首都圏で下町の旅情を味わえる―あり観!東京さくらトラム沿線編
はじめに
今回は『あり観!ありすさんの観光情報』vol.4で実施しました東京さくらトラム沿線編についてご紹介していきます。
東京と言えば日本の首都であり、色々なものが集まり、どこにいても人が多い。そして、電車もどんどんやって来る。
地方に住む人にとっては憧れの地であることは間違いないですが、実は東京にもノスタルジーな乗り物があるのをご存じですか?
それが今回ご紹介する東京さくらトラムです。
東京都の北側をたった1両の電車がトコトコ走る路面電車ですが、かつては東京23区を縦横無尽に走っていました。
しかし、高度経済成長期に入ると、次第に車社会となり邪魔者扱いに。それを地下鉄やバスに置き換えるような形で廃線され、唯一残されたのがこの荒川線です。
都電と言うと、どこか古くさいイメージせいか、『東京さくらトラム』と新たに愛称が付けられました。けれども、今一つ浸透しておらず、今でも『都電』で通じてしまうのも皮肉と言えるでしょう。
(※このnoteでも、分かりやすく都電と表記します)
前置きが長くなりましたが、東京の下町を走る都電の魅力的な沿線を巡っていきましょう。
荒川区(三ノ輪橋~荒川車庫前)周辺
都電の東側の起点となる三ノ輪橋。
こちらには、都電の案内所やかつて使用していた品を展示している三ノ輪橋おもいで館があります。
一日乗車券(※)や各種グッズ等も販売しており、こちら側から乗車する時にはまず訪ねておきたい施設です。
(※)1日乗車券については車内等でも販売しています。詳しくは東京都交通局のHPをご参照下さい。
また、三ノ輪橋停留所から荒川一中前停留所前まではジョイフル三ノ輪という商店街があり、昔ながらの古びた感じがあるためか、『3年B組金八先生』や『万引き家族』といった映画やCMのロケーションになることもあるそうです。
路面電車の一駅分は通常の鉄道とは異なり、そこまで距離がある訳ではないことが多いので、アーケード街をぶらぶら歩きながら、次の停留所まで歩いて見るのも良いかもしれませんね。
ちなみに、都電沿線からもスカイツリーを見ることができますが、実は都電とスカイツリーを一緒に撮れる場所は限られており、その一つが荒川区役所前停留所です。
昼間に撮るとなんてことない写真にはなりますが、夜になるとライトアップされた写真が撮れますので、また違った光景を楽しむことができます。
続いて、荒川二丁目停留所。
冒頭の写真にもありますが、遊歩道のそばに桜並木があり、春には都電と一緒に桜を撮ることができるスポットの一つです。
都内には多くの桜の名所がありますが、平日でもだいたい混雑していることが多いですが、こちらは案外そうでもなく、ゆったりとお花見をしたい時にはこちらで見るのがオススメです。
また、近くには荒川自然公園や三河島水再生センターもあり、自然豊かな場所となっていますので、小さいお子様連れで遊びに行くのも良いかもしれませんね。
続いて、宮ノ前停留所。
駅の目の前には尾久八幡神社があります。応神天皇を主祭神として、古くから尾久の人々に信仰されいます。また、学業成就や商売繁盛、病気平癒等のご利益があります。
停留所からもすぐ行くことができますので、ふらっとお参りしてみてはどうでしょうか?
そして、荒川車庫前停留所。
こちらは都電の車庫となっており、主に朝晩を中心に電車の出入りがありますが、桜の開花時期等には臨時列車も運転されることもあり、日中にも入出庫されます。
そんな都電の車庫のそばには、都電おもいで広場があり、かつて都内で運行された車両が保存されています。
土日祝日のみオープンとなっていますが、入場は無料で、模擬運転台や機器操作の体験等もでき、子供だけでなく大人にも楽しめる施設となっています。
飛鳥山周辺
この辺りは都電で唯一道路と併用区間となる場所です。
路面電車と言えば、道路の上を車と一緒に走っているイメージがありますが、荒川線では王子駅前停留所から飛鳥山停留所までの限られた区間しかありません。
裏を返せば、荒川線が今でも残っているのも、住宅地の中を走り、バス等の代替手段がなかったからとも言われています。
飛鳥山停留所には飛鳥山公園があり、こちらも都電沿線にある桜の名所の一つです。
普段からも自然に溢れ、多くの方が訪れますが、桜の時期には更に多くの観桜客が集まり、賑わいを見せています。
また、飛鳥山は渋沢栄一ゆかりの地であり、2021年にはNHK大河ドラマ 『青天を衝け』のドラマ館(※)も期間限定でオープンしました。
この他にも、渋沢資料館や古墳、また屋外に廃車となった都電等の車両も展示されておりますので、ぜひ散策してみて下さい。
(※)北区飛鳥山博物館に併設されたもので、現在は終了。
庚申塚~鬼子母神前周辺
庚申塚停留所の近くには、名前の由来となった猿田彦大神を祀る巣鴨庚申堂があり。小さな祠ではありますが、現在の庚申堂は江戸時代の明暦の大火(1657年)後に建立されたと推定されています。
