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明治時代にタイムスリップ@代官山

「例の英語おじさんとお食事会、来る?」
そう誘ってきた友達と、代官山のフレンチに向かう。

なんでも、その友達がアプリで出会ったおじさんは、メッセージのやりとりが全て英語らしい。思いっきり純ジャパニーズだけれど。
それに合わせて友達も英語で返信しているのだけど、端から見ると日本人同士なのに何だこれ?状態。

外人かぶれのイケイケなおじさんなのかな。
ひょっとしたら、外人の友達とか連れて来るのかな。
なんていう興味心が湧いて、誘いに乗った。


指定されたお店は、一軒家を改修した素敵レストラン。
軽井沢の山奥にひっそりに佇んでいそうな、レトロな雰囲気のお店。

席へと案内されると、英語おじさんはぴんと背筋を伸ばして座っていた。一人で。

そう、てっきり二対二だと思っていたけれど、おじさんは一人だったのだ。
二対一という、初めてのパターン。

【ケンイチさん】
・46歳、医師、新宿区出身、仙台在住
・3つの会社を経営、東京ではホテル暮らし

英語おじさん改めケンイチさんは、小太りだけれど、お上品な白いジャケットから清潔感が漂う紳士おじさん。想像していたイケイケおじさんとは程遠かった。

職業を尋ねると、“医療系コンサル”との答え。が、よくよく聞くとお医者さんらしい。
医者と言うと良いことがないから、そう答えるようにしているという。

どうやら、ちょっと天邪鬼な感じの人だった。


一方で、今まで付き合った女医や看護師の話を心底嬉しそうに話す様子や、「今までアプリでどんな人と出会ったんですか?」「なんで結婚してないんですか?」という私たちの遠慮ない質問にも素直に返答する様子をみると、根は純粋な子供みたいなひとなのかなあ、と思ったり。


ふだん他愛もない話をする友達がいないのかな。
だからこの場にも一人で来たのかな。

お医者さんで、会社も持ってて、自信もお金もあるだろうけれど、プライベートは寂し気なひとだった。

執事のような格好のウェイターさんが持ってくるお料理はどれもおいしかった。クラシックな食器も素敵で。


レトロなお店の雰囲気と、ケンイチさんの紳士な風貌と律儀で控えめな話し方が相まって、明治時代の山奥に佇むお屋敷で、恭しきご身分の伯爵だか侯爵だかとお食事会をしているような、そんな気分だった。

ちなみに、メッセージが英語だった理由は謎に包まれたまま。

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