華アワセ唐紅/うつつ編蛟√感想 逃げたらツキも終わる。

唐紅/うつつ編蛟√のネタバレ感想です。







くれなゐ様と相性が悪すぎて、彼のことになると優しさも理性も冷静さも吹き飛ばされてしまう蛟さんです。姫空木編蛟√との温度差に震えろ。

蛟さんはみことちゃんを狙いくれなゐ様を刺した犯人の似顔絵を使って、その行方を追っていました。
くれなゐ様の魂を探すために蛟さんとパートナーになると蛟√になります。

儀式のキスがやたらえっちな蛟さんです。蛟さん、初心なのに色々大胆だから結構むっつりだと思います。健全で良い。

蛟さんとパートナーになったことで、華園は大騒ぎになります。まさかの葵さんが亡くなっている世界なので、蛟さんには今まで特定の相手がいなかったんですね。
開闢の肉食女子生徒に揉まれてきたのに一切女子に手を出さなかった蛟さんに、百歳ちゃんからお説教と奥義☆乙女がとろけるAtoZのプレゼントです。房中術のプレゼントは面白すぎる。
みことちゃんが「いっしょに登校してくれた」と謎フォローを入れてくるのも面白い。まずは知り合いからはじめましょう!なピュアなみずみこ可愛いです。

実力主義な鴻鵠組に残るため、みことちゃんはお姉様方を華うつしで倒して居場所を確保しようとします。
枯渇で倒れたみことちゃんを処置しようとして、でもどこに連れていけばいいか困ってる蛟さんが可愛い。色々考えて部屋に連れていけない蛟さんが可愛い。
冷たく突き放す百歳ちゃんGJです。結局蛟さんはみことちゃんを部屋に連れていって処置をしてくれます。部屋に運んでからもあれこれ葛藤する蛟さんはたまらなく可愛いですね。
みことちゃんを脱がせる実況しちゃうのも、お決まりの目を閉じているも頂けて、思わずニヤニヤしちゃいます。

くれなゐ様と違って水妹の力を引き出すことができていないのではないか、と思い悩む蛟さんに、「みんなあなたのために強くなろうと頑張っています」とみことちゃんは声をかけます。
くれなゐ様と関わってから変わった、というみことちゃんに、蛟さんは嫉妬心を覚えます。

蛟さんとくれなゐ様は元々水妹への接し方が正反対です。正しく節度を持って水妹と接する蛟さんに対し、くれなゐ様は水妹に軽々しくスキンシップをとります。水妹への対応が違うから、理解できない。でも桜花の水妹が強いのはわかる。だから元々モヤモヤしていました。
そんな中、自分が好ましいと思っていたみことちゃんすら彼の影響を受けていることを知り、蛟さんの中でくれなゐ様への敵対心が少しずつ広がっていきます。不穏な気配しか感じない。

みことちゃんは朝鍛練をする蛟さんにお弁当を作っていきます。みことちゃんの料理を食べて「食事とは、楽しいものだったのだな」といって微笑む蛟さん。幸せにしたいなぁ…。
真面目で真摯なみことちゃんにどんどん心惹かれる蛟さんですが、その根底にはくれなゐ様への想いがある。それを知って蛟さんは思わず「君は、彼のような使い手を望むのか。君を所有物とするような、強引で傲慢な男の方が…」と言ってしまいます。

みことちゃんはもう、くれなゐ様の本質が見えている部分だけじゃないことに気付き始めています。でも蛟さんには見えている部分しかわかっていないんです。

蛟さんはみことちゃんにどんどん惹かれていきますが、タネカスに房中術をみっちり仕込まれてもなかなか行動には至りません。かわいいか。
DVDのパッケージ見ただけで過剰反応しちゃう蛟さんが微笑ましい。なんだかんだいいつつ輸血してまで最後まで観た…いや、観させられたみたいですし、鑑賞中の様子もぜひ見たかったです。

