映画フリーパスの導入を望む
10年ほど前、郵便受けに映画館の割引券が、4枚入っている封筒をみつけた。切手も何も貼られていないので、独自に人を集めて配ったものと思われる。
察するに、映画館に足を運ぶ人が減っているのであろう。昔は2本立て、3本立が珍しくなく、何回でも見られたものだが、現在は、上映ごとに観客を入れ替える。これも、原因のひとつかもしれない。
思うに、最大の原因は、料金が高いことではあるまいか。1800円は、毎月、配信動画サービスに払う金額よりもかなり高い。しかも、ネット上には、無料で楽しめる、見逃し配信動画、ゲーム、新聞や雑誌がゴマンとある。
映画館へ出かける前に、ネットで予告篇を見て、映画そのものを見た気分になる人も多いのではないか。
大きなスクリーンで映画を楽しむ人々を増やすには、映画は好きなだけ見放題というアイデアを導入する必要があろう。
1年有効のフリーパスを2万円で発売するのは、どうだろうか。10のスクリーンを持つシネコンでは、少なくとも、年300本の作品を上映するとすれば、週に2本見て、年約100本、1本あたり200円になる。週1本なら、400円。これなら、映画に行こうという人々が出てくるにちがいない。しかも、気に入った作品は、何度でも見られる。
美術館や博物館では、すでに馴染みのあるフリーパスを、どうして映画館が採用しないのか理解に苦しむ。
上映後の掃除の手間を別にすれば、観客が1人でも500人でも、上映費用は変わらないのではないか。
このフリーパスの方式が、映画動員人口を劇的に増やすのは、間違いない。指の先に娯楽がひしめいている時代である。シネコン破綻に陥る前に、ぜひ採用してほしい。
ロンドン繫華街にある、すべてのシネワールドの映画館を利用できるフリーパスは、年262.80ポンド、1ポンド160円なら4万2000円ほど。年100本見るなら、1本につき420円。
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