問題を解決する」のではありません。「問題を解決しようとする」ことです。テレ東さんもお得意の2時間ドラマで云えば、殺人事件が起きるまでが「1幕目」刑事や探偵が事件の真相を追っていくパートが「2幕目」に入ります。そして「真相が解明される」のが「3幕目」になります。
ここで重要なのは「三幕構成の基本測」で「1幕目(設定紹介)/2幕目(真相の追求)/3幕目(謎の解明)」の時間配分は、1幕目は1、2幕目は2、3幕目は1の割合(1:2:1)にするのが定説です。
勿論、1分1秒寸分の狂いなく、この割合を厳守しろとは云いませんが、他局のテレビドラマにはこの基本則を守らなかったせいでつまらなくなってしまった作品もいっぱいあります。
「ソフトストーリー」に区分される、主人公の人生を描写することに重きを置いた作品(分かり易い例は女優・のんが声優を担当した「この世界の片隅に」)では「三幕構成」を意識する必要は無いのですが、「知らない人んち」は明らかに娯楽物と考えて良い作品なので、「三幕構成」の基本を守って製作した方が無難だと思います。テレビ東京さんで言えば、前のクールで「Iターン」と云うムロツヨシさん主演のテレビドラマがやっていましたが、あの作品も「1クール全体で3幕構成」の手法が取り入れられていました。
よって……
■(結論その1)「知らない人んち(仮)」も全4話を3幕構成の手法を使って、ストーリー全体を構成した方が良いと思います。
これは構成作家さんも賛同してくれるのではないでしょうか?
プロデューサー様がまとめてくれた6つのヒントを考える前に気を付けなければいけないのは、第2話で「この6つを全て明らかにしてはいけない」と云うことです。
特に3番目の「3人の正体は?」については、この作品の言わば「承」の部分の核だと思いました。また、放送を続けていく中で、面白いアイデアを視聴者の皆さんが提出するかもしれないので、このパートは第2話では明らかにしないように構成すべきだと思います。
幸運なことに、第1話が終わっても3人の正体の謎が残されましたので、
■(結論その2)「3人の正体は?」を明かすのは第4話、もしくは第3話の終盤にすべきだと思います。
また「5、なぜきいろが子どもの頃に描いた絵がこの家にあるのか?」も彼女の出自に大きく影響して来る設定なので、第2話で明らかにするのは少々早過ぎる気がします。仮に良いアイデアが集まったとしても、第2話のなるべく後ろの方が良いかもしれません。
ただ、構成作家さんに強制する権限はありませんから、話し合いを通じて監督やプロデューサーなどとも話し合って、決めて下さい。
一方、その他の謎、
1、「ニゲテ」のメッセージを書いたのは誰?
2、アクが心の病気というのは本当?ウソ?
4、アクの監視カメラの目的は?
6、暗室には何があるのか?
については、第2話で解明していく方が良いと思います。
ただ、謎が減っていくばかりでも難しくなってしまうので、逆に謎が増えるような描写があっても良いかもしれません。
例えば、杖やケージのフラッシュバックから「きいろちゃん」の昔飼っていたペットやおじいちゃんおばあちゃんの存在を思い出して、真相に近付いていくような描写があっても面白い。
■1、「ニゲテ」のメッセージを書いたのは誰?については、
やはり、女性陣の長井短さんか、秋山ゆずきさんのどちらかにしなければ、お話にならないと思います。僕は秋山ゆずきさんが適任だと考えます。
ただし、濱津隆之さんが出られるということですから、他の登場人物に設定しても良いかもしれません。
逆に、アク(戸塚純貴さん)にはしてはいけないと思います。
■2、アクが心の病気というのは本当?ウソ?
これは当然ウソでなければお話にならないので、ウソです。ただし、「心の病気」と云うのは、あくまで秋山ゆずきさんが筧美和子さん相手に話をはぐらかすために言ったことなので、第1話では「分からないフリをしていた」ということにしても、終盤でアクが大活躍するような見せ場を用意出来る病気の設定は可能だと思います。
■「4、アクの監視カメラの目的は?」と重ねて、アクは「Youtuberコレクター」と云う病的な趣味(つまり、心の病気と云うのは具体的な精神疾患ではないが、広い意味では間違いではない)を持っていて、長井短さんも秋山ゆずきさんも彼に洗脳されたり、脅迫されたりして同居するようになった元Youtuberと云う設定にすると良いかもしれません。つまり、女性陣二人は「アクのコレクション」です。監視しているのも、アクが彼女達を視て嗜むためです。この真相を第4話辺りで知った筧美和子さんは悪趣味だとアクを罵るのですが、アク曰く「だって、あんただってYoutuberで人に見られる仕事をしてんでしょ? 自分のコレクションを見ていて何が悪い!? 見られることがYoutuberの本望だろ!?」などと言って逆上し、コレクションになることを拒否したために、アクに襲われたりすると良いでしょう。
長井短さんも秋山ゆずきさんも完全にアクに惚れ込んでいるのですが、スタンスに微妙に違いがあります。
長井短さんはアクに完全に洗脳されていて彼のためなら何でもする人ですが、秋山ゆずきさんは葛藤を抱えながらもアクと永遠に生きる決心を固めている女性として描くと、前の話の涙の理由にも繋がります。
この案が採用されたら、タイトルは「みられるコレクション」「Youtuberは見られてなんぼ」「女の子達は見られてます」とかかなぁ……
■6、暗室には何があるのか?
暗室の謎は難しいですが、まだ第2話で開けるのは正直早いかな……。
第2話のラストは、夕食を終えた後、隙を見計らって扉を開けたら……!?って感じにして、第3話に丸投げしても良いかもしれません(笑)
また第1話の冒頭で長井短さんが隠していたモノは、第4話の最終回で明らかにする形にした方が良いと思っています。
ブックエンド形式で最初と最後が繋がると云うのが一番綺麗に終われる。「謎は何なのか?」も大事ですが、「謎を何話で明らかにするか?」が大事だと思います。
キャスト、スタッフの皆様がより良い番組を製作出来ることを祈っております。