華アワセ唐紅/うつつ編共通~唐紅√感想 唐紅の歌物語。
唐紅/うつつ編共通~唐紅√クリアまでのネタバレ感想です。
姫空木編まででみことちゃんの性格は「自立している」からそこの「甘え下手」、「優しいお姫様」に見えて意外と「強いし己を曲げない」ことがわかってきました。
今回のみことちゃんは、「歪んだ優しさ」と「傲慢さ」にスポットライトが当たっているように感じます。
みことちゃんは非常に優しい性格をしていて、本命の相手が大変な状況でも今となりにいる男に心を砕ける女性です。向けられる感情に鈍感な上に優しすぎるから、相手の勘違いを加速させる無自覚小悪魔です。
唐う編ではそんなみことちゃんの優しさの理由を見つけることができます。
物語は蛟編冒頭と似て非なる始まりです。
いろは様がみことちゃんを庇って事故にあい、みことちゃんはいろは様を見守っていました。ここには鬼札がなく、いろは様はすぐに帰ってしまいます。
部屋を出たところで事情聴取に来た斧刑事とぶつかります。いきなり連絡先教えろとかチャリスだし怖すぎる。ところでいろは様が男子高校生とか言われると違和感しかない…よね…。
百歳ちゃんの話から、鬼札がみことちゃんを導かないため華園に迎えられないことがわかります。
そんな中、みことちゃんはうつつくんの夢を見ます。彼の導きでツキの半身を華アワセで倒してしまいます。鬼札もみことちゃんのツキもうつつくんが握っているような言い方をされます。不穏だけどみこみこ言ううつつくんが可愛くてにっこりです。
みことちゃんは開闢高校に通っていて、まさかの姫空木さんまで華園ではなく開闢高校の生徒です。姫先輩って呼び方が可愛い。だけど空木の闇が感じられない開闢の王子様に少し寂しさを感じてしまいます。
通学中の電車で唐う編キーキャラのいめくんと出会います。こっちもあわあわしてて可愛いです。
みことちゃんたち3人組と姫空木さんが普通に青春してて、こういう路線も楽しそうだな~とちょっと思います。姫空木編の後だから、ショウくんと姫空木さんが仲良くしているのがちょっと嬉しい。
開闢の全校集会に校長としてくれなゐ様が登場します。なぜかバイクで講堂に殴り込みです。校長の定義がわからなくなってきた。
くれなゐ様はみことちゃんにセクハラしたり、ショウくんに暴力を振るったりしたので、みことちゃんからの好感度が早速0になります。お約束の展開です。
講堂にうつろひが湧き、くれなゐ様とみことちゃんがアワセて戦うことになります。そのまま気絶したみことちゃんの家に、いめくんとぼんぼんがやって来ます。みことちゃんのパジャマに顔真っ赤ないめくんがピュアで可愛い。
いめくんに連れられて、みことちゃんは華園にやって来ます。いめくんにも暴力を振るうくれなゐ様を見て、みことちゃんからの好感度は0どころか過去一番のマイナスへ転落します。キスされて枯渇を起こすみことちゃんも恒例行事みたいになってきましたね。
みことちゃんは末利花から水妹の水をもらい、講堂に湧いたうつろひと戦おうとします。くれなゐ様はみことちゃんよりも穢れた桜花の水妹を優先してその場からいなくなります。やっぱり自分の女を大事にする男なんだよなあ。
いめくんとみことちゃんで華アワセをしてうつろひを倒しますが、いめくんはくれなゐ様に殴られます。痛そう…。
理事長の前でも喧嘩したりして、みことちゃんからくれなゐ様の評価は「乱暴だし、口は悪いし、女性に対して失礼だし!本当に最低大嫌い!」になります。こんなに口調が荒いみことちゃんは珍しいです。もうここからは上がるしかない。
