第百十一回 Gt ヒロト|『月刊少年HRT』vol.9

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<特集>2021年を総括①
「バースデーセルフプロデュースライブがバンドにもたらしたものを考察」

<付録動画>
HIROTO Guitar Channel (9.5)
Tour直前!!!リハーサルスタジオからギターシステムと音色を解説!!


前回まで、“ヒロト生誕記念号”と銘打ち、ヒロト生誕祭にまつわることだけにフォーカスするという、noteだからこそできるパーソナルな企画を3号に渡って展開してきた『月刊少年HRT』。
今回は、このヒロト生誕祭を皮切りに繰り広げられていった、セルフプロデュースによるバースデーライブシリーズをヒロトが考察しながら、2021年を振り返る。

ーーヒロトさん、2021年も残すところあと少しですよ。

確かに!自分的には、虎バ(ONEMAN LIVE 2021~虎生誕祭~「虎 VS TORA VS 天野虎 VS MASASHI」)が終わって、やっと2021年の上半期が終わったという気分なんですけど、そう思ってたらもう年末なんですね。6月~9月まで、今年は毎月のように生誕祭をやってましたけど、これが思った以上に大変だったんですよね。

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ーーえ、そうなんですか?

はい。外からはそうは見えなかったと思うんですよ。でも毎月たった1本、されどの1本で。毎月全メニューをチェンジするライブをやるというのは、過去には経験が無くて。しかもそれを半年もやり続けるというのはバンドとして初だと思うんです。セットリストは毎月ほぼ入れ替わってましたからね。2ヵ月ぐらい違うコンセプトのライブが同時並走していることは過去にあったかもしれないですけど、ほぼメニューが違うライブを半年間毎月やり続けるというのは無かったので。ヤバかったですこれは。自分が思っていた以上に。

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ーーヒロトさん的には「1カ月に1本、時間もあるからまあ大丈夫っしょ」ぐらいの感覚でいた訳ですよね、きっと。

ですです。そこそこ大変だろうなとは思ってたんですけど、言っても月1本ですから。

ーー集中してやれば全然いけるだろうと。

と思ってやってみたらそんなことは無くて。多分それは体力的なものでは無くて、精神的なもの、マインド的なキツさなんですよ。

ーープレッシャーがあったということですか?

マインドといっても、そういうものでは無いんですよ。作りたいものを作って、それを届けるためのメニューを考えてリハをして、みなさんにお届けしていくのが通常のツアーじゃないですか。1回披露したら、あとはそれをツアーを通して何回もやることでブラッシュアップしていく訳ですけど。それと比較すると、生誕祭は初演で終わる感覚なんですよ。「次はこうしよう」という感覚は捨てて、次はまた新しいものを作らなきゃいけない。

ーー初演で「次はこうしよう」という先が見えても、そこを突き詰められない。

はい。「あそこはこういう表現の方がよかったな」とか思っても、次はもう無くて。やる場所が無いんですよ。もちろん、1回だからこその緊張感はあるとは思うんですけど、バンドってストーリーが大切だと思うんですね。今回は、そのストーリーが毎回短編小説で終わってしまうような感覚だったんですよ。その短編小説の続きは見えてて、「この先の世界はこう書けばいい。次はそれを書こう。」と思っても、それを書く場所がない。長編小説が書けないタームだったんです。

ーー毎月誕生日を迎えるプロデューサー(メンバー)に合わせて、テーマとなるコンセプトが違ってましたからね。

そう。だから、続きを書きようがないんですよ。バンドとしてはもちろん積み上がっていくものはありましたけど、「曲たちをパッケージした世界の続きが見えてるのに書けない、書く場所が無い」というのは気持ち的には大変でした。半年やってみて、バースデーシーズンの間はずっとそうでした。

ーーなるほど。これまではツアーを通して前回のライブの続編となるものを次から次へと積み重ねてビルドアップしていって、長編小説を書くというスタイルに慣れていましたからね。

それを知ってるからこそ、続きが描けないのがマインド的にこんなにキツいものなのかと思ってしまったんです。「ここからスタートしたぞ」っていうところで、すぐに終わってしまうので。

ーーそして、終わったら気持ちを切り替えて、すぐに次の演目に向かわなくてはいけなかった。

そうです。僕の生誕祭がコロナの影響でずれ込んだことで、次までの間隔が1カ月無いものもありましたからね。僕の場合は、終わったらそれを綺麗さっぱり忘れないと頭の中のメモリーが足りなくなるので次に向かえないんですね。なので、そこの切り替えはすごく大変でした。役者さんって、ドラマと映画を並行して同時に何役もやれるタイプの方もいるけど、1つの役を演じるために何か月も前から役に入り込むタイプの役者さんもいるじゃないですか。そういう人は、演じる役が終わる度に一旦期間を空けてからじゃないと次にいけない。その感じに近いのかなと思いました。

ーーだけど、そんな時間の余裕は無い訳で。

だから、ずっとそういうもどかしさを感じながら次にクロスフェードしていく感覚でしたね。でも今それを振り返ってみると、それぞれの続編、あの時見えていた先のことは、どこかで今後繋がるのかなと思っていて。

ーーあそこで続編を描けなかった想いが。

はい。最近メンバー全員で曲出し会があったんですけど、それぞれが持ってきた新曲がどれも「お!結構出てるな」というものだったんですよ。各々のプロデュースライブの結果が新しい次の種となって、驚くほど露骨に出てきたなと僕は感じました。「セルフプロデュース」という形で曲を作ってライブまでやったことで、それぞれ自分のことを再認識したと思うんですよ。その上で曲を作ると、「その人らしいね」というものが露骨に出てくる。それを、これからバンドでまとめたら面白くなりそうだなと思いました。

ーーなるほど。

バンドをやり出した頃って、それまで各々別のバンドをやっていた訳だから、個々の集まりで。個々のパーソナルが集まってるだけだから、「アリス九號.らしさ」というのはその時点ではまだ何も無いんですよ。でもそれを続けていくと、どんどんストーリーが積み上がっていって、自然と「俺ららしいよね」というものが生まれてくるんです。それって、バンドの強みではあるんですけど、その反面…

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限りなく2次元に近い2.5Dロックバンド、アリス九號.のオフィシャルnoteです。 毎週メンバーがリレー形式でオフィシャルnoteだけの…

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