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初めての東北地方へ―あり観!宮城・杜の都 仙台編

はじめに

これまで20回以上『あり観!』を実施する中で、言わば未開の地だった東北地方。
私が住んでいる地域からも遠く、関東圏との結びつきも強いことから、なかなか訪れる機会がありませんでした。

しかし、折しも4月下旬に幕張メッセでニコニコ超会議が開催されることもあり、以前ご紹介した新潟編でもイベント前に経由した前例が悪魔の囁きとなり、ポチポチと旅行サイトで予約してしまう…。

とはいえ、なるべくアクセスしやすい所が良いということで、今回宮城県を訪れることとなりました。


まずは仙台空港へと向かいます

大阪伊丹空港から仙台空港までは約1時間15分程のフライト。
決して長くはないのですが、初めての東北地方ということもあり、ちょっと奮発してプレミアムクラスに乗りました。

全日空のプレミアムシート。座席も足元も広々で快適。
ただ一つ不満があるとするなら、ボーイング737の機種ではUSB端子がないくらい

当日、機材の調整で搭乗時刻がやや遅れたものの、搭乗客がそこまで多くなかったため、スムーズに乗り込みが終わり、定刻通り離陸しました。

離陸前に客席乗務員がプレミアムシート利用者にご挨拶を伺う等、ちょっとしたVIP感を味わえる…はずだけど、逆に私は妙な緊張感で座席に縮こまっていました。
広い座席がいつも以上に広く感じられ、やはり慣れないことはすべきだったと思いながらも、次回乗る時はそんなこともなくなるんでしょうね。

飛行機が安定飛行してから少ししてから、久しぶりとなる機内食の提供。
かつては、エコノミークラスでも機内食が提供されていましたが、今ではある程度のランクでなければ提供されないのは悲しいところ。

そんな久しぶりの機内食というワクワク感もあってか、機内食にもスープが付いているにも関わらず、なぜか別で提供される飲み物でスープを頼んでしまうというやらかしも。

その後、客室乗務員の方が改めて飲み物を伺いに来られたので、ホットコーヒーを頼みました。

当日の機内食。早朝便とあってサンドイッチとスープが提供されました。が、写真の通りスープが二つもあるという摩訶不思議な光景。さすがに、味は違いました。


仙台空港から仙台市内へ

色々やらかしもありましたが、定刻通りに仙台空港に着陸。
まず、ここから岩沼海岸周辺等を巡りましたが、この辺りの経緯については今後のnoteでご紹介に回すため割愛。

仙台空港駅で仙台まるごとパス(※)を購入してから仙台空港鉄道に乗車し、そのまま仙台駅へと向かいます。

(※)仙台市やその周辺地域の鉄道・バスが2日間乗り放題となるチケット。

仙台空港鉄道。座席はクロスシート。ちなみに、JRの車両では背もたれの頭部分がもの凄く固いレベルですが、こちらの車両はまだマシだったりします。

仙台駅から仙山線に乗り換え、東照宮駅へと向かいます。
初めての土地ということなので、行先を見てもどこにいくのかチンプンカンプンな状態になると思いきや、割とスムーズに目的地へ向かう電車に乗車。

意外と知らない土地でも順応してしまうのが、ありすさんの特技なのかもしれませんね。


東照宮周辺

仙台駅から一つ隣にある東照宮駅で下車し、そこから歩いて3分程の距離にあるのが仙台東照宮です。

仙台東照宮。正式名称は東照宮ですが、日本各地にも東照宮があるため、ここでは仙台東照宮と表記しています。

1654年に仙台藩2代藩主の伊達忠宗が創建した神社で、伊達政宗没後、領内で大火や大洪水等の災害が続き、藩財政が重大な危機に陥った背景があり、仙台城の鬼門鎮守としての役割もあります。

入口から随身門までは表参道と49段の石段を登りますが、最上段から振り返ると、1.5km先まで真っ すぐ伸びる宮町通りを見ることもできます。

最上段からの風景。中央奥に向かって宮町通りが伸びているのが分かります。

そして、随身門をくぐると拝殿が見えてきます。
仙台東照宮では、随身門や本殿、石灯篭等が国の重要文化財に指定されていおり、特に本殿は七宝金具を使用した金具で装飾されていて、その重厚さを伺うことができます。