くれなゐ様側も「やかましいだけの、はねっかえりのわがまま女」「あんな女、コッチから願い下げだ!」になってるし。好感度マイナス同士からの恋って燃えますね。
ナチュラルにみことちゃんの家で朝御飯を食べる姫空木さん。本当に闇なし爽やか王子様でどう接していいかわかりません。庭で抱えて座り込みしてた姫空木さんがいないのは寂しいし、そういうところがないからみことちゃんとフラグを建てられないのでは?と思います。姫みこの恋は「知りたい」から始まるから。
鬼札が導かないみことちゃんは泉姫候補かもしれないということで、あと一週間で華園に通わなくてはならなくなります。その間みことちゃんに華遷を教え、守ってくれるのが、交換で開闢に通うことになった蛟さんと姫空木さんです。
これを口実にみことちゃんとスキンシップを取りまくるのは実に姫空木さんという感じです。
共通の段階からみことちゃんをめぐってめちゃくちゃ張り合うふたりが可愛い。親友同士っていいよね。
理事長とひよこちゃんからくれなゐ様がいめくんを殴った理由を聞き、みことちゃんはくれなゐ様に「私も殴って下さい」と言います。度胸がすごい。イケメンすぎる。
怖いながらも覚悟を決めたみことちゃんに、くれなゐ様から熱いキスを一発贈られます。ご褒美かな…。女は殴らない、どこまでもくれなゐ様って感じでかっこいいです。
ここでみことちゃんの名前をちゃんと聞くのも良いですよね。明らかに興味持ってくれてるって感じできゅんとします。
結局桜花の女になる件で喧嘩して、みことちゃんは勢いでうっかり「あなたが忠誠を誓うに足りる人だとわかったらします。あなたの物になってもいい」と言ってしまいます。あーやっとくれなゐ様√が開いた音が聞こえます。
ついでに「あんな人に惚れるなんて…ないっ!」って言うみことちゃん。自らフラグを建てていくスタイルなのが可愛いです。あとくれなゐ様のキスをやさしかったとか振り返ってるの乙女で可愛い。めちゃくちゃ気になってるじゃんって大声で言いたい。
みことちゃんは公園でうつつくんに出会い、襲ってきた教頭先生と華アワセで倒します。疫病も、冒頭の事故も、同じ犯人だと斧刑事は疑います。私はあなたを疑ってるよ。
くれなゐ様の「ここは病院だろが。くだらねえ事情聴取なんざ、ケーサツでやれよ」があまりにも正論すぎてかっこいい。くれなゐ様から、教頭とアワセて浄化したことを誉められ、本音では怖かったのもありみことちゃんは泣いてしまいます。くれなゐ様が優しくてかっこよくてキュンキュンします。
ここのくれなゐ様がもう一週間自由にしろというのが個人的には好きなポイントです。みことちゃんが華園に来て泉姫になったら、くれなゐ様の立場では絶対に帝に捧げなければならない。みことちゃんが気になるから来て欲しいけど、気になるからこそ来て欲しくない。そんな心理が透けて見えるし、だんだんくれなゐ様が本気になってきてるのがわかって好きです。本気だからこそ遠ざける男、良い。
ひよこちゃんからくれなゐ様が桜花の水妹とキスしたりいちゃついたりするという話を聞いて、思わず怖い顔をしてしまうみことちゃんです。みことちゃん側も、くれなゐ様への好感度がマイナスじゃなくなってますね!自覚はなさそうだけど。
くれなゐ様はやっぱりみことちゃんにセクハラ発言して、みことちゃんは怒ります。「私は、私だけを見てくれる人じゃなければ嫌!」と啖呵を切りますが、それってつまり「私だけを見て」とほぼ同義なんだよなぁ…。くれなゐ様に妬いてるって言われても言い返せません。
くれなゐ様とのキスを振り返ったりするあたり、みことちゃんがとても乙女してて好きです。本当に嫌いなら振り返ったりしないんだよなあ。