みことちゃんは夜の五斗街に誘い出され、くれなゐ様?とその取り巻きに穢されそうになります。助けに来てくれた蛟さんたちのおかげで事なきを得ます。
このくれなゐ様?、言動の上っ面こそ似ているんですけど、水妹を大切にし誰かを傷付けることを嫌うくれなゐ様とは中身が全然違うんですよね。

それを見抜いて「あなたなんか、知らない!!」って言い放つみことちゃんが勇ましいです。逆に蛟さんは「あれは、自分が知っている彼そのもの」と言います。
人は相手を見たいようにしか見ない。その認識を正すことはとても難しいです。好感度マイナスから恋愛まで進められたくれなゐ様とみことちゃんは、認識を正したことで幸せを掴んだ。真実を受け止めなければ、ハッピーエンドは訪れないんてす。

この件をきっかけに、一気にくれなゐ様?と蛟さんの仲が険悪になります。みんなはみことちゃんを狙う犯人を特定すべく協力し合ってるのに、蛟さんはみことちゃんを守ることに固執して一人で行動します。バッドエンドに向かって坂道を転がり落ちる音がする…。

夜の温室で、みことちゃんと蛟さんはふたりきりで話し合います。蛟編の唐紅√を思わせるシチュエーションが不穏でそわそわします。
蛟さんは最初、一族の望みでみことちゃんのパートナーになったのだと懺悔してくれます。みことちゃんがくれなゐ様?に襲われかけたことを受けて、結婚のためにパートナーに立候補したことをひどく悔いていました。そして、自分の中にあるみことちゃんへの感情を申し訳なく思っていました。それは健全なものなので、変に押し殺さなくてもいいのに蛟さんにはそれがわかりません。

自分は呪われていると言う蛟さんをみことちゃんは優しく否定します。泣く蛟さんに心のままに生きて欲しいと伝えるみことちゃん…いい雰囲気なのに、「ずっと一緒にいて欲しい」と言う蛟さんに対して、改めてみことちゃんはくれなゐ様のところに戻ると告げます。つらい。

みことちゃんに「大好き」と言われた百歳ちゃんの暴走具合が凄まじいです。百歳ちゃん友情√も欲しいです。

蛟さんはみことちゃんを守るためにひとりで花伐に行ってしまいます。そんな中、アイちゃんが苦しそうにしている電話がかかってきて、みことちゃんは開闢高校へ向かいます。
が、待ち受けていたのはくれなゐ様?でみことちゃんは彼に襲われます。それを目撃した蛟さんは激怒。中の人の演技がすごいです。くれなゐ様?が気持ちを解放することに言及するんですが、そういう言動をするのはくれなゐ様じゃないんだよなぁ…。
くれなゐ様?が矢で射られて、暗転の中こつこつ歩いてくる蛟さんが怖すぎます。

ここで蛟さんが口にする歌は、ざっくり言えば「すべての人間に罪があり救いがある」という内容らしいです。仏教からの引用なのは西行法師の歌ばかり詠む蛟さんらしいですが、今まさに断罪する側の発言としてはちょっと不自然です。
もしかして、彼自身意識していないだけで無意識下ではくれなゐ様?の正体に気付いているのかもしれません。などと思いました。

疫病に蝕まれたくれなゐ様とアイちゃんを華アワセで殺してしまい、泣くみことちゃんを蛟さんが支えます。蛟さんが「君に注ぎたい」って言ってくれたのが、直前の泉流先生とののろけ会話を受けてのことだとわかるから、もはや告白と同義なんですよね…。しんどいです。

蛟さんはみことちゃんにミズチの家から出ないように言います。携帯も没収され、もはや監禁です。みことちゃんはさんざん狙われてきているから、守りたいと言ってくれる蛟さんに反論できません。

蛟母と子供時代の蛟さんの夢を見たみことちゃんは倉に向かいます。ここでみことちゃんの背を押してくれる人が誰かは、蛟編後日談小説を読んでいればわかると思います。
倉でアルバムを見て、みことちゃんはくれなゐ様を刺したのが蛟母と同じ顔をした人間だと確信します。が、蛟さんは自ら望んでうつろひに取り憑かれ、みことちゃんと結婚しようとします。完全にヤンデレだ!