また、この庚申塚から都営地下鉄三田線巣鴨駅近くまで続く約800mの間には約200店舗が軒を連ねる巣鴨地蔵通り商店街があります。いわゆる『おばあちゃんの原宿』とも言われており、4が付く日には縁日が催され、多くの方で賑わいます。
その商店街の途中には高岩寺があり、ここではとげぬき地蔵が有名で病気の治癒改善にもご利益があり、高齢者の参拝が絶えないのも、そうした由縁があるのも頷けます。
続いては鬼子母神前停留所。
停留場名では『きしぼ』と案内されますが、法明寺にあるのは鬼子母神堂は『きしも』と呼ばれています。
参道にはケヤキ並木が続き、それを抜けると境内にたどり着くことができます。
ここでは安産や子育の神様を祀られており、郷土玩具『すすきみみずく』という可愛らしいお守りも販売していますので、興味がある方はぜひご購入してみて下さい。
早稲田周辺
学習院下停留所を過ぎると、都電西側の起点となる早稲田停留所までもうすぐ。途中、神田川を渡って南向きに曲がると、そのまま終点まで川と並走していきます。
そんな面影橋停留所から早稲田停留所の横を流れる神田川も、桜の名所として春には多くの桜が咲き誇ります。
東京では目黒川の桜の方が知名度として高いですが、私は神田川の桜も全然オススメできる場所だと思っています。
神田川の桜以外にも、肥後細川庭園という江戸時代の大名屋敷の回遊式泉水庭園を主体とした公園もあります。
園内は無料で見学でき、自然豊かな風景を満喫することができるということで、実際に中を散策してみましたが、「ここは本当に山手線の内側にある場所なのか?」と思えるくらい、のどかな雰囲気が漂っていました。
東京と言えば、どうにも高いビルが立ち並んで…というイメージが先行しますが、実際にはこうした場所も結構あり、コンクリートジャングルしかないという訳ではなかったので、少し安心しました。
ひとまずの終わりに
いかがだったでしょうか?
東京23区内の、しかも一部は山手線の内側にこうした下町情緒溢れる風景が今でも残されています。
都会での日々の生活に疲れた時には、ふらっと都電に乗ってノスタルジーな旅へ出かけてみましょう!
東京さくらトラム編を行うきっかけとなった裏話
ここからは、イベントでは語られなかった裏話についてお話します。
実は、私は成人してから一度も東京に行ったことがありませんでした。
もちろん、修学旅行でディズニーシーには行ったことがありますし、その時には東京を通過しましたが、実際に足を下したのが、都電沿線を巡ったのが初めてです。
というのも、私が住んでいる近畿圏で、遊びも文化的なものも十分事足りていましたし、大きなイベントやライブにも一切興味を示さなかったので、行く必要がなかった訳です。
もちろん、行きたくない訳ではなく、いつか行きたいなぁと思っていた時、会社で珍しく出張で関東方面に行く機会に恵まれした。
更に、この頃は『バンドリ!』にハマっており、都電で『バンドリ!』とタイアップしていた車両も走っていたことあり、「これはチャンス!」だと思っていました。
ところが、時は折しも2020年2月。
そう、日本だけでなく、世界中で新型コロナウイルスが流行を見せた時期でした。
当初は1泊予定だったのが日帰りとなり、更には運悪く横浜港に到着したクルーズ船『ダイヤモンド・プリンセス号』で集団感染で隔離措置が行われた結果、出張そのものがなくなってしまいました。
仕方がないにせよ、流石にこの時ばかりは悔しい思いをしました。
その後、北海道で緊急事態宣言が発令され、状況は悪くなるばかり。
悩みに悩んだ結果、急遽日帰りで東京旅行を決行しました。
しかし、コロナも流行り出している状況で自身が感染しないため、『マスクは絶対着用、人混みは避ける、滞在時間は最小限』というルールの元、東京に向かいました。
当日、「目的のバンドリ電車が走っていなかったらどうしよう…」と思いましたが、比較的早くに見つけることができ、またパネル等が掲出している場所を可能な限り巡った後、簡単に早稲田周辺の聖地巡りをしました。
ちなみに、この時楽しめた時間はたったの2時間、移動時間を加えると3時間しか東京に居られませんでした。
金銭的にも非常にもったいないと思えるかもしれませんが、この頃は金券ショップで東海道新幹線の指定席回数券が普通に売られていました。
ただ、コロナが流行したことで、販売価格が瞬く間に下落し、標準的な価格設定よりも数千円以上安く得られたのも幸か不幸かという感じです。
その後の状況に関しては皆さんの知るところなので、説明する必要もありませんが、流石に旅行に行く場合、この時のような強行軍で行くことは辞め、翌年の同じ時期に改めてゆとりのある予定を組んで沿線観光をしました。
若い時に無茶をすることはよくある話ですが、旅行をする時にはくれぐれも余裕を持った行動をしていきましょう、というのが今でもありすさんの教訓になっています。