見出し画像

【VR作品紹介】最終回 モノガタリ交流会【テーマ:小説/脚本/記事】

◆「モノガタリ交流会」とは?

 皆さんこんにちは、A-Literary Works.(エーリテラリー・ワークス)です。今回はモノガタリ交流会 最終回の発表の様子について紹介したいと思います。最終回の内容に入る前に、企画の概要についておさらいしましょう。

 「モノガタリ交流会」とは毎週日曜21時VRChatにて開催中の創作PR会になります。特定のテーマを踏まえて毎回2名が作品を発表し、交互に感想を伝える進化形読み合い企画になります。発表・コメント共に5分と気軽に参加できるので、評価を求めるクリエイターや、VR上の物語に興味のある方々は是非ご参加、ご観覧ください。

 作品は小説・詩、演劇、映像、漫画、ゲーム・ワールドなど、物語性を含む一次創作であれば紹介OK、ただしなるべくシナリオを強調するようお願いしています。作品内容や発表内容は基本的に自由、ただし他者の作品や二次創作はNG、パロディ・オマージュ作品はOKとします。

 ……という訳で、最終回の発表者、テーマは以下のようになりました。今回は特別に6名の方にお越し頂きました。

◇最終回 モノガタリ交流会【テーマ:小説/脚本/記事】

【No.61】山鳥はむさん「ノームの終わりなき洞穴【Web版】」

 一人目の発表者は山鳥はむさん(https://x.com/yamadoriham)になります。山鳥はむさんの作品「ノームの終わりなき洞穴」は主人公の錬金術師・クレストフと石の精霊・ジュエルが協力して鉱山を開発する中で、鉱山を「底なしの洞窟」と名付け攻めに訪れる盗賊たちと戦闘を繰り広げる、長編の冒険ファンタジー小説になります。本作だけで約二百万字に到達する大長編となり、また本作はエンターブレインより書籍化も行われています(https://amzn.asia/d/8yH5dTh)。ダンジョンレベルに沿って様々な宝石魔法が登場する中で、みみさんはそれらの鉱石が実在することに感動し、実際に山鳥さんは宝石やファンタジーの世界観に目が無いとのお話でした。山鳥さんは何とVRChatのワールドも予てより制作されており、「Abyss Trough -深淵海域-」「【星骸の岩宿】Stellaskalabri」といった大規模な世界観設計から「Crystal Valley -水晶渓谷-」といった嗜好溢れる空間までデザインされています。VR歴も執筆歴も沈黙にとっては先輩とのことでリスペクトが溢れますね。小説は現在もカクヨムにて連載されていますので是非ご覧ください。

◇作品リンク:https://kakuyomu.jp/works/1177354054895965569

【No.62】mimicry_みみさん「断食芸人VS飢餓術師」

二人目の発表者はmimicry_みみさん(https://x.com/mimicry1715769)になります。mimicry_みみさんの作品「断食芸人VS飢餓術師」はSNSの情報を見て物見遊山で会場に足を踏み入れた『僕』がライブハウスの地下を訪れ、とある死闘を眺める展開となります。こちらはフランツ・カフカ『Ein Hungerkünstler』(原題)を元ネタに、邦訳では『断食芸人』あるいは『飢餓術師』と訳が分かれることから着想を得て、原作にはない飢餓術師を設定し、絶対に飲まず食わずで生き延びる男・断食芸人と絶対に餓死させる男・飢餓術師による心理戦が描かれております。本作は沈黙の好みにかなりの角度で刺さり、断食というテーマ性やキャラクターのパワーバランス、死後強まる念のような異能モノ展開から着想の経緯まで含めて興味深く、文章も無駄の無い良い短編だなと感じました。パロディものはどうしても劣化版になりがちですが本作は上手く原作を乗り熟しているように思います。「オドの揺らぎ」や最後のシーンなどは考察も捗りますね。また山鳥さんがその場のインスピレーションで長編を練り上げていくスタイルであるのに対し、みみさんはご自身の学生時代の思い出を起点にバーチャルシナリオ大賞に向けて構想を練られたとのことで、執筆において好対照なお二人となりました。