みことちゃんを助けに来たのは姫空木さん他でした。王子様…!!
ここでくれなゐ様?の中身が蛟さんだとネタバラシがきます。みんなはみことちゃんや蛟さんを泳がせ、くれなゐ様?を捕獲しアイちゃんを救ってくれていました。
主要キャラがみことちゃんの家のリビングに大集合しているのはちょっと面白いです。ここはレンタル会議室だった?

蛟さんが最も憎悪していたくれなゐ様は、実は隠していた自分自身の心だった。そんな真実があまりにも残酷です。そんな姿を誰にも見せたくなかったはずなのに、惚れている女の子を襲って泣かせる姿を強制的に見せつけられるのは辛い。

正反対でいて、よく似ている。そんな斧刑事の台詞が唐紅√クリア済だとよく刺さります。ふたりとも家と役目を重視し、女性に優しく、真っ直ぐです。ただ、くれなゐ様はそれを隠して自由奔放なように振る舞っていただけで。
対する蛟さんは自分の本心を押し殺して逃げていた。本心を認めてあげられなかったから、今の展開になっているんですよね…。

蛟さんを粛清することになり、みことちゃんが囮役を引き受けるかどうかでエンディングが分岐します。

囮役を引き受けると蛟さんがこの場の全員を殺し、みことちゃんは夫を自称する蛟さんに誘拐されます。「おいで、我が妻よ」って言ってくるの闇が深くて結構好きです。願わくは台詞自体はハピエンで言って欲しいけれど。

みことちゃんは監禁生活で心を壊してしまいます。みことちゃんに照れたり躊躇ったりせず接する蛟さんのコレジャナイ感が凄いです。みずみこは新婚ごっこで照れまくるくらいの初々しさが魅力なんだよなあ…。

結局みことちゃんは蛟母の顔をした人に、お腹の子供ごと殺されます。ここでの彼女の目的は蛟以外の一族の根絶、つまりお腹の子供でした。妻子を失った蛟さんの叫びがあまりにも悲痛で辛い。蛟さんにはもう、そのふたりしか残ってないのに。

このエンドの最後の理事長が結構謎で、壊れたみことちゃんとその子供が最後の希望ってなんだろう?という疑問が未だに解消されません。みことちゃんは泉姫候補だからともかく、生まれてもいない子供に何を見出だしていたんでしょう。この話はここでおしまいだし、別のツキで掘り下げられることもないんですが…。

みことちゃんが蛟さんを助けるために誰かに相談したいと思うと、姫空木さんが蛟さん粛清派を睡眠薬で寝かせてくれます。王子様怖い。睡眠薬入りカモミールティーを断ったみことちゃんに「そう。なら、丁度いい」って満面の笑みを見せてくれる姫空木さんが怖い!(好き)

みことちゃんは姫空木さんたちとミズチに会いにいきます。くれなゐ様として話をしてくるミズチに、みことちゃんは名前を呼んで呼び掛けます。
最初彼はミズチだと認めませんが、段々本音が出てきます。ここの声がだんだん蛟さんになっていく演出が凄いです。中の人すごい。
「どうしたら君は自分を愛してくれるんだ」って泣きながら言うミズチが切ないです。

そこに蛟さんが現れますが、ミズチのことを自分だと受け入れません。姫空木さんの力で体に戻ったくれなゐ様と一緒に、蛟さんの闇を払います。

みことちゃんは蛟さんのパートナーとして、水を注ぎ続けることを誓います。それを認めるくれなゐ様も、きっとみことちゃんを帝に渡す羽目にならなくてよかったと心のどこかで思っているんじゃないでしょうか。厳しめに言えば、くれなゐ様はみことちゃんへの気持ちから逃げる良い口実を得られたのだと思います。

逃げたら、ツキも終わる。そんなみこと祖父の一言が刺さるお話です。

今までのバッドエンドと違ってかなりハピエンに近いメリバなのが印象的です。

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