高津の富

古典落語として多くの噺家が演じられている『高津の富』をアニメーション にしました。

(1)『高津の富』は江戸時代中期に作られた上方落語です。
あらすじは次の通りです。
①因州(今の鳥取県方面)から来たという男が大坂の大川町(今の淀屋橋近く)の宿屋を訪れました。
②大金持ちとホラを吹きますが、実は懐には銀一分しか持っていません。
③彼のホラ話を信じた宿屋の亭主と女房は、高津神社の富札(今の宝くじ)を彼に売ります。
④男は「何が当たってもその半分をあげましょう。」とまで言いますが、本心は宿賃を踏み倒して逃げてしまおうと考えていました。
⑤翌日、ぶらぶら歩いて高津神社に辿り着いた男。
そこで、なんと一等の1,000両の富が当たります。
⑥フラフラになって宿屋に戻り、布団を被って寝てしまいます。
⑦宿屋の亭主も一等富が当たった事を知り、慌てて宿屋に戻ります。
⑨大喜びの亭主が寝ている男の布団を捲ると・・・

この上方落語の『高津の富』は、江戸落語にも引き継がれ『宿屋の富』として展開されたとのことです。

(2)電動紙芝居の作成
私は上方落語を聞くことが好きで、大阪の常設小屋「天満天神繁昌亭」等にも足を運んでいます。
立川志の輔さんも好きで、数年前に森ノ宮ピロティホールで聴いた創作落語「大河への道(初めて日本地図を作った男、伊能忠敬をテーマにした落語)」が強く印象に残っています。
ピロティホールの舞台で演じられた最後に、志の輔さんの後ろに大きな日本地図が浮かび上がった時、鳥肌が経ちました。
今回、この電動紙芝居を作ろうと思ったきっかけは、あの時の感動が大きく影響しています。
落語の魅力をイラスト(アニメーション)で表現したく、『大看板も演じる演目をビジュアルで伝えることが出来れば・・・』と思い、創作しました。
出来る限り古典題材に則って、併せて、絵から感じる面白さも加味出来たと思います。

(3)作り終えて
イラストを描くに際して桂米朝師匠、桂吉朝師匠、桂枝雀師匠など多くの素晴らしき噺家諸氏の『高津の富』を何度も聴きました。
落語は言葉だけで多くの人間感情を表現し、時代背景を伝え、私たちに夢や感動を届ける事が出来る素晴らしき芸術だと思います。
全ての登場人物の気持ちをたった一人の演者が演じ切り、言葉だからこそ伝わる感動が落語には、あると思います。
それを聴く方は壮大なドラマが頭の中で繰り広げられています。
それを痛感しました。

私が描いた電動紙芝居はそれらの落語には全く及びません。
しかし、小さな感動が少しでも提供できればと思い、ペンを動かしていました。

(4)荒い画質、無声
紙芝居屋さんの雰囲気を表現したく、殊の外、荒い画質になっています。
ナレーション、BGM等は全く挿入していません。
落語とは逆に、映像だけ(無音)でワクワク感が届けられたらと思いました。
加味してご覧下さい。

(5)12分を超えます。
全65カットの画像展開で12分を超えます。
冒頭に人物紹介やざっくりした位置関係等を挿入し、巻末にはカーテンコールも入れました。どうぞ、ごゆっくりとご覧下さい。

かみのまさひこ
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