華アワセ唐紅/うつつ編姫空木√感想 愛してるからすること。
唐紅/うつつ編姫空木√のネタバレ感想です。
姫空木√はいつも無駄に感想が長いです。だってどの世界の姫みこも愛してるから。
姫空木さんの恋人になる代わりにパートナーを引き受けてもらう√です。冒頭に言われる「キスしちゃったね。これで共犯だ」が姫空木さんの手口のすべてです。ずるい…。
いきなり呼び捨てでダメージが大きい姫空木推し私です。姫空木編では紆余曲折あって泉姫に目覚めたタイミングで呼び捨てにしてくるのに、さらっと呼び捨てにしてくるのイケメン力高すぎる…。
「早く目を覚まさないと…いけないこと、しちゃうよ?」で即飛び起きるみことちゃんがうらめしいです。寝たふりしておこうよ。
アイちゃんとショウくんに交際宣言と溺愛アピールして外堀をせっせと埋めてるけど、ちゃんとみことちゃんに素直に告白した方がいいと思うんですよねぇ…。
肝心なところで勇気出さないどうしようもない男がどうしようもなく好きです。いかにも人間って感じで。
姫空木編に引き続き、末利花と姫空木さんは不仲です。末利花が姫空木さんに執着してるのは変わらないけど、姫空木さん側は末利花に引け目がないから彼女のワガママを受け入れません。
「あげる」と末利花に物扱いされた花神さんをフォローするみことちゃんが優しいです。
末利花と花神さんの在り方も相変わらず歪みきってて怖いです。
姫空木さんを巡って末利花たちと華闘をすることになりますが、末利花が月光の水妹から水を貰うという手を使ってみことちゃんたちを追い詰めます。これ神聖な決闘じゃなかったっけ?
歪みすぎてる末利花はうつろひに憑かれます。残当です。そこに突然くれなゐ様が現れ、姫空木さんを水妹にして末利花を浄化します。このくれなゐ様はちょっと口調が変で笑ってしまいそうです。
姫空木さんと一緒にいても何も言わないし、みことちゃんも違和感を感じています。
穢れからひとりで水妹たちを守ろうとする姫空木さんに、みことちゃんは怒り、「無理をしないで下さい」と言います。みことちゃんはひとりで勝手にいなくなったくれなゐ様と姫空木さんを重ねていました。
そんなみことちゃんの心を汲んで、姫空木さんはみことちゃんの力を借りてくれます。そういう姫空木さんは素直にかっこいいのに、どうしてみことちゃんに誠実に向き合わないんだ…確実に振られるってわかってるから逃げるんだろうけどさぁ…
穢れは祓えましたが、末利花と花神さん、くれなゐ様が消えます。
姫空木さんが自由を求めていることは、姫空木編を通っているので十分にわかっています。自由で、束縛されたくなくて、でも愛されたい。そんな希望をすべて叶えてくれるみことちゃんに姫空木さんが惹かれるのは必然です。
姫空木さんの「僕を好きになってくれないかなあ…」という独白が切ないです。
姫空木さんはトップを失って沈む月光の水妹たちに声をかけ、アントワネットの宮殿でクーデターを起こします。それなんてロベスピエール??その先に幸せはないですよ。
ここで姫空木さんが誘い水を使えることが判明します。姫空木さんのカリスマ性を構成する要素のひとつなんですかね。
月光の生徒たちは協力して末利花たちの居場所を探し始めます。みことちゃんも月光組のメイドたちに認められ、順風満帆といった雰囲気です。
そんな中、開闢と華園の生徒が交流するバーベキューが姫空木さん主催で開かれます。いろは様と百歳ちゃんは甘いものを所望してるのが可愛らしいです。
いろは様から泉姫候補として覚醒できるように「いい加減、私を選べ」と言われますがそれってめちゃくちゃ私情ですよね…。食い意地張ってるいろは様がかわいいです。
みことちゃんはひとり教室にいる姫空木さんに会いに行きます。人を想い自分を疎かにしようとする姫空木さんに、そっと差し入れをくれるみことちゃん。姫空木編の庭シーンを思い出すし、お似合いすぎるから胃がキリキリします。
姫空木さんはみことちゃんのパートナーとしての優しさに触れて、みことちゃんがもっと好きになっています。だけどここはくれなゐ様のツキなんですよ…。
姫空木さんはみことちゃんを抱きしめながら、ずっと初恋の子を追いかけていたことを打ち明けます。キーホルダーを拾ったフリとか重っ!好きです。
ずっと避けていた使い手になったのも、みんなに優しく振る舞っていたのも、全部みことちゃんを引き留めるためだったと告白します。
姫空木さんは自由に生きることを望んでいたのに、結局みことちゃんという存在に縛られていました。みことちゃんのための「我慢」が全部爆発して、姫空木さんはみことちゃんに強引に迫ります。横恋慕だし割と最低な告白です。
みことちゃんからしたら突然の行為で、驚いて逃げ出します。
好きになってもらうために自分を変えることってまぁあることだと思うんですけど、自分が我慢してまでするのは良くないですね。
姫空木さんは自由を求めていて自己犠牲を嫌うはずなのに。ほんとうは「愛してほしいからする」ことじゃなくて、「愛してるからする」ことが大事なんですよ。きっと。
翌日、みことちゃんは姫空木さんのメールに気付き華園の中庭へ向かいます。朝4時に、待ってるメールしてくるのが蛟編姫空木√を思い起こさせてぞくっとします。まあ、このメールは成り済ましなんですが。くれなゐ様に成り済ましてた時と違って演技力高くないですか?なんで?
