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平成最後の3月 華金のコリドー街にて②

次に一緒に飲んだのは、身なりの整った商社風の二人組。
これまた大学時代の友達らしく、二人して馬喰町に住んでいるらしい。

深夜のテンションで、よくある「名前当ててみよう」のノリでお互いの呼び名を決める。外人顔のダニエルと、日本人顔のタカシ。(ライン交換したら本名は全く違った。)

【ダニエル】
・馬喰町在住(一人暮らし)、27歳、渋谷IT系
・目力強め、体育会系、首にBluetoothイヤホン

【タカシ】
・馬喰町在住(寮)、27歳、大手町金融勤務
・お酒弱い、疲れてる、眠たそう(というか最後寝てた)

何の話をしたかも忘れたけれど、1時間もせず解散した。

だってね、タカシがもう寝ちゃったから。
きっとナンパなんてしたくないけど、ちゃらそうなダニエルに付き合わされたんだろうなあ。彼女いそうだし、絶対いい彼氏なんだろうなあ。ごめんねタカシ。

なんて勝手に想像して、ダニエルに「ちゃんとタカシ送ったげてね」とお願いして、先にタクシーに乗り込む。

するとダニエルがタクシー代を渡してくれた。「また飲もうね」って。

けれどもはやタクシーで帰ることすら面倒になって、とりあえず帰るふりをして、ダニエル達から見えなくなったところで降りる。

疲れで誰かと話すことすらめんどくさくなった私たちは、まだまだ元気な男性達の群れをかき分け、朝まで営業しているお店に入って始発を待つことに。さっきもらったタクシー代を使って。


深夜まで店内でナンパ祭りが続くことで有名なそのお店の隅っこに座って、周りを観察する。
次から次へと入っては出ていく男と女たち。こんな夜中でもみんな元気だ。まさにオスとメスって感じ。生命力有り余ってて羨ましいな、ああやって楽しんだもん勝ちだよな、人生。

そうやってぼんやりしていると、しばらくして近くに座った中国人ビジネスマンが話しかけてきた。最初は楽しく話をしていたのだけど、感心するほどの早口日本語で話すマシンガントークが止まらなくて、最後は相槌を打つのすら面倒になってきた。

話したいだけ話すと、彼は帰った。(きっと誰でもいいから、誰かに話を聞いてほしかったんだろう…)
今日見たどんな男よりも、その彼は生命力に溢れていた。良くも悪くも、中国人のパワーってすごい。

朝4時半。始発まで外で夜を明かしたのなんていつぶりだろう?と思いながら、寒い朝の空気のなか、新橋駅に向かいました。

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