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【人間観察】働くパパの一面

自分が担当する案件で、ちょっとした問題が発生した。

クライアントから溜まる着信履歴。おそらく沸騰5秒前だ。
急いで事態を把握せねばと、発注先の担当者さんに電話する。

その担当者さんは発注先の営業で、30代の既婚男性。
昔はモテただろうなというダンディな風貌で、人当たりもなめらか。関西出身で飲むと陽気、キャバクラではしゃぐ一面も知っている。

そんなダンディさんと電話越しに緊迫した会話をしていると、後ろからかわいい声が聞こえた。

「ねぇ、パパぁ」
「ごめん、パパ今忙しいから後でな」
「え~、なんでぇ」
「今はあかんの、ちょっとだけ待っとって?」

そんなやりとりが電話越しに聞こえる。

あ、家にいるんだ、と察する。
そういえば、お子さんがいるって言ってたっけ。

「すみません、今日出張から帰って来たんですけど、疲れすぎて空港から直帰しちゃって。」

「こちらこそ、お疲れのところ申し訳ありません…」

申し訳ないな、早くお子さんに構ってあげてほしいな、と思いながらも、事態の確認と収集をお願いしなくてはならない。できるだけ手短にお願い事項を伝えて、そそくさと電話を切った。

通話終了ボタンを押した後も、「パパぁ」とねだる声が耳の中に残る。
パパを奪ってしまった悪者のようになった気分で、罪悪感が胸いっぱいに押し寄せる。

ああ、申し訳ないことしたなあ。
でも、しょうがなかったよなあ。

そう思いながら、年明けにダンディさんと交わした会話をふと思い出した。

お正月休みはどうでしたか?という年始の定型質問に対して、ダンディさんはこう言った。

「僕はずっと子供と二人きりで。
しかも奥さんは仕事でいなくて。
正直、早く休み終わってくれって思ってました(笑)」

きっと本心そのままの言葉じゃないだろうけど、私はこの発言に少しショックを受けた。
だって子供からしたら、お父さんがこんなこと言っていたら悲しいもの。

でも、さっき電話越しに聞いた、ダンディさんのお子さんへのなだめ声は、営業として取引先の私と話すときの何倍も優しくて、愛情に満ちていて。

ああ、優しくて良いお父さんなんだなあ、って。

私の中でのダンディさんの株は急上昇した。

家庭やプライベートでどんな人かって、仕事する上では関係ないかもしれないけれど、やっぱり人と人なわけで。
こうゆう人間的?な一面で、そのひとの見方が変わっちゃうこともあるなあ、と実感したのでした。

働くママも大変だけど、働くパパも大変だよね。

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