姫空木さんはベンチで寝ていました。寝言が可愛い。現れた斧刑事にくれなゐ様の正体や末利花たちの居場所を教える代わりに「相応のモノ」を要求すると取引を持ちかけられます。
斧刑事の言い分はなにかを得る代わりになにかを失う、です。みことちゃんはその取引を「月光のみんなを信じることで斧刑事の情報を失ってもいい」ときっぱりと断ります。
斧刑事は姫空木編で逃げたチャリスで、みことちゃんを狙っている存在なのが判明しています。チャリスの言う相応のモノって、きっとみことちゃん自身なんてしょうね。回りくどさが姫空木さんそっくりです。
そんな彼の甘言を彼自身の言葉でうち壊すみことちゃんは最高です。
目覚めた姫空木さんが色々あわてふためいてて可愛いです。王子様な姫空木さんも好きですけど、こういう素の姫空木さんが一番好き。
強引に迫った上にだらしないところを見られてバツが悪い姫空木さんに追い討ちをかけるみことちゃんいいぞ。
姫空木さんとみことちゃんは仲直りをして、花伐に向かいます。姫空木さんはおとぎ話に囚われず、素の男としてみことちゃんにアタックする宣言をしてみことちゃんもそれを受け入れます。自分の都合の良い解釈を押し付けあって、結果壊れた蛟編姫空木√と比べたら格段に良い雰囲気なのに、どうしてハピエンになれないんだ…。
花伐中に休憩できる場所を探しててホテルに目がいって慌てる姫空木さんが可愛すぎます。ふたりで真っ赤になってるの可愛い。
姫空木さんは花を枯らす華アワセをあまりしたくないと考えていました。姫空木編でもそうだったけど、本質的に優しい人なんですよね。
姫空木さんと話していたところに、くれなゐ様が乱入してきます。うつろひを従えたくれなゐ様に、みことちゃんと姫空木さんは華アワセをします。
が、現れた花神さんに姫空木さんは斬られ、みことちゃんは誘拐されます。
うつろひに取り憑かれていた花神さん、一緒に誘拐されてきた斧刑事と姫空木さんや末利花を探しますが、うつろひに憑かれたくれなゐ様(本物)を見つけて浄化します。
斧刑事にハレの剣でくれなゐ様を刺すように言われますが、みことちゃんを呼ぶくれなゐ様の様子を見て、みことちゃんは刺すことを拒否します。
想い合うみことちゃんとくれなゐ様を見て花神さんが「ツキを変えられない」と判断したように、私もみことちゃんと姫空木さんはハピエンになれないって判断します。辛い。
ツキを変えられないことが確定して初めて、斧刑事がチャリスとして正体を現します。くれなゐ様は斧刑事によって刺されます。自分が主人公のツキなのに、あまりにもくれなゐ様が不憫すぎる…。
チャリスは姫空木さんや花神、末利花を利用して、みことちゃんが選ぶくれなゐ様を排除し自分が愛されるツキを手に入れようとしていました。
末利花はチャリスと結託し、それぞれ姫空木さんとみことちゃんを手に入れようとしていたことが判明します。怖い。
くれなゐ様の魂を戻すためには、みことちゃんはチャリスのものに、姫空木さんは末利花のものにならなければいけません。
末利花のところに行くという姫空木さんを追いかけるか否かで分岐します。
チャリスに相談し、末利花と姫空木を止めて貰おうとすると、いわゆるチャリスエンドになります。
くれなゐ様と姫空木さんのために、みことちゃんは身を捧げようとします。が、怖くてくれなゐ様を呼ぶみことちゃんを見て、チャリスはやめてくれます。やめてくれるのはありがたいけど、初めてだから色々考えるとか、そういう気遣いができるんだったら他に何かあるでしょうが!!!!!!!!!!!!と全力で叫びたいです。
そもそも無理にでも抱けば愛してもらえるだろうとかいう思考からは卒業した方がいいと思います。結局欲しいものは心なんだから。
ジンジャーTVでは、花神さんが姫空木を痛め付けていました。花神さんはやっぱり男を憎み、末利花に依存していて、姫空木さんが末利花の奴隷になることがどうしても許せなかった。だから末利花の器だけを愛でることにしたと語る花神さんはあまりにも狂気的です。
姫空木編後日談小説で明かされますが、花神さんは末利花に対してある罪を背負っています。唐う編でもその事情が同じかはわかりませんが、罪を背負っていても花神さんが普通に幸せになれる道があって欲しいです…。
