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小劇場の舞台好きが悪の忍者に救われた話〜『修羅王丸外伝 闇闘演舞伝』に愛を込めて〜

はじめまして、こんにちは。あとむと申します。
タイトルのままの長文自分語りになります。
(文章内の「好き」「面白い」「面白くない」はあくまで個人の感想です。特定の個人、団体等を指す意図は一切ありません)

自己紹介
名前:あとむ(由来はラーメンズ12回公演より)
好きな劇団は「シベリア少女鉄道」と「劇団イキウメ」好きな劇作家は川尻恵太さん。好きな俳優は久ヶ沢徹さん(62)

自己紹介する際には手っ取り早く「趣味:観劇・舞台鑑賞」「舞台好き」と公言していますが、人様に胸を張って言えるような高尚な見方はしていません。そもそも「舞台」って括りが広すぎるので……。

基本、板の上に演者が立って何かを表現していればどんなジャンルでも観ます。雨風吹きこむテント内での野外劇も楽しく観られるので、もはや板の上でなくてもOK。高校演劇の予選大会から、観客10人のカフェでの芝居、宝塚歌劇団まで何でも大好き。

大学時代からはアルバイト代を全額チケットに突っ込み、質より量の精神で観劇三昧を開始。観劇予定を立てやすいからと、カレンダー通り土日祝休みの会社に就職。会社から遠いのに、本多劇場ほか多くの劇場がある下北沢の近くに住み、数ヶ月先の日付の入ったチケットの束を励みに労働に勤しむ生活を送っていました(当時の観劇数は年間60本)。

一生こんな生活を送るのだろうと思っていたのですが、突如訪れたコロナ禍で全てが変わりました。
皆さん工夫され、配信等もとても有り難かったのですが、集中力があまり続かないので、外から遮断される劇場での観劇を好いていた私にはあまり馴染めませんでした。
落ち着くまでの空白の数年で好きだった劇場は閉館し、好きな表現者さんたちは舞台を降りたり、筆を折ったり、活動拠点を映像に移したりしました。

そんな中でもやっと普通に観劇できる日々が戻ってきて、舞台を見る生活に戻ったのですが、少しずつ違和感を覚え始めました。

あれ?
今日観た舞台で心に残った台詞ってあったっけ?
最近、観た舞台に心奪われて呆然としながら帰ったこと、あった?

演劇シーンの流行が変わったとか、好きな表現者さん達が私と同じように歳を重ね小劇場で舞台を打たなくなったとか、そもそも採算取れるような物販ありきの舞台じゃないと公演を打てないとか、色々な理由があると思います。

ただ、私にとっては、劇場に行って観劇しても「あの頃、私が好きでたまらなかった舞台」を観られる機会が少ない日々が続きました。

・・・

同じ頃、私は福岡のローカル特撮ドラマ「ドゲンジャーズ」にハマりました。
個性豊かなキャラクター、30分に詰め込まれた台詞と情報量に小気味のいいテンポ感。10話くらいまで面白おかしく「これどうやって終わらせるの?」と観ていたはずなのにラスト2話で感情を揺さぶってくる構成。激しめのアクション。

当時放映されていた「ドゲンジャーズ メトロポリス」終了後、彼らに会えないのが辛く、ヒーローショーを観るために福岡まで遠征したりもしました。カット割りで誤魔化せない生のアクションを目の当たりにして「やっぱり板の上のものって最高!」と噛み締めていました。

舞台を観に行く回数が減った分、機会があればドゲンジャーズに出演されていたヒーローさん、ヴィランさんに会いに行くようになりました。ニチアサと違い、ドラマに出ていた実在する方々と普通にお話できてしまうのに衝撃を受けつつ、楽しく追いかける日々。

ある日、ドゲンジャーズに出演されているヴィランの一人、修羅王丸さんが東京に来てくださると知り、いつもと同じように会いに行ったのですが……。
多くは語りませんが、1分ほどお話ししただけで完全に心を掴まれ、うわごとのように「格好良い……無理……」としか言えなくなり、お名前を出す際には必ず「様」を付け、“推し”と表現するのも畏れ多く“お慕いしている方”と呼ぶようになりました。

ドゲンジャーズ全体を追っていたはずが、完全に修羅王丸様中心にシフトチェンジし、「趣味:修羅王丸様」になりつつあった頃、ある発表がされました。

「修羅王丸 主演舞台
『修羅王丸外伝 闇闘演舞伝』 上演決定」

???

