【宿泊記】9/18〜9/19 湯河原で文化財に泊まる
こんにちは。
先日投稿した無職宣言にそこそこの反応があり、みなさん悩みながら生きているのだな、としみじみ感じる日々です。今何かで苦しんでいる人が少しでも参考にしてくれたらよいと思う。
仕事辞めてからというもの、久々の就活にやきもきするくらいで元気に生きていますが、前の職場に行く途中の乗り換え駅に降りるのはまだちょっと怖い。先輩と路線が被っていたこともあり、「今ここで出会したらどうしよう」「どうやって逃げよう」と無意識に考えてしまいます。いずれ恐怖心が和らぐことを祈るばかり。
さて、今回は湯河原に行ってみた記録。この前のハイアットはまだ働いていた時期に予約しており、何事もなければ今も普通に働いている予定だったので何も記載しなかったんだけど、今回は仕事辞めた記念の旅行なので、ニートがひたすらノンストレスな旅をしています。
みなさま、湯河原に行かれたことはありますかね。
私は高校の部活の合宿で降り立ったような気がするなあ、というくらい。
実は仕事辞めることが決まった当初は、岩手で宮沢賢治の足跡を辿る旅でもしようかと思っていたんだけど、ニートのくせに交通費でお金かけるのに気が引けてしまい、じゃあ近場で文豪ゆかりの宿にでも泊まろう、ということに。この前ぼくなつ2の実況を見たら、民宿とか旅館とか、畳の部屋で本を読んで温泉に浸かるだけの"THE・夏休み!"な旅行をしてみたくなった。
そこで浮かんだのが湯河原。調べてみたら島崎藤村ゆかりの宿というのがあり、おひとり様専用プランが良さげだったので即予約。島崎藤村の作品は未読でしたので、予習の目的で『破戒』を読み終えたばかり。
10:00am 出発!
親からは「普通にグリーン車で行った方が安いのでは?」などと言われましたが、大人は特急電車にだって乗れるので(すごく重要)、いっぺん乗ってみたかった踊り子号で出発。東京駅から1時間14分の旅です。
いつもなら寿司を買うところですが、グランスタをふらふら歩いてたらオーベルジーヌを見つけたので、今回は海老カレーにて候。芋が入ってないタイプのやつで、1300円くらい。
ちょっと前に母が冷凍のを買ってきてくれて、それがとっても美味しかったので気になってた。大きな海老が3尾に、うずらの卵やマッシュルームも入って高級感マシマシ。
私は子供舌なので辛口カレーは食べられないんだけど、ここのはカレー自体は甘いので問題なく食べられます。ただ、後から辛い!うま!
ちなみに今回の荷物は文庫本2冊、日傘、財布、スマホのみ。イヤホンも忘れてきてしまったみたい。
こりゃあもう、電車でも宿でも、本を読んで景色を見てボーッとすること以外、やることがないなあ(喜)
11:30am ランチ
11:14に湯河原に到着。ランチを食べに行こう…と街に降り立ちましたが、水曜ってどこも休みなんですか??二件ほど目星をつけていた店があったのですがどちらも休み、大通りっぽいところもシャッターが降りて閑散とした雰囲気。有識者の方、教えてください。
とりあえずマップを開いて、ランチが食べられそうな店を探していると、どうやら付近にお寿司屋さんがあるらしい。海の近くに来たら寿司だよなあ。
ということで、大通りから逸れてさらに人気のない道を2分ほど歩く。この辺は夜に賑わうのかな?スナックがいくつかあった。
照りつける日差しでダメージを負いながら到着。今回のランチは「寿司春」さんに決定。実は、町のお寿司屋さんって初めて。熱海に行ったときにカウンター寿司デビューを飾っているが、レトロなビルの中だったとはいえ、カジュアルな雰囲気だったから臆せず入れた。
しかし、こちらは昔ながらのカウンター寿司。扉を開ける瞬間、すごく緊張した。
店内は先客が2人。お座敷とカウンターのみの小さなお店。大将はお歳を召されているけれど、背筋が伸びてしゃんとしていて、気さくな雰囲気。
上にぎり(1800円) を注文。あの大きな下駄みたいなやつじゃなくて、付け台に直接乗せてもらえた!これだよこれ、憧れのやつ!