チャリスの口振りからすると、癸は末利花みたいに歪んだ性格の人間が多いようです。でもここの姫空木さんは歪まず、真っ直ぐにみことちゃんを愛してくれた。その想いが叶いそうにないから、みことちゃんのためにその身を捧げる決心をした。
姫空木√中盤と違って、見返りもなく「愛してるからした」んですよね。そんな彼の深愛がここにきて判明するのが切ないです。
花神さんを道連れにして姫空木さんは死んでしまいます。チャリスは自己犠牲は彼にとって一番の不幸だと言うけど、それは彼自身の自由選択の結果であり自由は確かにありました。きっと思うままに生きて、最期に好きな女の子に看取られる幸せな結末だったのだと思います。
他のバッドエンドはことごとくアレなので、余計にに穏やかに終われる姫空木さんが切なく感じます。
姫空木さんの生き様を契機に、みことちゃんはチャリスの助手になり「泉姫伝承における魂蘇生の術」の研究を一緒に行うようになります。記憶を残したまま転生する研究です。みことちゃんは約束を果たされなかったので、チャリスのプロポーズを蹴っているみたいです。さすがじゃじゃ馬。
で、たまたま立ちよった公園で姫空木さんそっくりの子供を見かけ、彼は「ひめくん」と名乗り、子供は消え、姫空木さんの声が聞こえるというミステリアスな終わりです。チャリスの研究を突然体現して現れる男姫空木さん。
蛟さんと一緒でこれも説明なくこれで終わりで、他√で伏線回収されるとかもないんですよね。謎です。
姫空木さんを追えば姫空木さんとある意味結ばれるエンドになります。
姫空木さんが分裂してひめとうつぎになります。この辺は姫空木編でやりましたが、姫空木さんは様々な面を使い分ける処世術を使います。
姫空木編では本来の人格に近いひめと、ペルソナ的なうつぎでした。ひめは王子様に憧れつつも末利花を殺した罪に苦しむ男で、うつぎはみんなに求められるお姫様です。
唐う編ではひめに末利花を殺した罪がないため、ひめがそのまま表に出て光属性王子様みたいな姫空木さんになっていました。過去が変わっても本人の本質みたいなところまでは変わらないようで、時々さらっと外堀を埋めてくる闇は感じますよね。
その裏で押し込められていたのがうつぎです。姫空木さんが隠していたもの。ひとつ前の蛟√のミズチみたいなものです。…なんですが、器まで分裂しているのはかなり謎です。闇ヤンデレが分裂してしまった…。(いつの間にか水の色の世界にいたのかな?)
姫空木さんが早口で自作シナリオを読み上げるの好きです。闇です。ひめが自由を得た結果、自分が望むツキにするために手段を選ばない男になりました。
姫空木さんは本当に面白い男です。各√で光の当たり方が違うから、色んな面があるように見えます。でも全部ちゃんと姫空木さんの一面だと思えるんですよね。不思議です。
姫空木さんとみことちゃんはアワセで末利花を倒します。同じ罪を背負う共犯者に仕立て上げられたみことちゃん。これが彼なりのツキを壊すやり方です。誰かを殺す華アワセを苦手に思っていたはずの彼が愛のために手を汚すのは、それこそ「自己犠牲」であり「愛されるためにした」行為です。
うつぎを見張りに置かなかったチャリスエンドの方が、みことちゃんへの好感度(信頼?)が高かったのかもしれません。
表面上、姫空木さんとみことちゃんは公認の恋人同士になります。水の色の世界で。現世にくれなゐ様とチャリスだけ置いてくるのが用意周到すぎます。
ところで百歳ちゃんの言う「泉姫の資格を失った」って鬼札を破られたことなのかそれともアレなのか、どっちか私気になります。
砂場のお城に埋まっていた携帯に、チャリスから着信側があります。蛟編でも登場したお城と携帯ですが、これは水の色の世界という姫空木さんのお城と現世を繋ぐ象徴です。
姫空木さんには次がないから、ここでみことちゃんとの恋を楽しむ。記憶が引き継がれないからその言い分はわかるけど、記憶があるのにツキはない男に言うのはちょっと残酷な気もします。そして笑顔のないみことちゃんと一緒にいて、彼ははたして幸せなんでしょうか。
開闢で楽しい青春してた頃に…戻りたいね…。