なお、5年に1度、徳川家康の命日に当たる4月17日頃に仙台祭も実施されており、次回の開催は2028年となっていますので、機会があれば併せて訪れてみても良いかもしれませんね。

仙台東照宮拝殿。奥に見えるのが本殿。


また、仙台東照宮の近くにも仙岳院という天台宗の寺院もあり、仙台東照宮の別当寺として創建されました。
元々、江戸時代を通じて一体の関係にありましたが、明治時代の神仏分離令で仙台東照宮から分けられ現在に至っており、現在、本尊として釈迦三尊(釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩)が祀られているほか、釈迦殿や宝物館等もあります。

また、境内には藤棚もあり、春には綺麗に藤の花が見られるので、仙台東照宮と併せて参拝してみましょう。
ちなみに、この時期はクマバチが非常に多く、大人しい性格とはいえ、下手に刺激しないよう十分ご注意下さい。

仙岳院。境内は自由に参拝できます。
仙岳院境内にある藤棚。ちょうど見頃でしたが、クマバチも多い。


北仙台駅周辺

東照宮駅から更に一つ隣にある北仙台駅は、地下鉄南北線の乗換駅にもなっています。

この辺りには結構寺院が多く存在しており、その代表的なものの一つとして、光明寺があります。

光明寺。こちらも石段を登った先に本殿があります。

伊達家初代当主の伊達朝宗の夫人光明寺殿の菩提寺として、福島県伊達市に 創建された後、1604年に現在の場所に移りました。
北山丘陵にある5つの仏閣は『北山五山』と呼ばれ、仙台城の鬼門を守る他、奥州街道の関門として、仙台城下町の北の守りとされていました。

なお、こちらの墓地には支倉常長の墓と宣教師ルイス・ソテロの記念碑があります。
支倉常長は伊達政宗の命で慶長遣欧使節としてヨーロッパに渡航し、アジア人として唯一 無二のローマ貴族及びカトリック教徒となった人物です。しかし、帰国時には江戸幕府では禁教令が出され、不遇な晩年を過ごした経緯があります。

ただ、支倉常長の墓は光明寺以外にも、宮城県川崎町にある円福寺、同県大郷町の支倉常長メモリアルパーク内にもあり、どれが本物かは現在でも定かではありません。
とはいえ、日本史の中でも比較的名の知られている人物なので、一度は見ておきたいスポットではないかと思っております。

支倉常長の墓。その右手には宣教師ルイス・ソテロの記念碑もあります。


この他にも、この周辺で有名なものとして、青葉神社があります。
1874年に伊達政宗を祭神とした神社で、境内には正宗の正室である愛姫を祀った愛姫神社もあります。

青葉神社入口。ちなみ、鳥居は東日本大震災で倒壊したそうですが、現在は復旧済み。

5月には青葉まつりが行われるほか、現在の宮司は仙台藩家老の片倉家の16代当主であり、『戦国BASARA』に登場した片倉小十郎の子孫に会うことを目的に訪れる歴女も多いという話もあるそうです。

境内には八重桜も咲く等、本当に緑が多く、普段もそこまで参拝者が多い訳ではないので、ゆっくりとお参りできるのではないかと思います。


国際センター前駅周辺

続いて、地下鉄東西線国際センター前駅は仙台国際センターの最寄り駅となっていますが、青葉山公園等の史跡へ行かれる場合にも、こちらへ案内されます。

開業して日が浅いことから、ガラス張りの駅舎等の外観は綺麗で、2階部分には屋外テラスも設けられています。
更に、2017年にはフィギュアスケート冬季五輪金メダリストである荒川静香氏と羽生結弦氏の功績を讃える『フィギュアスケートモニュメント』が設置されています。

