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膀胱癌の話①病気の発見と治療法の選択
明後日は、病院に検査の結果を聞きに行く。
先だって、月曜から土曜まで入院した時に、
膀胱の内側の筋肉層を、破れないぎりぎりのところまで削って
細胞の検査に出してもらった。その結果がどうなのか。
5月から受けた化学療法で
もう、私の癌はすっかりやっつけることができたのだろうか。
この検査のために全身麻酔で膀胱の壁を削る手術を受けるのは、
三回目だった。
一回目は、膀胱内にできた腫瘍を切り取るのが第一の目的で、
筋肉層まで癌が根を張っていないことを確かめる為に
筋肉層を削り、細胞を検査してもらった。
他の検査の数値から、
おそらく筋肉層までは達していない早期がんで、
腫瘍を切除してBCGを注入すれば
すぐに治るだろうと聞かされていた。
この一回目の検査の結果、筋肉層まで癌がない事を祈って
検査結果を聞きに行ったのだが、残念なことに
筋肉層まで広がる癌が認められたのだった。
早期がんではなかったため、治療方法は一転した。
主治医は
「早期がんじゃなくてごめんね」
と言って、治療法の説明を始めた。
いきなり、膀胱全摘出、女性の場合は子宮と両方だと言われ
さすがに少しビビった。
膀胱がなくなるので、体の外に尿をためるパウチをつけて
数時間ごとに取り換える。この先、一生だ。
障碍者手帳をもらい、パウチ代は無料になる。
これが日本の標準治療だと言われた。
急にそんなこと言われても・・・
という表情であっただろう私に、
オプション治療もあると、主治医は言葉を続けた。
それは、抗がん剤の投与と放射線の照射による化学療法で、
膀胱を温存でき、これはアメリカの標準治療とのことだった。
最近は化学療法の薬も良いのが開発されてるので、副作用も昔ほどひどい状態にはならないし、治療成績が摘出手術と変わらないくらいになったらしい。それを聞いて、一生パウチ生活より化学療法がいいのではと思った。
また、膀胱がんの特徴として、再発が多いがんであるとも聞いた。
全摘出してもしなくても再発するなら、温存できる化学療法を選択する方が断然いいと、すぐにオプション治療の化学療法を希望した。
化学療法は、抗がん剤治療を3クール行うということだった。
1クールというのは、1週間に一回の抗がん剤の点滴投与を
1週目・2週目と行い、3週目は休む。これを3クール繰り返す。
そして放射線は、毎日病院へ通って数分の照射を受けるのだが、それを30日間続ける。この二つの治療を並行して行う。
そのように化学療法について説明を受けたが、
化学療法の前に、二回目の手術の日が決まった。
もし、筋肉層の一番深いところまで癌があれば、
化学療法では治療できずもう摘出するしかないらしい。
化学療法が可能かを見極める為、筋肉層を深いところまで削り
細胞を検査することになったのだ。
最初の手術の1ヶ月後、再び全身麻酔で手術を受けた。
膀胱がんは、飲酒や喫煙をする人や、
薬品などに触れているという人に多く、男性の方が格率が高い。
昔は友禅染めの職人さんに多かったので、薬品が改良されたそうだ。
飲酒・喫煙・薬品のどれも私は縁がない。
膀胱がんの患者は、膀胱炎の症状が出て病院へ行こうかなと思ったら
すっかりよくなったりするので、これで惑わされて早期に見つからないことが多いらしい。私も、ほんとそうだった。ずいぶん前から何度もそんな感じだった。
今回、膀胱炎がひどくなったタイミングで行った病院だったが、
運よくその先生が、膀胱がんの専門医だったので、
オプション治療も提示してもらえたし、摘出手術も化学療法も
どちらもたくさん経験しているというのはすごく心強かった。
二回目の手術後の細胞検査の結果、
一番深い層にまでは達していないことが確認され、
全摘出は免れた。化学療法で行くことが決定した。
最初、2月に病院に行って、
3月に1回目の腫瘍切除手術、4月に2回目の手術、
そして5月から化学療法が始まった。
今回はここまで。
次回は、化学療法のことを書きます。