第百二十回 Ba 沙我|ノーズマウンテン・ラジオ「激白。」(後編)

昨年に続いて今回の「ノーズマウンテン・ラジオ」も、沙我様大いに語りまくります。「GEMINI」を作った後、沙我様が陥ったジレンマが今明かされる。そうして、バンドの次なる作品のキーワードまでを激白。

ーー前回は、アルバム「GEMINI」を再現したリバイバルライブ「17th THEATER」についてお話ししていました。「17th THEATER」については、個人的には一つの到達点を感じたライブでした。コロナ禍という時代環境も相まって、メッセージ性が際立つ「GEMINI」の再現になっていたと思いました。

ああー。それならよかったです。

ーー「GEMINI」ツアーの集大成となったNHKホールでのライブ「7th THEATER」も観ているんですが、あの時と比べて、歌、演奏、濃厚な世界観の表現、当然ですが格段にクオリティーが上がっていると感じました。誰が観てもそう感じると思います。だから、やっと追いついたという感じですね。

自分たちが「GEMINI」という作品に。

ーーそうです。「GEMINI」は今から考えると、初の日本武道館公演を控えていたアリス九號.が、「このままでは武道館でいいライブができるはずがない」「あの場所に相応しいアーティストになるんだ」という想いで自分達を思いきり奮い立たせて作った、向上心の塊みたいな作品でしたよね。

ええ。だから、バンドとしては力量的にも当時はまだ辿り着いていなかったんだなと、今振り返ってみると僕も思いますね。だけど大先輩方って、大作といわれる作品を作った当時、リアルタイムにちゃんとそれを再現するライブをしてるじゃないですか?だから、根本的なところのバンドの成長速度っていうんですかね、そこが俺らはちょっと違うのかもしれないです。それが、やっと17周年で追いついたということなのかもしれないですね。

ーー10年の月日を経て。

はい。

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ーーパッと作ってパッとできちゃう天才肌タイプではなく、努力を積み重ねて時間をかけてできるようになるコツコツタイプだと。

そうだと思います。17周年のライブ当日、開演が押しましたよね?あれは、リハが長引いたせいだったんですよ。リハでできないことは本番ではできないので、そこを確認してた結果、押してしまいましたね。ちゃんとやった分だけやれるし、やらなかったらできないんで。

ーー本当にそこは天才ではないんですね。

天才ではないです。そのために開演が押しちゃったのは本当にファンの方々には申し訳ないし、カッコよくないなと思いました。時間通りきっちり「GEMINI」を再現していきたかったのでそこは本当に残念でした。

ーーでも、今回「GEMINI」にバンドが追いつくことができたという収穫は大きかったんじゃないですか?

そうですね。その手応えを感じたからこそ今は、"作品を作りたい"という明確な目的ができました。

ーーTwitterでも仰ってましたよね。次は世界観を作り込んだものを作りたい、と。

そうなんですよ。そのためにもとことん追い込みたいなと思ってます。僕の理想としては、演ってる側はまったく気を抜けない、それこそ「SAGA SEA」の延長みたいですけど、そういう楽曲、アルバムを作りたいなと今は思ってます。

ーーなるほど。

それは単純に、"LUNA SEAっぽい曲を作る"とかじゃないですよ?あの時感じた“緊張感”。それを感じられるような楽曲を作りたいなっていうことです。僕らが緊張感を保ちながら演奏していれば、それが観ているお客さんにも伝わるというのがライブをやってすごく分かりましたから。長く続けているバンドほど、こういった緊張感あるライブが無いとダメだなと思ったんですよ。

ーーそれはどういうことですか?

長くやっているバンドが小慣れてきてしまって、毎回毎回アットホームなライブをするようになったらお客さんも飽きちゃうし、刺激が無くなると思うんですよ。だからこそ、なるべくその逆を行きたいなと思うんですけどね。"いつもやってるから"っていう流れでライブをやるんじゃなくて、何のためにステージに立つのか、その目的意識までちゃんと一本一本考えた上でライブをやっていく。そういった掘り下げた活動の仕方をしていかなきゃいけないなと今は改めて思ってます。

ーーなるほど。

お客さんを幸せにするために活動するというのももちろんいいんですけど。僕らが良いものを作って、やりたいことをやった結果、それを観たお客さんも楽しくなってすべてが相乗効果になってバンドも盛り上がっていく。それで次にやりたいことがどんどん自然と積み重なっていって良い流れができていく。それが勢いのあるバンドだと思うんですね。だから結局は「いい音楽」をビシッと作る。それしかないんですよね、僕らの根本は。

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ーー自分たちがゾクゾク、ワクワクするような刺激のある音楽を作っていけば、ファンも楽しくなってくれるのは間違いないですからね。

そう。結局それが後々の自分達の活動に繋がっていくと思うんですよ。今はその活動の根幹となる、緊張感を持った音楽を作っているところです。

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限りなく2次元に近い2.5Dロックバンド、アリス九號.のオフィシャルnoteです。 毎週メンバーがリレー形式でオフィシャルnoteだけの…

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