実は、仙台市はフィギュアスケートと深い関係にありますが、そのことについては後述します。

地下鉄国際センター前駅外観。駅前広場も広々としています。
駅前にあるモニュメント。羽生弦氏のパネルが2枚あるのは2019年の平昌五輪によるもの。



駅から国際センターの外周を進んでいくと、青葉山公園が見えてきます。
こちらには仙台城跡(青葉城址)等がありますが、順を追って見ていきましょう。

まずは仙台緑彩館という2023年に仙台藩の重臣・片倉小十郎の屋敷跡にオープンしたビジターセンターがあります。

仙台緑彩館全景。

こちらには、仙台の歴史や文化等の情報発信や休憩スペースとして活用されているほか、青葉まつりに使われる正宗公山鉾や仙台七夕まつりの七夕飾りの実物、地元の伝統工芸である仙台箪笥の展示等もあります。

トイレもあるほか、冷暖房も完備なので、ちょっと疲れたなぁと思った時にはこちらで休憩しながら、仙台の伝統を見てみましょう。

正宗公山鉾と七夕飾り。通常は青葉まつりの時にしか見られませんが、ここに来れば1年中見ることができます。

仙台緑彩館のすぐ近くには五色沼という池があり、実はここがフィギュアスケート発祥の地とされています。
というのも、仙台城廃城後、自由に立ち入ることができるようになった明治中期に、外国人がここでスケートを始め、1909年にドイツ語教師ウィルヘルが学生に指導したことが、フィギュアスケートのルーツとなっています。

実際、昭和期にはここでスケートをする市民の姿もありましたが、1956年にヒートアイランド現象が顕著となり、厚い氷を張ることがなくなったため、終焉を迎えました。

今では全国各地にスケートリンクがありますが、そうした設備がなかった当時だからこそ活用された場所として、見に行ってみてはどうでしょうか。

五色沼。今ではただの池ですが、確かにスケート向きな広さがあります。


続いて仙台市博物館
こちらは東北地方の歴史や文化史、美術、工芸資料を展示する人文科学系総合博物館となっており、敷地外には中国の紹興市から贈られた魯迅像、林子平のレリーフ等の記念碑や作品等も展示されています。

期間限定の展示があるほか、1日乗車券等の各種提示割引もありますので、ぜひこちらも見学しておきたいスポットかと思います。

仙台市博物館全景。


仙台市博物館を過ぎると、いよいよ仙台城跡の石垣が見えてきますが、ここから急な上り坂が続きます

仙台城本丸跡へと続く道。奥の方の勾配のきつさがよく分かります。
あまりに道中の坂道がきついせいか、ベンチも用意されています

本来であれば、仙台城跡へ行く場合、ループル仙台という観光向け循環バスで行くのが一番楽なのですが、こちらのバスは一方向にしか運行していないため、乗車する際には予めルートをよく確認しておきましょう。

ループル仙台。仙台駅前を出発すると、瑞鳳殿前→仙台城跡→国際センター前…というルートで向かうのでご注意を。


こうして苦労しながら登って行くと、仙台城跡本丸の石垣が見えてきます。
ここまで来ると、仙台城跡まであと少しというところです。

仙台城跡石垣。ここまで来ると、かなり登ってきたことを実感します。
仙台城跡到着…んんん?鳥居?※詳細は後述

仙台城跡がある地点は標高約130mと比較的高い位置にあり、周囲に高い建物もないため、仙台市内を一望できるビュースポットとなっています。

そもそも、仙台城は周囲の断崖による天然の要害に築城されており、将軍徳川家康の警戒を避けるために、 あえて天守閣は設けられなかったそうです。

仙台城跡からみた風景。奥に見えるのが仙台駅周辺。
大広間跡。現在の仙台城跡では建物らしい建物はあまりないことから、VRでかつての姿を見ることができるほか、夜間にはライトアップもされます。


また、仙台城跡では伊達政宗像もあり、ニュース映像等で見たことがある人も多いかもしれませんが、実はここにありました。
この日もどこかのテレビ局がわざわざ撮影に来ており、ゴールデンウイークも近かったこともあり、もしかすると、どこかの番組で使われていたのかもしれませんね。

