『魂果』
あの日、悪魔に魂を売った。
念願の子供を授かったが、産まれる直前に、
流産しそうになった。頑張る妻をよそに、
男は無力だ。何も出来ない。だから願った。
「俺の寿命を減らして、子供を救ってくれ」
耳元で、無感情に乾いた声が聞こえた。
「二十歳。それを見届ける迄の命でいいか?」
何度も頷いた。そして、子供は産まれた。
あれから18年。健康診断で病魔が見つかった。
約束したからな。ずっと覚悟は出来てるぞ。
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