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サッカーをもう一歩深く見るためのポイント ④中間ポジション(攻撃)
サッカーをもう一歩深く見るためのポイント、4つ目は中間ポジションについて。
これまではビルドアップ、プレッシング、カウンターといった局面ごとの話を主にしてきましたが、ここからはもう一歩踏み込んで、1つ1つのプレーがもたらす効果について掘り下げていきます。
※この記事のベースとなる「サッカーの本質」が⇩の記事の0章に書いてあります。読んでいただければ理解が深まるはずです!
簡単にまとめると…
サッカーの本質
①前進する
②最後は中央を目指す
こちらを踏まえたうえで読み進めてください。
④中間ポジション (攻撃)
複数の相手選手の間のポジションのこと。
「中間ポジションを取る」という用語は「相手選手の間にできるスペースに立つ」ことを意味します。守備陣の間にできるスペースはライン間やギャップと呼ばれますが、こうしたスペースで相手選手から離れて間に立ち、パスを受けることで得られるメリットを利用しようとするのです。
そのメリットは、簡単に言えば以下の2つ。
・フリーでボールを受けられ、簡単にゴール方向を向くことができる
・相手の守備の基準を狂わせ、ミスを誘発できる
早速例を挙げて見ていきましょう。
ライン間
守備陣形を作った際にできるDFラインとMFライン、あるいはMFラインとFWラインの間にできるスペースがライン間です。(下図黒色のエリア)
しかし、「ライン間」は多くの場合でDF-MF間のスペースのことを指します。ゾーンディフェンスが浸透した現代サッカーにおいては、このスペースを効果的に使うことが得点のカギを握ります。
次の動画はメッシがライン間で受けて相手CBを引きつけて裏を突いたシーン。4-4のブロックがいとも簡単に崩されてしまいました。
メッシが偽9番として相手のライン間にポジショニングを取り2ラインを引きつけ、2列目から味方の選手が相手の背後のスペースにランニング。お手本のような三角形の作りから3人目の動きまでの流れ。 pic.twitter.com/jJHDJ9yhu6
— Jun Takada / 高田 純 (@ney10jun) September 16, 2019
ライン間で受けるメリット
ライン間でボールを受ける際、パスを出す直前のタイミングで相手選手の間を取ることで、グラウンダーのパスをフリーで受けられる状態ができます。
そして、パスを受けて即座にターンすれば、相手のプレッシャーを受けることなくゴール方向を向けます。
こうなれば、ドリブル突破もスルーパスもシュートもなんでもござれ。複数の選択肢を持てるので、DFの対応に合わせて最適なルートでゴールへ迫ればよいのです。
上の図の場面で、相手の各選手がフリーで前を向かせまいとプレッシャーをかけてきた場合も考えてみましょう。
このように、ゾーン気味に守る相手に対してライン間で受ける動きをすることで、相手の守備の基準を狂わせ、穴を作ることができるのです。そして、守備陣が一つ穴を埋めようとすると次の穴が、次の穴を埋めるとまた別の穴が… という形で芋づる式に穴ができてしまうのです。
この穴を一つ一つ丁寧に突けば、自ずとゴールまでたどり着けるわけです。守備網の仕組みを利用することで、守備組織を容易く破壊させられるのです。
次の動画はライン間のポジショニングについてかなり丁寧に解説されているので、英語解説ですがぜひ見ていただきたいです。
効果的に間を使うために
ここまで中間ポジションでボールを受けることの利点を紹介してきましたが、中間ポジションで受けるためには、そこにスペースがないといけません。より広いスペースを得るためには、守備陣を縦に、横に広げる必要があります。
よって、間で受けることをチーム戦術として組み込む場合、サイドに張って幅を取る選手、そしてDFラインの裏を狙うことでDFラインを下げさせ深さを取る選手が必要不可欠です。
このように複数の選手が組織的に動いて守備陣を広げさせることで、間で受けることの効果を上げることができるのです。
注意すべきポイント
間で受けることの利点ばかり上げてきましたが、もちろん完璧なものというわけではありません。効果的でない場面やリスクについても押さえておきましょう。
・相手がマンツーマン気味で対応してきた場合
中間ポジションというのは、あくまで守備陣が攻撃手を一人ずつマークせず、スペースを埋めることを重視してゾーン気味で守ってきた場合に生まれます。マンツーマンで対応されればライン間という概念も意味がなくなってしまいます。その場合はポジションチェンジを駆使した方が効果的です。あくまで「人にあまりついていかない相手」を崩す手法なのです。
・パスカットされるとカウンターのリスク大
中間ポジションで待つ選手へ、相手の間を通すパスを届けてしまえば攻撃側が有利になります。でも、そのパスがカットされてしまったら?
次の画像は、ライン間へのパスがカットされた場面です。この時、カットした青の選手はフリーで前向きにカウンターを仕掛けられます。パスを受けようとした選手は、あえて相手から離れてパスを受けようとしたために、奪われた後に即座にプレッシャーをかけることができないのです。
ライン間を使おうとするチームなら誰しも通る道と言えますが、このような場面を減らすためには、パスの出し手の技術向上が求められます。パスのスピード、精度、パスコースを気取られないようなボールの持ち方 etc…
また、受け手の側にもある程度の能力が求められます。中間ポジションにただ突っ立って待っているだけでは相手にパスコースを読まれてしまいます。出し手がパスを出せるタイミングで的確に中間ポジションに入ることが重要なのです。更に、パスを受けた後に即座にターンできるかどうかも大事です。時間のロスなく前を向けるか否かで選べるプレーの幅は大きく変わります。
このように、中間ポジションを効果的に使うためには選手個人の能力も求められるのです。ピッチの状況を把握する力、最適なプレーを選択する力、正確にプレーを実行する力。これらを高水準で揃えられたなら、より効果が増していくということです。
まとめ
簡単にポイントをまとめます。
中間ポジション(攻撃)のポイント
①1本のパスで一気に有利な展開にできる
②スペースの作り方、使い方の工夫が必須
③上手く使えるかは選手次第
中間ポジションを上手く使える選手がいるだけでチームのレベルが上がると言っても過言ではありません。中間ポジションを巡る駆け引きはは得点に大きく関わってくるので、ぜひ注目して見てみてください!