伊達政宗像。凛々しい姿は仙台市を象徴する存在かもしれません。


また、仙台城跡には宮城県護国神社もあります。先述の鳥居もこの護国神社のために設置されたものです。
こちらは、明治維新以降の戦役で、宮城県に関係のある戦没者を祀る神社で、境内にある本殿は戦後に伊勢神宮別宮『風宮』の旧社殿を移築したものとなっています。

ちなみに、護国神社では青葉城址仙台市は仙台城跡と呼称しており、これは青葉山公園の地の権利関係が複雑であることが原因となっています。

宮城県護国神社拝殿。別宮として浦安宮があり、そちらでは白水稲荷大神と伊達政宗を祀っています。
境内にはひょうたんも吊るされ、この中に息を吹き込んで蓋をすることで厄払いをします。


なお、2022年3月に発生した福島県沖地震により、石垣の崩落や伊達政宗像等が損傷する被害がありました。

政宗像については復旧したものの、2024年4月現在も石垣の修復工事が行われており、それに伴い道路の通行止め、並びにループル仙台の経路変更が実施されています。

通行止めとなっている道路。早くても2025年3月末までかかる見込みです。


青葉通一番町駅・仙台駅周辺

そして、仙台市中心部に戻り、仙台駅や地下鉄東西線青葉通一番町駅にかけて、アーケード街が広がっているほか、広瀬通等の主要幹線道路にはたくさんの木々が植えられています。

主要都市の中心部で、このようにたくさんの緑が見られるのは、愛知県名古屋市くらいしか思い浮かばなかったりします。

サンモール一番町。アーケード街の中にも緑が見え、太陽光が天井のすりガラスが通して優しく照らしています。
青葉通。仙台でも有数の幹線道路ですが、こちらも緑が非常に多い。


また、仙台駅から西へと延びるハピナ名掛丁商店街は、平日日中でも非常に多くの方で賑わっており、飲食店等も数多く並んでいます。

ちなみに、8月上旬に行われる仙台七夕まつりでは笹飾りを見ることもできますので、ぜひこの時期に合わせて行ってみて下さい。

ハピナ名掛丁商店街。仙台駅からも目と鼻の先とあって、非常に多くの人が行き交っています。


また、仙台駅に隣接する形で建つAER(アエル)には、展望室が設けられています(※開放時間10時~20時)。

アエル全景。若者向けファッションブランド店等も多く入居しています。


こちらの展望室は、日本海側(東側)と青葉山公園側(西側)からの風景を眺めることが可能となっており、昼間はもちろん、夜景も楽しむことができます。

特に、夜間はカップルの遭遇率が格段に上がるのはご愛敬です。

展望室から青葉山公園の方を見た風景。眼下に見える細長い筒状のものは、商店街のアーケード。


ちなみに、展望室はガラス張りとなっていることから、万が一の有事の際には、ガラスから離れるようにという注意書きもあり、あまり他の展望台では見かけない文言も見ることができます。

綺麗な夜景の前には、物々しい注意書きが…


終わりに

いかがだったでしょうか?

初めての東北地方・仙台市内を散策しましたが、思った以上に都会であり、見どころもたくさんありました。

都合上、行けなかった箇所も多数ありますので、次に行く機会があれば、また巡りたいと思っています。


おまけの話

仙台市では、仙台駅を結節点に、地下鉄南北線と東西線の2路線が運行されています。

そんな仙台市営地下鉄の駅構内で、7時~21時までの毎時00分に『荒城の月』が流れるのはご存じだったでしょうか?

これは、『荒城の月』を作詞した土井晩翠氏が仙台出身だったこと、『地下駅構内の暗いイメージを払拭し、心和む音楽を提供しよう』という目的で流されているそうです。

しかし、私としては、特に南北線のホームでは節電対策で蛍光灯が抜かれている所が多数あり、この環境で聴くと、より物悲しさを助長させているような…という感がなくはない気がしました。

地下鉄東西線北仙台駅ホーム。見た目は明るそうに見えますが、見ての通り、蛍光灯が抜かれている所が多く、実際はかなり暗いです。

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