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サッカーをもう一歩深く見るためのポイント ②ビルドアップ
サッカーをもう一歩深く見るためのポイント、2つ目はビルドアップについてです。
※この記事のベースとなる「サッカーの本質」が⇩の記事の0章に書いてあります。読んでいただければ理解が深まるはずです!
簡単にまとめると…
サッカーの本質
①前進する
②最後は中央を目指す
こちらを踏まえたうえでお読みください。
2.ビルドアップ
ボールを持つチームがパスを繋ぎ、自陣から敵陣への前進を目指すこと
ビルドアップは攻撃の戦術の一部。サッカーの本質の1つ目、「前進する」場面で使われるものです。
ビルドアップの目的
英語表記では ”build up” 、直訳すれば「築き上げる」。ビルドアップはまさにその言葉通り、ゴールへの道筋を築き上げるためのものです。
0章で使った図で説明すると、水色の部分にあたります。
どんなチームであれ、得点するためにはゴールが狙えるエリアまでボールを持ちながら前進しなければなりません。この過程こそがビルドアップです。
ビルドアップをする上でのポイント
ボールを持っているチームはビルドアップで前進することを目論みますが、ボールを持っていないチームは「プレッシング」によって前進を阻もうとします。これが上の図の黒色の部分にあたります。
(プレッシングについては別の記事で解説します⇩)
なぜビルドアップに対してプレッシングを仕掛けるのか?
これを簡単に説明すると次のようになります。
ビルドアップ時、ボールは(ボールを持たないチームから見て)ピッチ中央~敵陣側
○ビルドアップの最中にボールを奪うと…
・ゴールに近い位置から攻撃スタート
・ゴールまでの間に相手選手が少ない
・相手選手は攻めの意識が強く、ゴールを守る意識が弱まっている
→ゴールを決めやすい
つまり、プレッシングは得点チャンスに繋がり得るのです。強烈なプレッシングをかけてミスを誘い、ボールを奪って一気に攻め込む戦術を採用するチームは世界中で見られます。
ビルドアップを重視するチームとしては、毎度毎度プレッシングに引っかかり、逆に相手に攻め込まれてしまってはかないません。ですから、ビルドアップでは相手にボールを渡さないよう、冷静に、慎重に、丁寧に行わねばならないのです。一か八かのパスをするのはご法度です。これが最重要ポイントとなります。
また、ビルドアップの主役となるのはGKやDF、ボランチです。ビルドアップを重視する場合、彼ら後方の選手には相手のプレッシングの中でも冷静にパスを繋ぐ能力が求められます。
ビルドアップの主なやり方
1)ロングボールによるビルドアップ
仕組みは次の通り。
相手DFライン裏のスペースに走り込む選手や、長身の選手めがけて蹴っとばす! 以上!
あまり「ビルドアップ」と呼ばれることもないですが、ボールを前に運ぶ、という点でれっきとしたビルドアップです。
先ほど言ったとおり、ビルドアップを重視する場合にGKやDFにはパス能力が求められます。しかし、十分にパスを繋ぐ能力を兼ね備えていないGKやDFもいます。彼らを起用する必要がある場合のリスク回避策としてこの手法があるのです。
もちろん、足が速くDFの裏に抜け出すのが得意なFW、背が高く競り合いに強いFW、ロングパスの精度が高いGKやDFの能力を活かすやり方ともいえます。
2)ショートパス主体のビルドアップ
よく「ビルドアップ」と呼ばれるのがこちら。キケ・セティエンの指揮するバルセロナは典型的です。
このやり方では相手のプレッシングを受けやすいため、チームごとに様々な工夫を凝らします。手法は様々ですが、大まかに説明すればこの2つの組み合わせです。
①前の選手が動いてパスコースを作り出す
②後ろの選手が動いてパスコースを作り出す
①前の選手が動いてパスコースを作り出す例
この場面ではボランチがCBの間に入って3バックになり、数的優位を形成しています。
②後ろの選手が動いてパスコースを作り出す例
この場面では4人のDFがスライドして3バックを形成することにより、数的優位を形成しています。
選手が動いてフォーメーションを変化させてしまうことによって、相手チームの選手は誰が誰にプレッシャーをかけるべきか曖昧になり、混乱が生じます。この隙を狙ってパスを繋ぎ、前進するのです。
こうした動き方は選手の特性、相手チームの傾向によって異なるため、同じチームでも試合ごとに変化することがあります。
まとめ
複雑な話もありましたが、見るべきポイントはこの2つにまとめられます。
ビルドアップのポイント
・GKやDFにパスを繋ぐ能力があるか
・選手がどのように動き、前進ルートを作り出しているか
ビルドアップは各チームの色が出やすく、変化もわかりやすい場面です。ビルドアップに特徴があるチームを見てみるとサッカーがまた面白くなるはずです!