くれなゐ様は愛が終わる時が必ず来ること、泉姫になったら帝のものになるみことちゃんこそ「捨てる側」だと言います。ここの全部が、くれなゐ様の家庭環境を如実に表した言葉なんですよね。
愛を裏切り捨てる側になった父の姿と、帝に仕える寅家の嫡男としての誇りが透けて見えます。くれなゐ様は寅家に誰よりも縛られています。大切にしている桜花の水妹や、特別に想うみことちゃんよりも尚、寅家という存在は彼の中に根強く巣食っています。
本当は彼自身が誰よりも「ただひとりの男にただひとりの女」の幻想を夢見ているのに。
開闢の生徒が疫病に汚染され、みことちゃんは彼女たちを助けるためにくれなゐ様とアワセます。勢いだけで生きてるみことちゃんを地に足着けさせてくれるくれなゐ様がかっこよすぎる。良いパートナー関係してます。
腰が抜けたみことちゃんを支えるくれなゐ様がかっこいいです。みことちゃんがちゃんと助けられているのも距離近くなってるな~って微笑ましいです。
くれなゐ様との力量差を感じて、いめくんが悔しそうでちょっとかわいそう。
事件は一段落かと思いきや、みことちゃんを庇ったくれなゐ様が刺されてしまいます。
この辺りから、選択肢によって√が分岐し始めます。
くれなゐ様は器と魂が分離した状態になってしまい、鬼札を手に入れたみことちゃんはくれなゐ様の魂を探すために協力者を探します。
魂を探すなんて難しいことをさせて、でもその相手と結ばれないってそれなんてかぐや姫。なかなかの傲慢ぶりです。末利花の前では霞むけど。
誰も選ばないことで唐紅√へ入れます。
温室でうつろひに襲われたみことちゃんを助けてくれたのは露吹さんでした。ここの露吹さんは寅家の巫女で味方です。唐紅√終盤まで普通に裏切るんじゃ?と疑っていてごめんなさい。
露吹さんに寅家の事情に首を突っ込みすぎると危険だと警告されますが、みことちゃんはそれでもくれなゐ様を知りたいと言い切ります。恋する女の子は強い。
みことちゃんは自分に散々与えてくれていたくれなゐ様に、今度は自分から捧げたいと思います。水妹としての在り方そのものです。
みことちゃんはくれなゐ様と幼なじみだったことを思い出し、ふるのことを唱えてくれなゐ様の魂をこの場に召還します。
みことちゃんからくれなゐ様にキスしてパートナーの儀式を完了させるのに驚きました。これでもまだ惚れたかわからないと言い張る、素直じゃないみことちゃんが可愛い。
くれなゐ様は魂だけのまま、みことちゃんの精気を吸い上げて現に存在しています。そのまま胸触ったりキスできるのはどういう原理なんだろう。
みことちゃんに「くれなゐさん」って何度も呼ばせて喜んでるくれなゐ様がとにかくかわいい。ニコニコしてるのも可愛い。男も愛嬌ですよ。
みことちゃんもくれなゐ様のキスで心地よくなってるし、もうそれ恋だし両思いだよ。
良いムードだったのに茶化してみことちゃんをわざと怒らせるくれなゐ様。本気で想う女に対して素直になれない男しんどいです。
みことちゃんたちはくれなゐ様の器がある病院へ行く途中、五斗街で疫病に汚染された人々と戦います。くれなゐ様に精気を吸われた結果みことちゃんは倒れ、いめくんが育った施設に運ばれます。みことちゃんの体をみて動揺しまくるいめくん可愛い。エプロン姿の立ち絵も可愛い。なぜいめくん√ないんだろう…。
みことちゃんはくれなゐ様に精気をあげられなかったから彼をまた失ってしまったと悔やみます。実際は側にいてくれてますが。みことちゃんから逃げ、臆病で卑怯者と糾弾されるくれなゐ様がはじめてダメンズに見える。
