華アワセ姫空木編唐紅√感想 おもしれー女の面白さ

姫空木編唐紅√のネタバレ感想です。








おもしれー女という概念があります。モテモテ俺様男子が「自分に興味を示さない変わった女」に興味を持った時に発する言葉です。
大勢の水妹に求められるくれなゐ様からすれば、キス拒否セクハラ拒否なみことちゃんはおもしれー女に該当します。

ただし、みことちゃんをおもしれー女たらしめているのはくれなゐ様本人なんですよね。

華園には他にも百歳ちゃん、葵さんなどくれなゐ様に靡かない女は存在しています。くれなゐ様は彼女たちには基本的にセクハラをしないので、おもしれー女になりようがないのです。
それは何故かと言えば、くれなゐ様は本気で嫌がる女を周囲に置かないから。桜花の水妹は全員がくれなゐ様の女で、触られることを自ら望んでいるからです。百歳ちゃんが時々口にするように、くれなゐ様は桜花の水妹にしかちょっかいを出しません。
誰彼構わず手を出すのではなく、自分を求める女を選んで甘やかす。それがくれなゐ様という男の誠実さです。水妹の求めに応じてくれるといえば月光組(姫空木さん)ですが、平等を謳うあちらよりも桜花の方がある意味平等な気がします。

じゃあどうしてみことちゃんだけはおもしれー女にするのか。
それはもう初対面からその対応な訳ですし、一目惚れとしか言いようがないんじゃないかなと思います。一目惚れした女の子にどう対応していいかわからずつい意地悪をしてしまう、小学生男子の初恋みたいなメンタリティです。くれなゐ様は可愛い。

くれなゐ様は蛟編唐紅√やここで示されるように、女性には一歩引いて男を立てるような存在であることを望んでいます。これはそのまま、華アワセ世界における伝統的な水妹の在り方。ひいては日本文化で美しいとされた「大和撫子」的な女性像です。
姫空木編姫空木√が性別らしさに縛られないで心のままに生きようという内容なのに対し、蛟編全体やそれぞれの唐紅√は性別らしさを重視しているように読み取れます。
なんだかんだ言いつつ、くれなゐ様と蛟さんの根っこはよく似ているんですよ。

本来、みことちゃんはくれなゐ様が好きそうなタイプの女の子です。蛟さんや姫空木さんとハピエンを迎えたみことちゃんは水妹のトップである泉姫(=女)です。凛としていて、愛する男が自らの運命に立ち向かえるように、一心に支え守る女。くれなゐ様が思い描く大和撫子そのものと言えます。
ただしみことちゃんは出落ちならぬ出セクハラが原因でくれなゐ様への好感度が0なので、くれなゐ様に対してはいつも反発する少々跳ねっ返りな少女です。おおよそくれなゐ様が思い描く女の姿ではありません。
が、そんな彼女が時々見せる凛とした女の顔が、くれなゐ様の心を「面白く」かき乱す瞬間なのだなあ。多分。

みことちゃんはくれなゐ様の部屋に連れ込まれ、くれなゐ様にキスされて枯渇を起こしかけます。くれなゐ様は悪ぶっていろは様を挑発しますが、その目的はみことちゃんの貞操と引き換えにいろは様に講堂の爆破を止めさせることでした。講堂に残った桜花の1年生を守るために。
それに気づいたみことちゃんは、想いを寄せる姫空木さんを守るためにくれなゐ様を庇い、パートナーだと宣言します。

くれなゐ様は靡かないみことちゃんを「くれなゐ様の女」である桜花の水妹とは区別して扱います。一度でいいからとろけるほど甘やかしてくるくれなゐ様も見てみたいです。
公衆の面前でキスして蛟さんやいろは様を煽りまくるくれなゐ様の度胸がすごい。

桜花の水妹を救出するため、くれなゐ様とみことちゃんは講堂へ向かいます。みことちゃんの胸を揉むのを見せつけて、全員を微妙な顔にさせるくれなゐ様にちょっと笑う。蛟さんといろは様がめちゃくちゃ怖いよ!

