第百十三回 Ba 沙我|ノーズマウンテン・ラジオ「激白。」(前編)
今回は、今年も残すところあと数週間ということで、今年が終わる前に沙我様に<17th Anniversary Live「17th THEATER」>について語っていただかなければ、とマイクを向けたところ、話は思わぬ方向に。アリス九號.がカバーするのがなぜLUNA SEAだったのか。その根本にある想いを沙我様が激白。当時は分からなかったアリス九號.の秘密がここに。
ーー前回までは、3回に渡って“SAGA SEA”について語ってもらいました。
あれはよかったですね。なかなかああいう角度で深堀りして話す機会は無いんで。Twitterでも文字数の関係でできないし、雑誌でもああいうことを語ることは無いので。noteならではだと思いました。
ーーあの”SAGA SEA“が、まさか今年の周年ライブ<17 th Anniversary Live「17th THEATER」>公演への布石になっていたとは。周年ライブを観ながらそれに気づいた時は、鳥肌が立つぐらいの衝撃に襲われました。
なるほど(笑顔)。まずそこに至るまでの経緯として…2021年になってから、バンド的には刺激的なものは一つもなかったんですよ。
ーーあ、今違う衝撃が……(苦笑)。
ははっ(苦笑)。ライブをやるにあたって、バンドのテンション、気持ちの昂ぶりを感じなかったんですね、僕的には。2020年の夏にLINE CUBE SHIBUYAでライブをやったんですけど…
ーー<アリス九號.ONE MAN TOUR 2020「不夜城逃避行」〜TOUR FINAL&将生誕祭〜>のことですね。コロナ禍で有観客ライブをやるバンドはまだいなかった時期に、アリス九號.はいち早く有観客を開催した。その第1弾となるライブでした。
でもその「コロナでもやるぞ」というモチベーション、その効力はすぐに終わってしまって。そこからバンド的には「俺たち、いったい何のためにライブをやるんだろう」という根本的なところまで落ちてしまって。
ーーそれはコロナ以降、ライブのあり方がガラッと変わってしまったから?
僕はコロナは関係無いと思ってます。単純に、アリス九號.がバンドとして下降してたんだと思います。「コロナだから」とか「お客さんが声を出せないから」とか「音楽業界は今大変だから仕方がないよね」という風潮はあるかもしれませんけど、僕としてはそれは関係無いなと思ってて。別にコロナがあってもなくても、アリス九號.的に落ちてた感じがあったんで。
ーーモチベーションが落ちてたってことですか?
「何に向かって音楽をやるのか」とか「ライブはなぜやるのか」とか「何のためにバンドをやるんだろう」とか。目指すもの、目的が無くなってたんです。“お客さんを幸せにするため”が目的ではないと思っていて。なんかそれは俺、別だなって思うんですよ。それは結果的なものであって。僕らが示すもので結果的にお客さんが幸せになってくれればいいことであって。
ーーなるほど。
2020年に「不夜城エデン」という作品をリリースしましたけど。良いものができたとは思うんですけど、コロナの影響で途中でトーンダウンしてしまったとはいえ、バンドに決定的にプラスに作用した作品かっていうと、僕はそうは捉えてないんですよ。やはり、あれは外部のプロデューサーを入れて一緒に作業したんで、その力が大きかったんですよ。
ーーnishi-kenさんですよね。
ええ。だから、自力であれを作り上げたっていう感覚はまったく無かった訳ですよ。アルバムもそんな感じだったし、ライブも「コロナ禍でやった」という効力は薄れてきて。このままだと、なんか知らないけど空気のようにすっと流れて終わっていく。綺麗事なしに言うと、そういうのが2020年から続いてて。2021年もその流れのまま行ってたから、ヤバいんじゃないかと思ったんです。だから、「ここら辺で“起爆剤”でも入れとかないと、バンドはかなりまずいことになる」という意識が僕的には非常にあったんです。
ーー2020年から沙我さんはそんなことを感じてたんですか?
ええ。そういうのがずっとあったから、今年バースデー企画をやろうと決まった時に、僕は「全曲LUNA SEAのコピーでやる」というぶっ飛んだ企画を考えたんです。LUNA SEAの曲って、知ってる知らないは関係なく、本気でやらないとできないものだし。しかも、それをお客さんの前で、自分たちの曲をやらずにLUNA SEAの曲だけでライブをやるとなると、さらに本気でやらなきゃいけないじゃないですか。LUNA SEAの曲は1フレーズ1フレーズにパートごとの責任感やパワーがものすごく必要なので、誰も手を抜けない。そういうバンドの音の関係性も良い緊張感を生むと思ったので、そういうものをもう一度ちゃんとやらないといけないなと思ってたんです。
ーー沙我さんの中では、1フレーズ1フレーズ誰も手を抜けないような緊張感が今このバンドには必要だという読みがあってこその“LUNA SEA”チョイスだったんですか?
いや。そこまで読んではないですけど、「絶対にバンドは楽しくなるだろうな」という予感はしてましたね。プレイしてて、絶対にバンドは盛り上がるだろうなとは思ってました。ウチの中では虎とかNaoさんはLUNA SEAを通ってないんですけど、それでもプラスに作用して面白くなるはずだと思ってました。
ーー他のバンドではダメだった?
LUNA SEAしかありませんでした。X JAPANとかL’Arc〜en〜CielとかGLAYとか、有名なバンドは他にもたくさんいらっしゃいますけど。でも、僕らがやれるものじゃないんですよ。僕らが僕らの音だけでやれるのって、やっぱりLUNA SEAだったんですよね。
ーー迷いなく沙我さんがそう見極めた一番の理由を知りたいです。
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アリス九號.オフィシャルnote
限りなく2次元に近い2.5Dロックバンド、アリス九號.のオフィシャルnoteです。 毎週メンバーがリレー形式でオフィシャルnoteだけの…
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