第百六十七回 Gt ヒロト|『月間少年HRT』vol.17
<特集>
ヒロトが語る
「僕とツアー『Grace The Beautiful Story』」と
「『V系って知ってる?』のビューティフルストーリー」
“結局、音楽って気持ちなんです。
声を出して気持ちを叫ぶ。これをみんな待ってたんです。"
<特別付録>
HIROTO Guitar Chanel
『「Graced The Beautiful Story」ヒロトアングルMOVIEダイジェストVer.1.0』
ーーツアー「Graced The Beautiful Story」も残すところファイナル公演のみとなりました。今回は全箇所声出し解禁での開催。やってみていかがですか?
やっぱり全然違いますね。声出しはPROTOTYPEで一度体感はしてましたけど、改めて「みんなこれを待ってたんだね」というのがフロアからすっごい伝わってくるんですよ!マスクはしてるからほぼ顔は隠れてるのに分かるんです。みんなが生き生きしてて、楽しそうな顔をしているのが。「この瞬間を待ってたんだな」という感じでした。どの会場も。
ーーみなさん声を出してくださるんですか?
出します。すごい出します!中には「怖いな」と思う方もいらっしゃるとは思うんですけど、ほとんどの方が「これを待ってた」という感じで声を出してくださるんで、それに呼応するようにバンド側も気持ちが入るんですよ。そのお陰なのか、アルバムの新曲達を初めてやってるわりには、馴染んでいくスピードが速くて。セットリストは新曲の合間に定番の曲があったりするので、そのバランスのお陰もあるとは思うんですが。にしても、新曲の仕上がりが速いんじゃないかと感じてます。
ーー新曲をやるにしても、フロアからの声援があるのと無いのでは-
全然違いますね。結局、音楽って“気持ち”なんですよ。感染症拡大が懸念される中でも、早い時期から僕らはライブにトライして。そうまでしてやってきた訳じゃないですか。そうまでしてライブに来てくれる人がいてくれた訳じゃないですか。それって、抑えられない気持ちや伝えたい気持ちがあるから動くわけで。ライブのためにまず、動いてるんですよ。身体が。
ーー気持ちがその行動をまず起こしていると。
最近将くんが何かに上げてましたけど、AIで、キーワードを入れるとデザインをしてくれるものがあって。音楽もあるんですよ、同じようなものが。結構クオリティーも高いんです。というものがある中でも、生身の人間がライブをやり、それを観に行く生身の人間が一定数いる。それはなぜかというと、そこに気持ちがあるからなんですよ。その気持ちが混ざった時に、何かが起こるからなんですよね、きっと。
ーー声援があるのと無いのとでは、その気持ちの混ざり方も違いますか?
そこは当然別物です。お互い気持ちを持って集まってる空間だから、伝えたい訳ですよ。僕らは音楽を伝えたい。オーディエンスはカッコよかったら名前を呼んで伝えたいし、興奮したら叫んで伝えたい。それをこの3年間、オーディエンス側は堪えてたんですよ。ライブをやってる2時間ずっと。めちゃくちゃ消化不良起こすと思いません?音を浴びて、伝えたいのに堪えてる。くしゃみする時、我慢したらめっちゃ身体に負担かかるじゃないですか?それと同じようなことが身体に起こってる訳だから、明らかに人体のアウトプットが削がれた状態だった訳ですよ、これまでは。だけど声出しがOKになって、それを解放できた状態では、堪えなくていいんだから。当たり前ですけど気持ちよくなりますよね。だからまったく別物になって当然なんですよ。それはツアーをまわってて思ったことですね。
ーーマスクをしての声援でもステージに声は届くものですか?
聞こえてます、聞こえてます。特にね、ライブ中演奏をしてない中、バックステージでスタンバってる時に「アンコール」の声を聞いてたら、不思議な気分に襲われたんですよ。その声が懐かしいような、でも3年もやってないから新しいような感じで。自分が今どこの時系列にいるのか分かんなくなっちゃって。これリアルな話なんですけど、1回スマホを見て、今の年月を確認しました。「あ、今2022年か」って(笑)。そんな感覚にすらなりました。PROTOTYPEの時も思いましたけど、声出しは必要なんですよ。実際、ファンの人からもそういうメッセージをたくさんもらいましたし。この3年間、抜けていたものはコレだったんだ、って。人間って適応能力が高いから、声出し禁止になったらなったなりに調整していって、無くても大丈夫だと感じてたと思うんです。けど…これは別にライブに来て欲しいから言う訳ではないんですが、この3年間で何かが抜けてるとか欠けてるとか、そういう感覚を持っていた人がいたら、なんでもいいから声出し公演に行ってみたらいいと思います。
ーー欠けていたものがすぐに分かると。
そう。ロックって元々は社会や権力、何かにメッセージしようとして若者が声を挙げるために始まったようなものだから。声を出さないロックもありますけど、やっぱり気持ちを叫ぶのがロックなんですよ。
ーーそれをバンドと観客が思い出していくツアーでもあった。
そうそう。だから、ツアーでフロアもどんどん思い出して成長していった感じがします。「Roar」は最初の2本ぐらいは、オーディエンスもどのくらいのボリュームで声を出していいのか戸惑ってた感じだったんですけど、大阪ぐらいになったらステージにガンガン聴こえるぐらい出すようになりましたから。
ーー微笑ましくもいいお話。
だからね、ファンの皆もだんだん昔の感覚を取り戻してる感じなんだと思いますよ。今回のツアーはステージと客席の気持ちが渦巻いてるツアーだなと感じてます。だからバンドって、もっというとライブって、ドラマチックですよね。計算できないものが渦巻くから。
ーーそれはヒロトさんの人生もですね。
間違いない。人生にイベントが起こりすぎるんで(笑)。
ーー予想外のイベントが今回もありましたね。
イベントがあってもギリギリ死なないんですよ。僕もバンドも。
ーー虎さんのこともあったバンドですからね。死なないってことは、まだやり遂げなきゃいけないことがあるというサインだと思うのですが。
なるほど。あ、あと今回のツアーなんですが、まだファイナルはやってないですけど、いつぶりに見たんだろう…将さんのグッと入った姿を。というのが衝撃だったんです。これは近くにいるからこそでありつつ、僕の主観なんですが、近年の将さんは“主役”を降りてバランサーのような立ち位置にいる時があると正直感じていたんですね。だけど、すごく昔は“主役は俺だけだ”っていう目をしてたんです。そこから色んなスキルを身につけていって。自分もそうですけど、将さんも気持ちとか立ち位置も色々変化していって、"圧倒的主役感"みたいなのを近年はあまりまとっていないと感じていて。僕は正直、「その他は何も関係ねぇんだよ」っていう感じで将さんが出す圧倒的主役感みたいなところに惚れたところがあったんですね。その強い目をした将さんを、久しぶりに今回のツアーで何回も観たんです。それが自分的に今回のツアーのハイライト、大きな出来事ですね。なんでこのツアーでそれを掘り起こして出してきたのか、周りからあぶり出されて出ちゃったのかは分かんないけど…そこは将さんのnoteに質問を投げてみようかな。
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アリス九號.オフィシャルnote
限りなく2次元に近い2.5Dロックバンド、アリス九號.のオフィシャルnoteです。 毎週メンバーがリレー形式でオフィシャルnoteだけの…
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