修羅王丸様は所謂アクションショー(ヒーローショー)は数多く経験されていて、ご自身の過去をショー化され公演もされていますが、それらは全て完パケと呼ばれる「事前収録した音声に合わせて動く」もの。今回発表された出演者にはヒーローやヴィランはおらず、どう見ても生身の人間の舞台俳優さんばかり。

修羅王丸様、生のお芝居されるんですか?
初舞台で、主演?

しかも東京と福岡の二会場で上演されるとのこと。
東京の会場は中野MOMO。何度か観劇したことがある劇場でした。

正直、楽しみよりも不安が勝りました。
ショーでも十分にご自身を表現できているのに、なぜわざわざこんなリスクの高いことを……?
脚本家さん、演出家さん、共演者の方々の欄に並ぶお名前を見ると私でも知っている実力者の方々ばかり。
正直、発表された時はかなり穿った見方をして「『修羅王丸外伝』と銘打ちつつも、修羅王丸様は舞台の世界観を作るためのお飾りで、実際は他の役者さんのパートがメインなのでは……?」とも予想していました。

いっそ、そうだとしても、面白ければいい。
修羅王丸様が、私の苦手とする「面白くない舞台」に出るのだけは舞台好きとして辛すぎる。
どうか修羅王丸様という存在が雑に扱われることがありませんように……と祈りながら公演初日を迎えました。

初日は雷鳴が客席まで聞こえてSEかと思いました。

上演時間70分。

面白すぎる。
ここ数年見た中で、一番、面白い。

少なくとも、私にとってはドストライクにブッ刺さりました。
本当に70分?と感じてしまうのは絶え間なく繰り広げられるアクションに息をつく暇がなかったからでしょうか。現代パートと過去パートが絶え間なく交差するのにスムーズな場転とそれを彩るベースの生演奏。明転後「こんなに小さな舞台だったの……?」と思うくらい大迫力な殺陣が繰り広げられ、目が追いつかないほど繰り出される手の数々。その度にぴたりと鳴るSEの気持ちよさ。無駄のないシンプルな展開でも、この劇場では狭すぎるくらいの全力の感情の吐露と慟哭による有無を言わせぬ説得力。

そして、その中心に君臨する、
まごうことなき「主演・修羅王丸」。

格好良すぎる。
あのお方に、まだ、見たことのない格好良さがあるなんて。

小雨降る中、駆け出したい気持ちを抑えて帰りながら、何故か、中学時代に初めて自分でチケットを買って下北沢のスズナリで舞台を観た帰り道の高揚感を思い出していました。
これが、走馬灯というやつか……?

舞台の内容というよりも、高揚感で涙が出ました。
それと同時に、知らず知らずのうちに、もう自分が湧き立つ舞台に出会えないんだろうなと内心で諦めていたのに気付きました。

そんなことなかった。
やっぱり舞台ってめちゃめちゃ楽しいじゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

何もわからないまま、「差し入れできるんだ〜」と事前に稽古場にスポーツドリンクを差し入れた過去の自分を褒めたくなりました。あの素晴らしい舞台の一部分に関わっていたなんて!!!!!!

家に帰って荷物も下ろさずに30分間どう良かったのか家族に語り続け、あまりの熱量に押されたのか、そのまま夫もチケットを取りました(後日一緒に行きました)。

元々3回だけだったはずの観劇予定は倍に増えて、毎回新たな発見をして咀嚼して文字に起こして翌日に望む日々。今までで一番楽しい夏休みでした。

毎日見ても、ひとときも飽きることがなかったです。

私の変化、対象の変化、周りの変化によって「好き」だったものを好きでいられなくなる経験は今までもありましたが、新しい「好き」によって、今まで自分が好きだったものを再確認するなんて思いもしませんでした。
初舞台を応援するつもりが、思いもしないような大切なものを受け取ってしまった、すごく貴重な体験になりました。
心のない悪の忍に、心を揺さぶられ、自分でも気づかなかった心の内の燻りまで救済されるとは……。

私にとって間違いなく今年いちばんの作品だったので、一人でも多くの方の目に触れる機会がございましたら嬉しいです。
1/1にBlu-rayが発売されますので、ぜひご興味ございましたら……東京公演と福岡公演の3公演&特典映像100分超えの2枚組Blu-rayが9800円という破格となっております……。下記の通販ページよりどうぞ……。

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最後に、観劇後に修羅王丸様とオンライングリーティングでお話しさせていただいたときの私の感想の発言まとめを載せておきます。

4分間ずっと一人で話し続けていた内容

……どう良かったか何も伝えられてない!!

長々と読んでいただきありがとうございました。
『修羅王丸外伝 闇闘演舞伝』に関わってくださった全ての方へ感謝を込めて。

\\闇闘演舞伝!最高〜!//

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