施設に艮が現れ、命が削れるとわかっていてもいろは様を拒否し、艮に立ち向かうみことちゃんがこの場の誰よりもイケメンです。
艮を呼び出したかもしれないと自分を責めるいめくんを受け止めるみことちゃんのスチルが素敵。なぜいめくん√ないんだろう…(2回目)
倒れて病院へ運ばれたみことちゃんに、いめくんが「君のことが好きなんだ!」とストレートに告白してくれます。王道最強です。自分が主役なのにいめくんに先を越されるくれなゐ様がちょっと不憫です。
いめくんは祈り子になることを納得していたけど、みことちゃんに恋して心を変えた。運命にあがいてもう一度告白してくれるといういめくんがかっこよすぎます。なぜいめくん√ないんだろう…(3回目)
くれなゐ様の苦し紛れみたいなセクハラをさらりと回避し逆にカウンター攻撃仕掛けていく百歳ちゃんが最高です。言葉は上品だしオブラートに包みまくってるけど、やってることはなかなかえげつないですよね。百歳ちゃん強い。
くれなゐ様は精気を吸ってみことちゃんを殺しかけたことを気に病み、自分の始末を自分でつけようとしていました。
くれなゐ様は女慣れしているように見えて、ただひとりの女を想ったことがありません。いずれは家のために結婚することが避けられない身だから。みことちゃんは帝のものになる女だから。愛には終わりがくるから。寅家に縛られたくれなゐ様は女好きに見えて、実はずっと女と向き合わずに生きてきました。
それを百歳ちゃんに指摘されて、くれなゐ様はみことちゃんを追いかけます。
みことちゃんはくれなゐ様の器を確かめて、くれなゐ様への文句をつらつらと垂れ流します。くれなゐ様を想うからこそ、みことちゃんは彼のダメなところを指摘し、自分の気持ちを伝え、今も命を捧げてまで姿をみせてくださいと願っている。
くれなゐ様はそんなみことちゃんに「なんでここまでする?」と問いかけます。ほんっっっっとうにわかってないんですね。女心がわからないくれなゐ様がちょっと可笑しい。心の底から、男と女の愛を信じてないからそういう発言が出てくるんでしょうね。
みことちゃんは自分のせいで誰かに死んで欲しくないと思っている。それはまあ人として至極当然の感情としても、そのために迷いなく自分の命まで捧げるのはみことちゃんの歪みであり、相手の男に捧げた愛でもあります。
くれなゐ様は臆病です。ただひとりの男にただひとりの女という幻想を信じているのに、みことちゃんの捧げる愛を信じきれない。いつか愛が終わると思っている。
だから愛が終わってもみことちゃんが生きていけるように、あえて儀式を完了させず、それも伝えず、未来のみことちゃんの命を守ろうとした。くれなゐ様の想い方が不器用すぎます…。
みことちゃんは真正面から、気持ちを言って欲しい、誠実でいて欲しいと伝えます。それを聞いたくれなゐ様は、みことちゃんと向き合う覚悟を決めて告白しようとするのですが、乱入してきたうつつくんに阻止されます。
シリアスなのに「呼ぶな。みこがかわいそう」があまりにも辛辣すぎて笑っちゃいます。同担拒否過激派なうつつくん、好きです。
みことちゃんはくれなゐ様をかばってうつつくんの刃を受けます。死にかけてる時に出てくる発言が「私の血を」なのが完全に愛です。
うつつくんがくれなゐ様を助けられるハレの剣を奈落に持ち逃げしましたが、いろは様が取り返してくれます。ついでにくれなゐ様の過去というか、おばばの魂が見せる夢に繋いでくれます。
ここでくれなゐ様が食べ物に頓着しないのは、実母の仕打ちのせいだと判明します。
