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2024/06/14 大阪旅行 2日目


旅行の朝食は喫茶店派

朝8時半、スマホのアラーム音で目が覚めた。実家暮らしの身分。姉もまだ家に留まっている。たった1人で夜を過ごすなんて滅多にないことだし、コンビニでデザートとか買い込んで、自分の家より大きめのテレビ付きの部屋で夜更かししたい気持ちもあったけど、寝不足と疲労が祟って割と早めに寝てしまった。

朝ご飯は、駅から5分程度の純喫茶でモーニングを食べるつもりだ。友達と旅行に行ったときはみんなホテル朝食を希望する為、旅先での喫茶店モーニングは一人旅行でしかできない醍醐味でもある。

荷物をまとめ、ホテルをチェックアウト。駅から5分とはいえ、ホテルとは真反対な位置にあることを念慮していなかったため、想定より歩く羽目になった。早朝から煌々とした街並みを進み、高架下の暗がりに隠れるように構えているレトロな看板を発見。恐る恐る入店する。

そこに居たのは50くらいマスターではなく、若いの男女2人組の店員さんだった。店構えからしてリリーフランキーみたいな見た目の店主を勝手に想像していた分、最初に見たときは呆気に取られたが、この昭和レトロな空間を歳ごろの男女が仕切っているというのもなかなか趣深いではないか。眼鏡を掛けた愛想のいい男性店員が注文を受け、少し眠たそうな金髪ポニテの女性店員が珈琲を淹れ始める。2人のボソボソとした会話がNHKのテレビ番組の音にかき消され、想像の余地を与えてくる。

席に着いた時点で有無を言わさず灰皿を出してくれた。成人後も友人と立ち寄った競馬場で年確されたり、試験監督のバイト先で受験生の中学生と勘違いされたこともあり、この気遣いがとても嬉しかった。せっかくなので買ってから結局一回きりしか使ってない電子タバコを吸った。紙巻きタバコじゃないので、脳がすっきりするとか、そういう作用は一切ない。気分を味わうだけである。

肝心のモーニングは珈琲350円、トースト100円と、ドトールと同じくらいの金額設定。素朴な味わいだが、内装や店員さんが築き上げるモダンな空気感が相まってとても満足した。ゆったりとした朝を過ごし、次なる目的地を目指す。

御堂筋の沿線上

梅田駅の構内もスムーズに移動できるようになってきた。御堂筋線で心斎橋駅まで移動し、心斎橋商店街へ突入する。

基本的に1人で歩くだけなので、退屈凌ぎにさんぽ神のアプリで啓示をいただく。お題は「上半期の振り返りをしよう」というものだった。初めての留年という経験をし、停滞しかしていない時間を過ごしているため、わざわざ振り返るような劇的な出来事などは特にない。マジで思い付かない。結局この日の啓示は達成出来ず、4ヶ月ほど経っても未だ次のお題に進めないままでいる。最早このアプリ置き物である。

商店街は何となく入りにくい店が多く、雰囲気だけ楽しんで歩いていた。途中に一軒だけ、東京でもよく見かける低価格のアクセサリーショップが閉店セールを行っていた。色々物色したけど、似合っているかの判断が決めきれず、そのまま店をあとにした。

戎橋でスパイダーマンが町民からおひねりをもらっているところを目撃した。勝手ながら大阪には大道芸人みたいな人が溢れているイメージがあったけど、まさか出くわすとは。ホンモノのパチモンに少し感激した。

道頓堀の川沿いを散策する。噂に聞くトー横界隈のマイナーチェンジ版、グリ下界隈というやつかと期待を胸に抱く。しかし程なくして、平日真っ昼間の猛暑の中、非行少年少女が屯しているわけないという、至極真っ当な現実を突きつけられた。諦めて商店街に戻ると、お好み焼き屋さんから制服をきっちり着た丸刈りとセンター分けの男子学生二人組が、満足そうに綻んだ笑顔を引っ提げて出てきた。もうそろそろ昼どきかと思っていたら、同じ店から慌てた様子の店員さんが二人に駆け寄り、「料金ってお支払されました?」と問いかけた。人生で初めて遭遇した食い逃げ犯(未遂)。さてはお前らがグリ下界隈か。

また飯の話題

さてさて、今日こそはネギ焼きかお好み焼きを食べるぞと意義込み、目的の店を目指す。昨晩は梅田駅という巨大迷宮に阻まれ、行きたかった鉄板料理の店は入店前に営業時間が終了してしまったのだ。リベンジに燃える僕を、無慈悲にもアスファルトまで降ろされたシャッターが待ち受ける。

絶望を感じた瞬間、そのすべてが杞憂に変わった。ここから歩いて5分の高島屋に移転したという貼り紙が。これでようやく待ちにまった鉄板料理とのご対面だ。

店内はカウンター席のみ。食べている人も並んでいる人もご高齢の方が多い。もしかしたら、一枚一枚量が少ないのかもしれないと思い込み、入店前に店員さんにオーダーを聞かれたのでねぎ焼きとお好み焼きを両方注文してしまった。馬鹿なのか、僕は。念願のソウルフードを前に舞い上がっていたのかもしれない。

冷静に考えて、平日の昼間なんだから客層も偏るに決まってんだろ!!一枚目に出てきたねぎ焼きは特に絶品だった。甘辛い牛すじとシャキシャキのネギがふわふわの生地に包まれ、そのすべてがかみ合った逸品。そして二枚目のお好み焼きは、、、正直、腹がはち切れそうだった記憶しかない。。。後先考えなかったせいで、優雅な食事とは言い切れなかったが、またこれも思い出の一つである。

