月800円で雑誌読み放題



これは、2002年7月に書いたものだが、掲載する。米国の出版社5社が集まって、新しい会社を作り、雑誌34種が月800円で、読み放題というサービスをはじめるという。

料理から庭いじり、ゴルフから健康維持まで、また、ファッションからコンピュータまで、老若男女の欲求を満たしてくれるようなタイトルが揃っている。

これこそ、タブレット端末の一番ふさわしい使い方ではあるまいか。膨大な量の紙が節約でき、しかも、間に挟む広告は、動画と音を駆使して、読者の心をつかむことができる。ここから優れた芸術作品が生まれそうな予感がしないだろうか。

雑誌の種類は、これから少しづつ増やす予定と記している。しかも、バックナンバーまで、読み放題というから嬉しい限りである。

紙の雑誌と違って、ネット上の雑誌は、膨大な数の読者が見込めるので、このように薄利多売を心がけることが肝心と言ってもいいのではないか。

このシステムを映画館に適用すると、英国では年間3万円ほどで、なんでも見放題というサービスがある。年間500本ほどの新作を、気に入れば何度でも見られるので、映画好きには願ってもない仕組みである。

グーグルは映画1本を300円か400円で貸し出しているが、これも提供の仕方を変えて、月千円で映画見放題にすれば、観客の数は劇的に伸びるのではないだろうか。

このシステムは、音楽に同じように活かすことができる。つまり、現在のように、1曲いくら、またはアルバム全体でいくらと値段を決めるのではなくて、月1000円で、なんでも聴き放題とするのである。こちらのほうが、顧客をずっと多く増やすことだろう。

また、本の朗読にも適用してもらいたい。究極は一般の書籍にも、このシステムを使うことはできないだろうか。

最初の数ページを読んで、面白そうだと思って買ったはいいが、早くも10ページで飽きてしまったという経験をした人は大勢いるにちがいない。

図書館で借りた本ならば、数ページ読んで、つまらなければ放り出すことができる。このように、飽きたら、気軽に手放すことができるように、月1000円で小説もノンフィクションも専門書も、なんでも読み放題にすることはできないだろうか。

米国のように、この国でも出版社が集まって、上記のようなサービスが始まらないかと筆者は、密かに期待している。著作権と印税の仕組みをクリアできれば、意外と簡単にできるのではないか。

朝食は500円で、ケーキは1000円で食べ放題というサービスを提供しているホテルやレストランがあるのに、どれだけ顧客が増えても、内容が決して減ることのない閲覧または鑑賞サービスは、あって当然といえよう。

美術館や博物館には、愛好家のために年間パスというものがある。遊園地には、なんでも乗り放題というパスポートが用意されている。

路線バスにも応用が効くだろう。たしか、ロンドンの2階建てバスは、一定の金額で全線乗り放題である。信号待ちのとき、乗り降り自由であった、あのドアのない2階建てバスが無性に懐かしい。床は木でできていた。

バスは乗客がひとりでも、40人でも、ガソリン代にあまり変わりなければ、このサービスは的を射ている。それに、マイカーの自粛にもなるので、地球温暖化にも、一役買っていることになる。

デジタルの世界は、クラウドを利用した何々のし放題というのが、ビジネスの基本になりそうである。

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