鯛と鮪がたまらん。お寿司屋さんでの作法とか何も予習してないけれど、とりあえず失礼のないように、美味しく食べられたらいいよね。
食べ終わる前に、女将さんが「今日暑いから、お茶ここで冷ましておこうね」と大きな湯呑みにたっぷりのお茶を置いていってくれた。猫舌なので季節関係なくそのお心遣いが嬉しい。
食後、少しぬるくなったお茶をちびちび飲み干して退店。ごちそうさまでした❤︎
余裕があれば少し散策できたら、などと考えて早めの電車できたんだけども、流石に暑すぎる。
大人しく涼めるところでじっとしていることにしよう。
駅前のウエストコーヒーへ。
平日なのでお客さんはまばら。一つだけ空いていた窓際のテーブル席を陣取り、アイスレモンティー(580円)でクールダウンを図る。
宿のチェックインは15時なので、30分前には店を出るとして、まだまだ十分に時間はある。電車の中で読んでいたミステリーの続きを読もう。
15:00pm チェックイン
湯河原駅から宿まではバスで13分ほど。2番乗り場のバスに乗って、公園入口という停車場の目の前です。
バスは平日でも15分おきくらいに来ます。
今回お世話になるのは「島崎藤村ゆかりの宿 伊藤屋」さんです。そういえば、1人で旅館に泊まるのも初めて。
小さい時は祖母と母と3人で旅行に行っていて、その時は旅館に泊まったはずだけど、それ以来行ってない気がする。大人の階段を昇ります。
建物周辺を彷徨く私の姿が見えたのか、玄関でスタッフの方が出迎えてくださいました。玄関でスリッパに履き替えて、靴は預かってもらいます。造りは古いけど、掃除は行き届いていて清潔です。
チェックインの後はお風呂の説明を受けながらお部屋へ。
入った瞬間、畳の匂い!私の求めてたものはここにある!奥の障子の向こうに広縁がありますが、案内してくださったスタッフの方が「今の時期は開けると暑いです」と言っていた。
確かに若干暑かったが、部屋には個別でエアコンもあるし、なにより障子の向こうで揺れる木の葉の影を肴に日本酒が飲めそうな感じだった。多分飲める、私なら。
障子を開けるとこんな感じ。
ここは2階だし山奥なので景色がすごく綺麗というわけではないんだけど、一面の緑に癒される。
水回りは綺麗にリノベされてて、女性でも安心。
夕飯は18:00〜と18:30〜の2択だが、こういう時はやること早めに済ませてゆっくりするのが鉄則なので18:00を選択。用意ができたら電話をもらえるらしいので、しばらく自由だ。
BGMの代わりに小さめの音量でテレビをつけて、大の字になって寝っ転がってみたり、読みかけの本を読んだり。この時間のためにまた来たいなあ。
18:00 メシだぜ(ぼくなつ風)
夕食は一階の料亭にて。半個室だったので私のようなぼっちでも視線が気にならなかったのがポイント高い。
せっかくなので利酒セットを追加。
日本酒は普段からよく飲むんだけど、最近手を出したばかりで、実際単体で飲むとこれまで飲んだものと具体的にどこが違うかって分かりにくかったりするんだよね。飲み比べると全然違う。
濃厚なトロの脂や濃いめの味付けにはキリッとした辛口を、お出汁がベースのあっさりした味付けには甘めのお酒を、といった具合で、なんとなく合わせ方を自分なりに見つけてみる。
(焼き物の写真を撮り忘れました)
好きなものばかりだったのもあるけど本当に全部美味しかった!鍋の出汁で酒が飲める!私、鍋に入ってる白菜が得意じゃないんだけど、ここのは細切りにされていて火が通ってもシャキシャキだったので普通に食べられた。鯛もふわふわ❤︎
最後に、揚げ物と一緒にご飯とお味噌汁が出てきて、お酒飲んだ後の〆にすごくよかった。だしわたるしみ。
19:00pm ゴールデンタイム
料亭を後にしてお風呂にれっつご。ユニットバス付きの部屋もあるんだけど、私は宿泊費をカットするために風呂無しの部屋なので、この後は部屋から出なくてもいいように大浴場に寄って行きます。
内風呂は24時間、露天・半露天(貸切、予約不要)は22:30で一度終わるらしい。
ただ、露天にはシャンプーが置いていなくて、半露天にはドライヤーがない(客室にはあるので問題はなし)そうなので、内風呂でさっと済ませることにする。
なお、内とはいえ窓は全開なので、蚊とかは普通にいる。肝心のお風呂は熱すぎずいい感じだった。これ、冬だともっと快適だろうなあ。
部屋に戻る前にお土産の注文をする。フロントにお土産の見本品があり、注文用紙に記入して次の日の朝食後までにスタッフさんに渡す方式。本当はきび餅を買いたかったんだけど、お取り寄せしている隣の和菓子屋さんが明日休みで在庫がないとのことで、泣く泣く諦めてジャムと日本酒を買い、フロントを見て周る。