くれなゐ様は毒味済みのものしか口にしない。そんな彼ですが、実は姫空木編唐紅√でみことちゃんの手作り料理を食べてるんですよね…それを思い出して切なくなります。みことちゃんのこと、命を預けてもいいくらいに信用してくれてたんだなぁ…。
みことちゃんはくれなゐ様をただひとりの男に選び、現世に戻って泉姫に覚醒します。みことちゃんを抱きしめて泣くくれなゐ様に胸が締め付けられます。泣く男好きです。
意外と一途だし、ピュアだし、相手の幸せのために身を引ける男くれなゐ様かっこかわいい。
対するみことちゃんは「くれなゐさんが、私を好きじゃなきゃ…嫌です」って貪欲です。みことちゃんから自分の恋に気付いて、踏み出して、命さえ捧げてくれなゐ様に迫ってくれるのが良いです。…良いんですが、やっぱりそういう知識は乏しいのでくれなゐ様を煽るだけ煽って結局鈍感かましてくるみことちゃんが酷すぎて笑います。無菌すぎて知識がないみことちゃんが、百歳ちゃんから房中術を習うことになる流れも面白かったです。
いちゃつきシーンなのにお互い「最初は苦手だった」って言い合うの微笑ましくて好きです。
ちゃんとくっついたら優しくキスしてくれるくれなゐ様ずるすぎる。好きです!
と恋は順調だったはずなんですが、寅家からパートナー関係の解消とくれなゐ様が宮廷に入ると知らされます。
みことちゃんが覚醒したら捨てるような考え方に、姫空木さんが反論してくれて救われた気持ちです。自分にチャンスが転がってくるとヤンデレ化して暴走するのに、ちゃんとみことちゃんが正しいツキを選べば全うに応援してくれる男好き。でも何だかんだ完全に身は引かずに未練がましいところも好き。やっぱり推しです!
丑家と寅家のゴタゴタからみことちゃんを守るため、全員で協力することになります。直接寅家に乗り込もうとするみことちゃんの度胸が好き。
いめくんが宣言通りくれなゐ様と対等になれるほど強くなっててかっこよかったです。強化ラブミーいつも結構強いもんね。ところでなんでいめくん√ないんですか???なんで???
みことちゃんたちはいめくんの力を借りて寅家に乗り込みます。露吹さんの協力も得て、みことちゃんはくれなゐ様に会いに行きます。みことちゃんを想いつつも、ちゃんと露吹さんに失礼がないよう愛そうと考えているくれなゐ様が漢です。
露吹さんの入れ知恵でみことちゃんは歌を詠みます。
君やこし我やゆきけむおもほえず夢かうつつか寝てか覚めてか
伊勢物語の引用です。伊勢物語の主人公の「男」は平安時代のプレイボーイ在原業平がモデルです。彼は百人一首の「千早ふる神代もきかず龍田川からくれなゐに水くくるとは」を歌った人で、くれなゐ様と強くイメージが重なります。伊勢物語は彼が色んな女の子と恋をする話ですし。
みことちゃんが詠んだ歌は、一夜一緒に過ごした男に女側から「君が来てくれたのか、私が行ったのか、覚えていません。夢だったのか現実だったのか、寝ていたのか起きていたのか」と送ったものです。この歌が詠まれる六十九段は斎王(皇族の巫女)と帝に仕える男の恋の話。
露吹さんはみことちゃんとくれなゐ様の状況を伊勢物語に当てはめて、みことちゃんに入れ知恵してくれたわけです。六十九段ぜひ読んで欲しい。することせず帰る斎王があまりにもみことちゃんです。
くれなゐ様は先の歌に対する男の返歌を詠みます。
かきくらす心の闇にまどひにき 夢うつつとは今宵定めよ
男側から斎王の部屋には行けないし、男側から手紙を送ることもできない。だから男は「真っ暗で分別がつかない闇のような心で思い悩んでしまった。夢か現実かは今夜決めてくれ」と詠んで今夜も部屋に来るよう誘っている、という歌です。
