第七回 Gt ヒロト |ヒロトの秘密基地 「序章 僕とエフェクターの秘密〜ディレイ(Delay)〜後編」
第2回
「ディレイ( Delay)」後編
▽ テキスト曲「昴」(『VANDALIZE』収録曲)
前回は本当に自分にとって外せないエフェクターの一つであるディレイについて概要や基本設定をお話ししてきました。
今回はテキストとしてぴったりな「昴」を題材にして、この曲のギターの種明かしをしていきましょう。
この曲の原曲は沙我君なんですね。
沙我君はメンバーに
「これは教会で歌うゴスペル、賛美歌のイメージがあるんだ」
ということをいってて。
「それをギターでなんとかしてよ」
と僕はいわれたので、ディレイと残響音をつけるリバーブというディレイがあるんですけど。
曲の主題となるフレーズは、その2つを駆使して'教会の空間'で鳴ってる音をイメージして作りました。
ここのフレーズは付点8分音符ディレイというのを使って弾いてるんですけど。
付点8分というのは、3/4拍子の長さで、これでフレーズを弾くと「タッタカタッタカ」みたいなリズムで聴こえてくるんです。
実際にそこを弾いてみましょう!!!
次は、曲の冒頭に入っているこのギター音について解説していきましょう。
これもディレイを使って作ってるんですが、さっきの付点8分とは設定が違っていて。
こちらは、弾いた音がずっと繰り返し続いていく設定にしています。
イメージしたのは、パイプオルガンの音。
あれをギターで再現した感じです。この音は、歌が始まってからも曲の裏でずっと鳴ってるんですよ。
「昴」が収録されたアルバム『VANDALIZE』を出した頃は、音楽的なトライをバンドとしてすごくやりだした頃だったんですね。
その当時、世の中的にはシンセサイザーとか、生バンドの編成にいない音をバンドサウンドに加えるのが主流になっていった時代だったんです。
だから、この音も演奏家の人に頼んで、パイプオルガンを弾いてもらえばいい話なんですが。
だけど、自分はギターでそれをやりました。
エフェクターを駆使すれば、ギターもパイプオルガンの音になっちゃうんですよね。
では、ここからは「昴」の背景に流れる僕のストーリーを細かく解説していきますね。
「昴」の教会には吹き抜けがあるんです。教会のなかにはお祈りしている人が何人かいて。吹き抜けがある天窓からは、柔らかい日の光が差し込んでいるんです。
その日の光を音にしたのが、
いま話したパイプオルガンをイメージして弾いた冒頭のギターです。
ディレイで音が重なっていくにつれて、教会内にはすごく神聖な空気が満ちていって。
そして、さっきの付点8分の主題のギターフレーズが入ってくると同時に、「昴」の物語がスタートして語り部(将)が歌い出すんです。
歌と主題フレーズのところは、自分的には現実の世界なんですよ。
だけど、この後バンドが入ってくるところで、時間軸が前後していって、過去の出来事が浮かびあがってくるんですね。
そうして、サビの辺りから意識は教会の外に飛び出していくんです。だから、ギタープレイもそれに合わせて、ちょっとダイナミックに広がっていくようなカッティングに変化するんですね。
そうして、ギターソロでは、ついに空から大気圏まで突き抜けて、宇宙空間まで出ていっちゃうんです。それがこんな感じですね。
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アリス九號.オフィシャルnote
限りなく2次元に近い2.5Dロックバンド、アリス九號.のオフィシャルnoteです。 毎週メンバーがリレー形式でオフィシャルnoteだけの…
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【※2020年5月29日閉刊】 限りなく2次元に近い2.5Dロックバンド、アリス九號.のオフィシャルnoteです。 毎週メンバーがリレー形…
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