第百四十六回 Gt ヒロト|『月刊少年HRT』vol.14
<特集>
PROTOTYPE始動②
「PROTOTYPEで見つけた新たなヒロトの生かし方」
<特別付録>
HIROTO Guitar Channel
「『ヴィジュアル系主義』フェスのヒロトアングルMOVIEダイジェスト」
ーーファンクラブ旅行「ALICE IN AMANOHASHIDATE」でスイッチが入った状態のまま「PROTOTYPE」のライブがスタートして、感触はいかがでしたか?
まず初日を終えて、立川公演は色々と反省点がありました。当日は地元の先生や先輩が内緒で来てくださって、ライブ後に一緒に飲んでカラオケにも行ったんです。
ーーそこでもまた歌ったとか?
歌いました(笑)。初日終わりで気になってたのもあって、歌ったら「あ!これぐらいまでやって、やっと喉が開くんだ」というのがそこで分かったんです。その翌日に「YOUSAY SONIC 2022」に出演してその日はギターだけを弾いたんですが、それがまたよかったんですよ。
「PROTOTYPE」ではギターを弾くのを途中でやめて歌うライブをやって、その翌日にはギターを弾くだけのライブをやった。ギターだけ弾いてたら、客観的にボーカルを見ることができたんですよ。ギター目線で「こうあるといいんだ」というのが体感できたんですね。それが翌週の「PROTOTYPE」横浜公演に繋がって。横浜は虎曲とELTのカバーが増えて。
ーーセットリストが変わりましたね。
そう。それをリハで全曲やった時に分かったんです。ギターとボーカルでは身体の持って行き方が違っていて、歌うと腹が減るんです。
ーーギターだけ弾いている時とは違ったんですね。
全然違う減り方なんです。「ライブの時は前日の夜から固形物は食べない」という話をここでもしましたけど、歌う時は無理でした。歌うと腹がめっちゃ減るから、本番前に何も食べないというのは無理でした。だから横浜公演の日は固形物も食べてました。当日は一番早く会場入りして、隣りのスタジオでリハを一人でやったんですよ。その後全員揃ったところでもう一度リハをやって。それが自分的にはちょうどよかった。
ーーいい感じに喉が開いて。
そう。Kには「リハからそこまで本気でやって、よく本番まで保つな」と言われたんですけど、自分はそれぐらいがちょうどよかった。だから横浜は喉も身体もいいコンディションで本番を迎えられたんです。
ーーギタリストの時とは違う手順で身体の準備をしなければいけないんですね。
はい。これもやってみないと分からないことでした。だから喉のためにもリハからフルスロットでやってたら、あの虎さんが、リハからどんどん本気になっていったんですよ! これは絶対アリス九號.に持って帰った方がいいなと自分は思いましたね。
ーーそんな二人の昂ぶっていくグルーブに、サポートメンバーも気持ちよく乗ってくれたんですね。
あのメンバー達が本当によかった。だからちゃんと“バンド”ができたんですよ。
ーーヒロトさんの歌はテクニック云々よりとにかくパッションで、その姿勢も「PROTOTYPE」がバンドになっていくための着火剤になっていたと思うんです。だからそれを最初に見抜いて、「将さんみたいに歌わなくていい」とアドバイスした虎さんはすごいですね。
それはずっと一緒にバンドをやってきたからこそですよね。
ーーそうしてヒロトさんが果敢にエネルギーを放出しながらスパークしている姿は、見ていてすごくドキドキしました。
そこは、自分でやってても「自分の伸びしろが追加されたな」と感じた部分でした。多分、ファンの人もそういうところが観られるのを楽しみにしてるんだと思うんですよ。どんな状況になってもチャレンジをして、時には心が折れて。でもそこから立ち上がって音を鳴らしてメッセージを伝える。自分が思うROCKってそういうものだった。それを今回やってみてすごく自分でも思い出したし、蘇ったし、体感したんで、その想いを「自分はどうやったら伝えられるんだろう」って作ったのが新曲の「Bring it on down」なんです。歌詞も赤裸々に綴ってて。ただ希望だけではなくて、ここ2〜3年自分の心が折れた時のこともそこには書いてて。僕はその時が単純に悔しかったんですよ。正直バンドの現状もそう。「自分が子供の頃に夢見た景色ってここじゃないでしょう」っていうのがすごく強くあって。
ーーうんうん。
それを言葉にして歌ってやろうと思ったんですよね。ボーカリストとして足りない技術面を凌駕するのは、自分にはパワーやメッセージしかないと思って。そこに振り切ってやれるのがヒロトだろうし、過去にそうやってきたというのもあるし。そこが将くんとは違う部分。だから自分としてはそれを100%でやり切った3公演でした。
ーーそこのスイッチが入っている時のヒロトさんはある意味無敵ですよね。
はははっ。今回は入りましたね。決してそれは一人で入れられるものではなくて。もちろん自問自答して辿り着くというのもあるんですけど、今回はそれを汲み取って一緒に音を出してくれたメンバー、サポートしてくれるスタッフがいたからできたことです。
ーーそうですね。
自分はそこで何よりも「音を鳴らしてバンドをやる」というのを楽しみたかった。正直なところ、バンドって楽しいだけじゃないことも多々出てくるんですよ。
ーー長年続けていると。
はい。でも最初にあったのは「一緒に音を出してて楽しい」「何かドキドキする」というものだったと思うんです。それを一人でバンドに持って帰ったとしても、ある種空回りしてしまうんです。
ーーヒロトさんはそれをやってしまいがちだからこそ、そこはよく分かってらっしゃる(笑)。
そうそう。だから、今回は虎というメンバーを巻き込んで一緒に持ち帰ることができたから、それで大きな歯車を回すこともできるのかなと思ってますね。
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アリス九號.オフィシャルnote
限りなく2次元に近い2.5Dロックバンド、アリス九號.のオフィシャルnoteです。 毎週メンバーがリレー形式でオフィシャルnoteだけの…
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