◇作品リンク:https://kakuyomu.jp/works/16818093087036779439

【No.63】maropiさん「かりそめボックス」

 三人目の発表者はmaropiさん(https://x.com/maropi_kunka)になります。maropiさんの作品「かりそめボックス」は「とあるビル、とある平日、とあるトラブル勃発・・・??」とあるように、男女のカップルとその周囲に訪れる癖の強い人々の困ったワンシーンを描いたVR演劇作品となります。場面は大きく二つに分かれ、カップルがショッピングに訪れる場面と、彼らがエレベーターでサラリーマンと事故に巻き込まれる場面があり、一見断続的なシーン切替も一種の魅力として映えます。ヒナミィさんはキャラクターの個性や演出の斬新さだけでなく、上演前のトラブル対応を含めて感動したと仰り、またSuzuQuiさんの役が他の作品においても中々ヒドイという話で沈黙も意気投合し、今後の配役がより楽しみになりました。作品作りとしてはチーム全体で柔軟に対応されているようで、ゆるりとした雰囲気が魅力的なmaropi工房ですが、作品の構成力や完成度の高さのは流石といったところでしょうか。沈黙はエレベーターのオペレーターちゃんが一番のお気に入りであり、鑑賞中もニヤニヤが止まりませんでした。

◇作品リンク:https://www.youtube.com/live/FnbAs9lsflw?feature=shared

【No.64】魔女ヒナミィさん「メタドルチェと魔女の宴」

 四人目の発表者は魔女ヒナミィさん(https://x.com/HINAhitomi_v)になります。魔女ヒナミィさんの作品「メタドルチェと魔女の宴」は「7日間の間に魔女に真実の愛を見届けさせること。そうでなければ勇者は魔女と共に命が尽きる」というストーリーを軸に、メタドルチェ王国における勇者側と魔女側のコメディカルな対立を描いたノベルゲーム風な表現の動画作品となります。こちらの脚本はヒーローショーや紙芝居、童謡を参考に簡潔な内容を志向しており、子供でも楽しめるような作品を意識したとのことです。以前モノガタリ交流会ご参加頂いたsunさんの制作にも影響を受けつつ、また後の思惟さんの発表にもつながりますが、見た目の重複等により個性が失われやすいメタバースにおいて、活動チームに物語の背景を与えることで、各人に際立った個性を与ることができるのではないかという試みでもあったようです。現在はメンバーが入れ替わり第二期に突入し、今後脚本内容の再調整とメンバーを差し替えた動画を作成される予定とのことです。BLや百合、メタ的な要素もふんだんに取り入れられているので、とてもキャッチーに楽しめる作品なのではないかと思いました。

◇作品リンク:https://www.youtube.com/playlist?list=PLC2JLHTxgUKaL4Ip7X138FhQ9XKBVKIfx

【No.65】思惟かねさん「全てがVになる(新装版):VTuberが示す私たちの未来の可能性」

 五人目の発表者は思惟かねさん(https://x.com/omoi0kane)になります。思惟かねさんのnote記事「「なりたい自分になれる」バーチャルの可能性について私たちが勘違いしている一つのこと」では、アバターファッションで人口に膾炙する「なりたい自分になれる」に疑念を向け、マズローの自己実現理論を踏まえ、確かに情報的には理想のふるまいを手にすることができるが、真の自己実現のためには「自分の行動」と「周囲の環境」に対処する必要があるというお話が展開されました。バーチャル空間であっても結局人との繋がりが第一というお話にヒナミィさんや沈黙はとても共感し、「新たなことに挑戦をし続けることこそが一番大事」「サイコロを振り続けるしか無い」というのは強い説得力を感じました。また記事のテクニックとして引用部分が適宜挿入されているため分かりやすく、単調ではなく展開のある文章となっている点に拘りを感じました。幅広いジャンルを取材する思惟さんですが、決してぺダンティックにはならず的確な表現を用いて伝えようとしている姿勢が格好良いなと思います。