くれなゐ様は寅家だから動けない。だからみことちゃんから逢いに来て欲しい。(逢いに来てくれたら愛したい)そんな心情なんでしょうか。
だけど伊勢物語の二人は夜に会うことができませんでした。朝になれば男側が次の任地に出発しなければならず、二人の恋はこれまでかと思われます。
そんな斎宮が詠んだ歌が、みことちゃんが詠んだ
かち人の渡れど濡れぬえにしあれば
です。「徒歩で川を渡っても濡れない程度の縁だったんですね」という意味です。この歌には下の句がありません。多分斎王は下の句を付け足してあなたの気持ちを教えてね、という気持ちだったんじゃないでしょうか。
男の気持ちを問いかける歌。露吹さんが本当にみことちゃんに言わせたかった歌はこれでしょう。
だから在原業平は、くれなゐ様は、
また逢坂の関は越えなむ
「また逢坂の関を越えて会いましょう」と書き足しました。くれなゐ様はみことちゃんを好きでいる、そんな意味に受け取れます。
ただし伊勢物語のふたりは再会できず、恋は終わってしまうんですが。
家まで押し掛けて「あなたのお嫁さんになりたい」って言ってくれるみことちゃんにきゅんとします。
女側からアクションを起こすのも、それでいて実はなにもないのも、まだここまでは悲恋で終わるのも、伊勢物語と同じで面白いです。
閨でくれなゐ様の事情を聞き出そうとするみことちゃんがムードを木っ端微塵に破壊してて笑います。「どうぞ」も可笑しい。
そのおかげで、くれなゐ様は悲恋に終わる先の返歌を撤回し、みことちゃんを帝に渡すことをやめてくれます。
みことちゃんはくれなゐ様と生きたいと心の底から思っていた。だからくれなゐ様も覚悟を決めた。ここでようやく、彼は寅家の呪縛から解き放たれます。
くれなゐ様を連れて寅家から脱出しますが、いろは様は帝への謀反になるとくれなゐ様とみことちゃんを引き離します。
ここでいめくんがお皿の裏にハレの剣を隠してくれていたらしいのが、伊勢物語を意識してて良いですね。
先の「かち人の渡れど濡れぬえにしあれば」の歌、こっそりやり取りするために杯の受け皿に書かれていたんですよね。
いろは様が突然強行手段に出てきて2周目でもビビります。今までのいろは様がずっとみことちゃんを守ろうとしてくれたのを知っているから、みことちゃんに決して選ばれない運命なのをプレイヤーはよく知っているから、とても悲しい。いろは編で幸せにします。
いろは様とうつつくんが消え、寮から脱出したみことちゃんはくれなゐ様と再会します。
くれなゐ様は自分で「逃げていた卑怯者」だと言うけれど、すべての憎悪を受け止めて、かつ自分は誰も傷つけないように生きてきたのは本当に凄いと思います。
理事長室に乗り込んで桜花全員の退学願いを突きつけちゃう桜花組が可愛い。
くれなゐ様の父親を憎むあまり艮になり、彼を殺し、実子のくれなゐ様さえ憎く思っていた母親に引導を渡します。結局浄化しきれず、いめくんが連れて逝ってしまいます。Fly to the moonといめくんの告白ずるすぎる…。いめ編の発売いつですか??
なんだかんだグズグズしてみことちゃんを1年ほったらかしにするくれなゐ様がくれなゐ様らしくて好きです。適当に見えて実はちゃんとしてて、軽々しくは動けない人なんですよね。みことちゃんにフォローがないのも不器用可愛い。
みことちゃんに貴族の睦言は似合わないと言いつつ、本編の締めで夜桜の下で歌を贈り合うの最高にロマンチックです!歌の内容も私が好きな筒井筒でもう最強シチュエーションできゅんきゅんが止まらないですよ。