ここは島崎藤村が昭和4〜19年の間、年に数回通っていた宿だそうで、そのときの宿帳がそのまま残っている。読書好き私も歓喜。ここで「夜明け前」を原案を練ったらしく、レプリカですが「夜明け前」の原稿の一部分とかもある。島崎藤村もきび餅食べたのかなあとか、トランク一個できたんだなあとか、いろんなことを考える。
ちなみに、藤村が食べた「とりなべ」を再現したものが、冬季限定で食べられるそうですよ。
そして、ここは東京以外では唯一2・26事件の現場になった大変歴史的な旅館である。本館は有形文化財にも指定されている。そしてなぜか急に雷雨。ここまできたら雨すらも風流。
部屋に戻ったら布団が敷かれていた。
旅館ってこうじゃないとね。最近は勝手に部屋に入られるのがちょっと…という人が増えたのか、最初から布団が敷いてあるところもちらほら、という噂を聞くけれど、慣れ親しんだこのサービスがいいのよね。敷布団が硬めで嬉しい。
客室の冷蔵庫からみかんジュースをいただく。
こういうちょっとお高いジュース、めちゃくちゃすき。美味しかった。買って帰ろう。
布団でごろごろしてたらいつの間にか寝落ち。
9/19 8:00am 朝食
7:50ごろにフロントから「朝食の準備ができました」とお呼び出しがかかる。
朝食は8:00or8:30の2択だったんだけど、私以外の宿泊客は皆8:30〜らしく、会場は私1人だった。昨日と同じテーブルでいただく。
朝はこんな感じ。2枚目・右上の白いのはマグロの山かけです。こういうのでいいんだよ。
あと、細かいことだけど、煮物に柚子の皮が入っていたのがうれしい。これあるだけで爽やかさが全然違う。
普段おかわりなんかしないのに、今日はなぜかおかわりしちゃった。旅館マジック。30分ほどで退席。全部しっかり平らげました。ごちそうさま。
朝食を終えて部屋に戻ったら布団はもう片付けられていた。なんと名残惜しい。
昨日の日中は暑かったけど、朝の光は柔らかくて心地よく、チェックアウトまでは広縁で本を読んだり、畳に寝転んで過ごした。
チェックアウトは少し早めの10:00。この時にお会計をして、昨日注文したお土産を受け取る。
おひとりさまプランで宿泊料金はおよそ2.5万でした。
12:00pm ランチ
お昼は目星をつけていた「レストラン小清水」さんへ。
駅から徒歩3分くらい。人によっては怖気付くかもしれない、レトロな外観。意を決してドアを開けると、おじさまが2人で営業されている模様。窓際テーブル席に着席し、カニコロッケ定食を注文。クリームコロッケに目がないもんで。
注文してから丁寧に揚げてもらえる。衣はサクサク、中はコンソメ味の固めクリームがぎっしり。粗く刻んだ玉ねぎと椎茸が入ってて、やっぱりきのこって美味しいよねえ……。添えられたポテサラは酸味強めのさっぱり系。クリームコロッケと交互に食べるといい感じ。
お店のおじさま方、最初は無愛想な感じがして微妙に居心地悪かったんだけど、クリームコロッケを食べていたらそんなことはいつの間にかどうでも良くなっている。ご飯の量多いかな?と思ったが、あっさり完食。ボリュームもありおいしかった。940円なり。
お会計の時に「美味しかったです!」と言ったら、「ありがとう」と微笑んでくれて少しときめいたのは秘密です。
総評
すんげ〜たのしかった。憧れの、ソロ活in旅館。東京から近くて、接客も良くて、これだけ美味しいご飯とお酒があるならおいらは満足だ。
最初に部屋に入った時に畳の匂いで感動したのはもちろんなんだけど、ご飯の後とかお風呂の後に部屋に戻るたびにちょっとうれしかった。ほんと、畳の匂い好き。
木造建築なので外の音はまあ聞こえるけど、気になるほどじゃなかったかな。
ただ、館内にはエレベーターがないので、年配の方や子供連れには向かないかも。大人が静かに過ごす場所という感じ。
次は冬に行って、鍋と熱燗で一杯やりたい。
(以下、少々自分語り)
かつて幼かった私が憧れた大人というのは、教養がある人のことだった気がしている。
私にとっての教養とは、いつぞやの雑記にも通ずるが、たくさん学んで、その学んだことを活かして面白いものを見つける眼を養い、そこからさらに興味の幅を広げていけるような人のこと。
そして今回の私は読書好きが高じて文豪ゆかりの宿に泊まり、チェックアウト直後から次はどこに泊まろうかなどと考えている。
今の私が、あの時の私が憧れた大人に少しでも近づけていたら、これほど嬉しいことはない。