◇作品リンク:https://note.com/omoi0kane/n/naf7c24902e40

【No.66】沈黙静寂さん「【VR作品紹介】モノガタリ交流会まとめ」

 六人目の発表者は沈黙静寂さん(https://x.com/be_quiet_w0n)になります。沈黙こと私のnote記事「【VR作品紹介】モノガタリ交流会まとめ」はこちらの記事を含むモノガタリ交流会の作品紹介記事となり、最終回記念として最後に取り上げさせて頂きました。記事について過去の経験や思惟さんのライティングなどを踏まえ、小説・脚本・記事それぞれの執筆に定型があることを認めつつ、小説的で朗読に近い演劇や、よりフィクショナルなルポがあっても良いのではないかという想いを吐かせてもらいました。またnote記事ではイベント中には語らなかったような考察も積極的に含めました。モノガタリ交流会は前身「ライトニング・モノガタリ集会」の発展形であり、作家同士の偶然的で高濃度な出会いを目的として開催してきました。毎週ゲストをお呼びして開催するという多少無理のあるパワープレイでしたが、お陰様で計七十五名の方が登壇し、交友にとどまらず共作まで行うペアリングも生まれ、企画して良かったなと報いある最後を迎えられました。今後こうした発表系の企画を行うことは無いと思いますが、別の角度から楽しめる企画は用意したいと考えています。物語拡張集団"A-Literary Works."の今後の活動に是非ご期待ください。

◇作品リンク:https://note.com/aliteray_works/m/mfd5d26907ec5

◆【おまけ】主催者の完全主観おススメ作品!

 最後に、最終回記念として主催者の完全主観おススメ作品三作を発表したいと思います。それぞれ映像・ワールド・小説作品となり、他には無い構成や表現による独特な作風が感じられるものとなります。

【おススメ①】カキノキさん「【ショートアニメ】未然探偵」

 一人目はカキノキさん(https://x.com/KakinokiMeisaku)の作品「【ショートアニメ】未然探偵」になります。こちらは事件を未然に解決する主人公とその相棒"強くてニューゲーム"が全三篇の事件に出会い、それぞれ六十秒以内に斜め上の方法で解決するというアンチ推理型の探偵を描いた短編映像作品です。初めて視聴した時の興奮は今でも忘れられないですね。

◇作品リンク:https://www.youtube.com/watch?v=_Ze8Fi2oZmA

【おススメ②】あおいるりさん「one's final abode(prologue)」

 二人目はあおいるりさん(https://x.com/ruri_aoi_vr)になります。あおいるりさんの作品「one's final abode(prologue)」は、宇宙船らしき室内の奥で、少女ともう一人の「人物」が寄り添う構造のVRワールドです。見落としていたヒントが見つかるにつれ、少女の運命の輪郭が露わとなります。紹介後に皆で推理して回った良い思い出があります。

◇作品リンク:https://vrchat.com/home/world/wrld_19624355-f1cc-4d71-8338-beae2132ece0

【おススメ③】ソーサツ・チエカさん「Aleph」

 三人目はソーサツ・チエカさん(https://x.com/chieka_quantizd)になります。ソーサツ・チエカさんの作品「Aleph」は3Dキャラクターを自動生成できる言霊風俗というインスタンスを舞台に、主人公・なにさま蛙と古代魚、黒衣の女といった怪しげな人物達が交じり合い、終盤には万物の擬人化した狂乱が描かれる怪異小説です。チエカさんの作品にはライトな文体と抽象的なテーマの間にギャップがあり、他には無い読み心地を生んでいるように思います。

◇作品リンク:https://note.com/chieka_quantizd/n/n7ab7a9d7f06c?magazine_key=m7dd2d399fb81

 以上、最終回 モノガタリ交流会の紹介作品となりました。皆さん如何でしたでしょうか?興味を惹かれたものについては、是非リンク先から作品を鑑賞してみてください。またA-Literary Works.に興味のある方はDiscordサーバー(https://discord.com/invite/UkYn7ZrY8t)に是非ご参加ください。それでは、また。

 文責:沈黙静寂(A-Literary Works.代表)

いいなと思ったら応援しよう!