昼食後、近くに551があることをGoogleマップに教えてもらったのでお土産を買っていくことにした。豚まんを購入し終えたあと、忘れていたことを思い出した。アメリカ村に寄らずに難波まで来てしまったのである。迷ったけど、何といってもこのピーカン照り。豚まんの紙袋を持ったまま引き返すのも面倒だったし、今回は見送ることにした。

帰り道こそメインイベント

大阪までは夜行バスで来たわけだが、帰りも高速バスとなるとさすがに疲れるだろうという懸念と、週末の便であるため割高になっていたことを受け、帰りの足は飛行機を使うことにした。我ながら大胆だな。

なんば駅から関空まで電車で一本で行ける。外にいても暑くてしょうがない。空港へ行くのも初めてだし、空港内を見て回るのも悪くないかもしれない。飛行機の出発まであと4時間弱あるけど、さっさと移動することにした。

飛行機の予約をする際、母に、機内で長時間過ごすにあたって、どうやって時間を潰すものなのかと尋ねてみた。母は昨年、姉と二人で台湾に行ったばっかりだ。母いわく、各席にモニターが付いていて、映画などを見て時間を潰すのだそうだ。その話を素直に受け止め、のだめカンタービレでも見ようかとのたまっていたものの、関空へ向かう電車内で重大な事実に気がついた。

航空会社から送られたメールを見返していると、オプションを追加しませんか?という誘い文句が目に映った。悪寒が走る。恐る恐る内容を確認すると、モニターを借りるか否かの選択肢がデカデカと記載されていた。僕は全てを察した。母と姉、結構いい航空機使って行ったんだな。ああ。羨ましい。

自分自身の確認不足がもたらしたショッキングな出来事は、これだけに留まらない。Googleマップで見たときの空港の広さを過信したのが悪手だったか。思ってたより何もねぇ。だだっ広いだけ。案内を見る限りお土産屋さんはゲートを通過した先にあるっぽいのだが、4時半になるまで入れないっぽい。あと1時間以上はあるなぁ。アメリカ村、余裕で戻れたな。

時間の使い方をミスったという悔恨。でも次第に、「初めて飛行機に乗る」っていうこと自体がこの旅行における一大イベントであると自分に言い聞かせ、これはこれで思い出だなと、状況を受け入れられる気分になってきた。ポジティブで草。

回遊記録

荷物チェックのゲートを通過してからもまだ、飛行機の出発まで2時間ほどある。事前に持ち込みNGな品物について色んなサイトを調べ、重量オーバーにならないよう手荷物も最小限を心がけていた。しかし、それらが入場時に細かくチェックされるわけでもなくすんなり通され、旅行前から懸念していた数々の不安が杞憂だったことを知った。スパイや密売人からしたら関空は狙い目かもな。

お土産を見て時間を潰す。たこ焼きせんべいや、紅生姜味の柿の種をカゴに入れる。俺流の無難なお菓子デッキで会計しようと思ったが、その直前にお好み焼き粉が陳列されているのが視界に入った。僕の調べたサイトによれば、粉ものは持ち込みNGだったような気がしたけど、だったら売るなっちゅう話なので遠慮なくデッキに組み込むことにした。

映画一本見れる程度の時間を過ごしたのち、いよいよ搭乗の時が差し迫る。CAさんの案内に従って、指定予約した窓際の席に着く。CAさんがアナウンスを始め、ものの数分で離陸の準備が整った。高校生の時、SDGsについての授業でさんざ聞かされた、CAさんの台詞がジェンダーレス仕様にアプデされたという情報、あれ本当だったんだ。

飛行機が滑走路を走り出す。その様子を暫く眺めていると、隣の席にいたお姉さんに肩をつつかれた。振り向くと、そのさらに隣の席にいたおじさんが中国語で何かを訴えようとしていた。なんて言ってるか分からなかったが、スマホを構えていたことで、その意図は伝わった。視界を遮ってしまっていたみたいだ。手早く写真を撮ると、おじさんはこちらに向かって多分「シィエシィエ」と言って頭を下げた。

飛行機は地平線の遥か上を浮遊する。金曜日の夜7時、テレビに齧り付いて、空を飛ぶことを夢に見ていた幼少期。飛行機に乗ること自体に憧れていた。今となっては、そんなことで胸がときめくこともなく、あくまで交通手段の一つと認識するようになっていた。いつのまにか「大人になったら忘れちゃうのかな」という歌詞の重さが突き刺さる年齢になっていた。なんだかなぁ。心に渦巻く虚しさを振り払うように、飛行機は積乱雲を突き抜けた。せっかくなら自分も写真撮るか。そう思い至り、シャッター音を鳴らした。

CAさんが機内を見回りし始める。と思ったら僕の座っている列の前で歩みを止めた。CAさんは中国語を喋ってたおじさんに近づき、何か話しかけていた。するとおじさんは、流暢な日本語で返答し始めたのだ。一瞬、状況を飲み込めなかったがつまり、先ほど僕は日本語の通じない中国人だと思われていたということである。まぁ、誤差の範囲か。

されど日常がはじまる

この2日間+αは、自分にとって特別な日だった。なんせ1万字くらい書いてる。マジ万字。

ライブは期待以上に最高だった。好きなアーティスト同士が、お互いにリスペクトしているところを見れる時ほど楽しい時間はない。丸2日間を自分一人で計画して行動したことに対する達成感も大きい。

交友録3には日程が合わず、惜しくも参加はできなさそう。もしここまで読んでくれた人の中に、交友録3を見に行った人が居たら、あとで感想を聞かせて欲しいな。

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