勘定科目体系を整備しよう!
この記事は「2000字未満縛り!ゆる会計アドベント Advent Calendar 2024」の8日目のエントリーとなります。
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はじめに
勘定科目にまつわる体験でこんな経験はないでしょうか。
・「該当する勘定科目がないので、困ったら支払手数料を使いがち、残高も膨れ上がる」
・「補助科目が多く選択誤りも起きやすく使い勝手も悪い」
・「集計をする際、をエクスポートした総勘定元帳から大量の摘要や補助科目をマニュアルで拾わないと作業ができない」
・「集計したは良いものの、マニュアルで集計している為、正しく集計できているかわからない」
etc…
当時、経理2年目程度の経験しかないのに体調面が不安定な上司(取締役)とスタッフのフォローをしつつ、日常業務とオンスケで進捗する上場準備をこなしながら細かい実務面まで整備できる実力はないよと不満を抱え上記で記載したような思いをしながら業務をこなしていました。
大部分の整理が完了するまでに幸運にも単体/連結決算、管理会計、上場後には法定開示(有価証券報告書/決算短信)と幅広く携われたこともあり、約3年程度(上場前1年~上場後2年)の試行錯誤について、断片的ですがどのような点を考慮しながら検討したか2つの事例を紹介できればと思います。
膨れ上がった勘定科目の整備
上場前の事例になります。
雑多に使われることが多かった「支払手数料」の細分化です。
よくわからない補助科目の運用や摘要がバラバラであることも重なり、視認性も悪く、補助科目の誤りのような些細なものだけでなく、膨らむ金額故に前月対比が役に立たないことで未着請求書に気がつけない等、ミスは少なくありませんでした。
請求書管理は各部署の責任だと思いますが、抜けていて怒られるのは経理の為、予防策は講じなければなりません。
課題
・経 理:「支払手数料」の集約防止
対前年(前月)比確認時の視認性の確保
経理から未着請求書の確認ができる体制
・管理会計:予実管理時の煩雑な整理の解消
準備として総勘定元帳から下記のようなデータベースを作成し、ピポットテーブルで月次推移を作成します。
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ここまで完了すれば、取引内容①/②の内容を元に下記の点に注意しながら勘定科目の細分化をしていきます。
・月次推移確認時、金額変動で請求の未着に気が付けるような割振り
・各部署へ予実を投げる際、勘定科目+取引先(必要に応じて補助科目)で大まかに費用の中身が把握できる構成
データベースへ変更後の勘定科目を追加し、勘定科目を横軸に月次推移を作成、課題が解決できていれば完了です。
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補助科目を廃止する
会計システムのリプレイス時の事例になります。
前段では支払手数料の細分化について触れましたが、P/Lは「勘定科目+取引先」で多くが内容を把握できる体制になった結果、作業が増えるだけの補助科目を廃止しました。
課題
・補助科目廃止に合わせたB/Sの勘定科目体系整備
・補助科目で集計していた連結仕訳、税務会計の検討
1つ目のB/S整備は非常に簡単でした。
補助科目のみでしか判断できないものは取引先名に補助科目を設定すれば完了です。
固定資産のみ、附属明細書の作成や開示項目の集計時、月次の突合表確認時に各資産と減価償却累計額が1:1の方が楽だった為、対象の固定資産科目にまとめていた資産除去債務の切り離しや減価償却累計額を各資産に設けるよう変更しました。
2つ目は補助科目を廃止すると記載しておきながらも、勘定科目と補助科目を合体させて解決しています。
連結仕訳
グループ間取引のうち、連結消去が必要なものは専用の勘定科目「連結_勘定科目名」を使用することで解決しています。
エクセルで連結精算表を作成していた為、会計システムのリプレイスに合わせた連結精算表の再作成により、連結仕訳のマスタを整備することで試算表を張るだけで連結精算表が完成するようにしたのも連結決算の点で楽になりました。
税務会計
B/Sの増減で別表調整ができないものに限り整備をしています。
連結仕訳と同様の方法で税務上の調整が必要な場合は、勘定科目「税務_勘定科目名」設定することで解決しています。
使うことは少なかったですが、「交際費」、「租税公課」、「株式報酬費用」あたりを使っていました。
おわりに
会社毎に歴史や特色があり、勘定科目の整備も楽ではないですが、どこかで見直してみると思っていた以上に仕事がやりやすくなるかもしれません。
すぐに見直せるものでもないですが、きっかけの1つになれば幸いです。