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ダサい!当時のジャパメタの歌詞を考える(1)44MAGNUM - Last Train

前回(はじめに)でここに至った経緯を書かせていただいたのですが
早速まずその日本のHM/HRの雄 44MAGNUMの「Last Train」を拝読させていただきたいと思います。

うわ、ダサい!

まず、最初に説明をしておくのですがここでは音楽を積極的に紹介していくつもりは一切ないということです。
歌詞を共有できるようにyoutubeのリンクを貼らせていただきますがバンド、アルバム詳細についてはご自身でぜひお調べください。

よってここでは「ダサい」歌詞部分を検証するのみになります。
尚、当時の私のように「これのどこがダサいんだよ」「DISってんのかよ」と言われる方もいるかとは思いますが、これも文化検証。
埋もれてしまいそうな名曲たちをDIGる(使い方あってますか?)役割も果たせたらと思います。

レコードの歌詞カードには「PAUL/JIMMY」と曲名の横に書いてあるので
歌詞はVoのPAULさんが作詞したのだと思います。
この頃なぜかアイドルを含む音楽界隈はニックネームを付けるのが流行っていたのですが、ことHM/HR界隈もだいたい呼び名がついていたと思います。
これは彼らが呼ばせていたのか、レコード会社の戦略なのか判りませんが
少なくとも小学生の時から「ポールくん」「ジミーちゃん」と呼ばれてはいなかったでしょう。
このへんのニックネームセンスも当時は大切でしたし、歌詞に影響もあったのではと考察します。

話がそれてしまいましたが、「ダサい」とつぶやいた同僚の言葉のごとく、改めて歌詞を見るとあまりにダサいです。

多分中学生くらいが初めて詞を書く時にまず最初に使ってみたい言葉のベスト10(*個人調べ)に入るであろう

「行くあてもなく」

がいきなり冒頭からきます。
そしてもう慣用句で「残り少ない 金を握りしめ」も入っています。
もうこのセンテンスで十分かと思いますがもう少し先を読んでみましょう。
期待通り「見慣れた町」はまあギリギリ回避ワードにしても
その次の「おさらばさ」はいただけません。
もしテレビで今の時代に演奏したならばテロップには
「オサラバさ」と意味深なカタカナで書かれかねないワードです。

その後町から出ていく理由を歌詞として書かれていますが
それが少し物悲しいのです
「大人たちのうるさい声」
つまり、この主人公は就職しろだとか、タバコはやめろ、いつまで夢みたいなこと言っているんだ、山田さんとこの子はあんなに立派になって…、それに引き換えお前ときたら!、情けない(母泣く)という声に嫌になって列車に飛び乗ったという情景を私たちに思い浮かばせます。(ここまで言われると私もラストトレインです)

かくいう私も大学の四年間バンドを思う存分楽しんで、いざ就職活動のためにスーツを着た時は「ああ、もう青春は終わったな」と落胆したのですが、まったくそんなことなかったです。お酒を浴びるほど飲める生活がその後待っているとは思いもしませんでした。(バブルの名残期間のみ)

この後予想通り「チャンス」という言葉や「成功のために」など
当時まだバブル経済がはじける前だからこそ使える(使っても許される)言葉が出てきますが、どうしても今の時代にこれを聴くともっと語彙力のある深みのある言葉選びできただろうと思ってしまいます。

では検証のためにこのアルバムが出た当時のヒット曲の歌詞がどのようなレベルだったか見てみましょう。

調べるとあのチェッカーズの大ヒット曲「ジュリアに傷心」が1位だったそうです。
歌詞を見ると、洗練されてはいますが世界観は似たようなものを感じます。
ですので「Last Train」もギリギリセーフにしてもいいのかもしれませんが
この前後にBOOWYさんがいることを忘れてはいけません。

さてこういったロックでは英語の歌詞がちょくちょく無駄に挟まれます。
なんとなくかっこいい語呂で使っている感もありますが
せっかくの曲を台無しにするものもあり気を付けなくてはなりません。

「Last train running for my life」

いかがでしょうか?
試しに翻訳ソフトに入れてみると

「私の人生のために走る最後の列車」

と訳されました。
中学生が習ったばかりの知っている単語を並べた程度に聴こえていましたが
翻訳するとなぜか深みがあります。
というか歌詞全体と合っていると思うのです。
むしろ英語の語呂のダサさと相反して哲学的でもありました。

しかし日本語読みの英語にそういった憂いもかき消されています。
なにかダサいのです。

さて歌詞の行方はというと結局こうした列車に飛び乗った理由と「俺は行くぜ!」を繰り返して終わります。
こういった路線は尾崎豊しかり若者に「何か衝動をあたえそうな曲」として愛され続けています。ロックに顕著だというのも特徴的ですが演歌がこの路線を担保しているのも見逃せません。

同僚君の言った「ダサいっす」から始めてみましたが
なるほどダサさに洗練さも感じます。
私も興味が出てきましたのでもう少しDIGってみたいと思います。(使い方合っているでしょうか?)
 
ちなみに44MAGNUMはこの後HM/HR路線を見限って
ダンスミュージックのアルバムを突然発表して
私たちキッズを悲しませることになります。
いつかそのアルバムの曲も読んでみたいと思います。

2025.1


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