見出し画像

画像生成AIで変わる商品画像制作: 課題解決と効率化フロー

EC店舗や自社WEBサイト、SNSでの商品紹介において、魅力的な商品画像を製作することは商品価値やブランド上げるための重要な施策です。しかし、画像製作には以下のように多くの課題が伴います。

  1. 画像制作のための労力

    • 各バリエーションごとに異なる画像を用意するのは労力がかかる

    • 商品に合った背景を用意する手間がかかる

    • アパレル商品などでは、モデルの手配が必要で、時間とコストがかかる

  2. イメージが伝わりやすい画像制作の難しさ

    • 照明などの関係で、実際の商品と画像の色味が異なってしまうことがある

    • 家具・インテリア商品であれば、商品画像の背景とユーザーの部屋が異なるため、実際に商品を設置したときのイメージがわきにくい

    • アパレル商品では、モデルとユーザーの体型が異なるため、実際に着用したときのイメージがわきにくい

こうした課題を解決するために、画像生成AIの活用が注目されています。

画像生成AIとは

サンプル:画像生成AIで出力された木のアヒル

画像生成AIは、テキストで完成形のイメージを指示することで、一から画像を生成したり、画像を加工して別の画像にすることができ、画像生成AIを利用することで、様々なシチュエーションやバリエーションに対応した商品イメージを簡単に制作することが可能になります。
そのため、従来画像制作にかかっていたコストや労力を削減できるだけでなく、ユーザーのニーズに合わせた幅広いパターンの商品イメージ画像を制作することも可能となります。今回は、画像生成AIでできること、商品画像制作への画像生成AIの活用方法についてご紹介します。

画像生成AIができること

画像生成AIは主に下記の2種類のタスクに対応可能です。

指示テキストからの画像生成

  • 指示テキストに沿った様々なパターンの画像を生成

  • 架空の人物や、背景として利用可能な画像を生成することが可能

指示テキスト+参考画像からの画像生成

  • 指示テキストに沿って参考画像に近い画像を生成

  • 生成する画像の構図、人物の顔、服装といった要素を視覚的に指定することが可能

これらの機能を活用することで、商品画像制作を大幅に効率化することが期待できます。

画像生成の例

Stable Diffusion WebUI Forgeの画面

実際にこれらの機能を活用して、どの程度のクオリティの画像が生成できるか確認してみましょう。今回は、自身のローカルPCで画像生成AIを使用できるStable Diffusion WebUI Forgeというアプリケーションを利用して、画像を生成した例を示します。画像生成AIモデルとしては昨今の画像生成AIブームのきかっけを作った企業の一つであるStability AIが開発した、Stable Diffusion XLを利用します。

指示テキストのみで生成した結果

まずは、指示テキストのみから猫の画像を生成しました。実写と見間違えるレベルのクオリティで生成できていることが確認できると思います。一方で、テキストだけの指示で自分がイメージしている画像を生成させるのは至難の業です。そこで、指示テキスト+参考画像による画像生成機能の出番となります。

指示テキスト+参考画像からの生成

今回利用したStable Diffusion WebUI Forgeでは、マウス操作で参考画像の編集したい箇所の指定ができます。ここでは、先ほど生成した画像の右側のソファのみを修正するように指定しました。生成結果を見ると、指定した位置の色が多少変わっていますが、かなりリアルな加工ができていることがわかります。

このように、昨今の画像生成AIでは実写と見間違えるようなリアルな写真を生成できるだけでなく、同等のクオリティで画像を加工することも可能となっています。

画像生成AIを活用した商品画像制作

前述したような画像生成AIの機能と、従来の画像編集技術を組み合わせると、商品画像制作を大幅に効率化するワークフローを構築することが可能です。例として、Algomatic社内でデモ的に構築したワークフローを3つ紹介します。

例1: 背景の変更

商品の写真と指示テキストのみで様々なパターンの背景に差し替え可能

以下のような流れで商品を撮影した画像の背景を変更可能です。

  1. 商品を撮影した写真と指示テキストを入力

  2. 画像の商品部分を検出

  3. 画像生成AIが背景の指示テキストをもとに2.以外の領域を生成

自由に背景を変更できるようになるため、ユーザーが実際に商品を利用するシーンに近いイメージを用意することが簡単になります。

例2: 商品のカラーバリエーション別のイメージ画像作成

商品画像の中の商品のみカラー変更が可能

以下のような流れで商品のカラーを変更可能です。

  1. 商品画像と変更後のカラー指示テキストを入力

  2. 商品画像と変更後のカラーの指示をもとに、画像生成AIが商品の色を変更した画像を生成

このワークフローを活用すると、同じような写真をカラバリエーションごとに撮影する必要がなくなり、労力の削減が可能になります。

例3: 商品を着用したモデル画像の作成

商品の写真からそれを着用した人物を生成可能

以下のような流れで商品を着用した人物の生成が可能です。

  1. 商品を撮影した画像を入力

  2. 写真の商品部分のみを切り抜き

  3. 画像生成AIが2.の画像を着用した人物を生成

このワークフローを応用することにより、モデルの手配が不要になり、画像制作のコスト・労力・リードタイムが削減可能です。


あくまで、これらのワークフローは画像生成AI活用の一例ではありますが、このような作業自動化を導入することで、画像制作で課題となっていた労力の削減や、イメージが伝わりやすい画像制作を実現することができます。

おわりに

商品画像制作における課題は多岐にわたりますが、画像生成AIの活用によってこれらの課題を大幅に軽減することが可能となります。
背景の変更やカラーバリエーションの作成、さらにはモデル画像の生成まで、従来の手法では時間とコストがかかる作業を効率的に行えます。

画像生成AIを導入することで、EC店舗や自社WEBサイト、SNSでの商品の魅力を最大限に引き出し、ユーザーに対してより具体的で魅力的な商品イメージを提供でき、これにより、購買意欲の向上や売上の増加も期待できます。

今後も技術の進化に伴い、画像生成AIの機能はさらに向上していくことが予想されますが、競争力を高めるための一助として、ぜひ画像生成AIの活用を検討してみてはどうでしょうか?

弊社のAI Transformation(AX)事業部では、今回ご紹介したような画像生成AIを活用したソリューションだけでなく、お客様の業務課題に応じた最適なAIソリューションのご提案を行っております。AIによる業務効率化や新たな価値創出に興味をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。