講堂に突入したくれなゐ様を追いかけたみことちゃんはうつろひに囲まれ、くれなゐ様に助けられます。
くれなゐ様はみことちゃんに桜花の水妹と同じ、くれなゐ様の指示に従う従順な女であることを求めていました。みことちゃんは最初それに反発しますが、勝手に飛び込んでピンチになったことは事実なのでくれなゐ様に謝ります。
くれなゐ様は珍しく従順なみことちゃんにセクハラを仕掛けますが、それにはみことちゃんも反発してビンタします。叩かれても反発されてもセクハラをやめないのはいっそ清々しいですね。

みことちゃんは戦いの中で枯渇を起こし、処置のために裸になることを要求されます。姫空木さんを救うために要求を飲もうとするみことちゃんですが、姫空木さんの声と共に電流に飲み込まれます。

気がつくとそこは遊園地で、様子がおかしい阿波花理事長に遭遇します。阿波花理事長の中にいたのは子供みたいな姫空木さんでした。
ここの姫空木さんが体は大人なのに子供みたいに喋っててめちゃくちゃ可愛い。姫空木推し末期です。

みことちゃんだけは講堂に戻れましたが、阿波花理事長は行方不明、くれなゐ様は大怪我をしてしまいます。咄嗟にみことちゃんを庇おうとしてくれるくれなゐ様が漢らしくてかっこいいです。いつもそういう姿勢ならみことちゃんの好感度うなぎ登りなのにね。
誇り高いくれなゐ様は手当てを断りますが、こういう時のみことちゃんは一歩も引かない強い女の子です。自らくれなゐ様の服を脱がせる羽目になっても健気に手当てをしてくれます。
その結果、誘い水にやられたくれなゐ様に襲われかけるのですが。この場面、みことちゃんもくれなゐ様も悪くないから少し可哀想です。

ところでカラクリくんが「みみに ちゅー せかいの あいさつ」って言って来るんですが、くれなゐ様とのあれこれを覗いていたのでは疑惑が浮上しますね…。竹槍装備のヨシノちゃんもベッド下に潜んでくれなゐ様が「切羽詰まってゴソゴソ」しているのを聞いてたりして、くれなゐ様にプライバシーはない状態です。
あの後ひとりでゴソゴソしちゃうくれなゐ様可愛い。

みことちゃんは姫空木さんらしき声がくれなゐ様を狙っていることに気付き、くれなゐ様の元へ向かいます。
勉強し、今度こそくれなゐ様の水妹として隣に立つみことちゃんに、くれなゐ様は「生意気な女だ」と言います。みことちゃん、生意気でおもしれー女でしょ?

うつろひとの戦闘後、ただ黙って抱きしめてくるくれなゐ様が可愛いしスチルの顔がちょっと照れてる感じなのも可愛いです。そういうところがとてもずるい。
怪我を押してもみことちゃんを守ろうとしてくれるくれなゐ様を見て、みことちゃんも認識を少し改めます。敵に塩を送ってしまったのをバッチリ目撃した姫空木さんのクソデカため息が好き。末期の戯れ言です。

カラクリくんがくれなゐ様がちゅーしてるとかちゅーしたいとかチクるせいで、蛟さんといろは様がいつも不機嫌にさせられるのがちょっと不憫です。あんまりいじめないでよ。

みことちゃんとくれなゐ様は花伐で阿波花と姫空木さんを粛清するように言い渡されます。
みことちゃんとくれなゐ様の距離は少し縮まったように感じられます。が、くれなゐ様が水妹にキスしているのを見てしまい、みことちゃんは「キスは好きな人とするものだからしたくない」と主張します。くれなゐ様がばっさり振られた…。
今まで喧嘩しつつも良い感じだったのに、結局みことちゃんは姫空木さんしか見てないんですよね。


くれなゐ様は強引にみことちゃんに迫ろうとし、揉み合った時に懐剣がみことちゃんに刺さってしまいます。
みことちゃんの血を見て様子がおかしくなるくれなゐ様を、姫空木さんが殺そうとします。
みことちゃんの血から力をもらってうつろひを撃破するくれなゐ様が男らしくてかっこよくて大好きです。

金時花理事長から改めて花伐の指示が降りますが、くれなゐ様はいろは様からみことちゃんを傷つけたことや資格を奪いそうになったことを責められ、黙って理事長室を出ていってしまいます。
資格云々はともかく、みことちゃんを傷付けたことに事故とはいえ責任を感じているんだなぁと思いました。くれなゐ様にとって女は守るべき存在だから。
だから怪我の件をみことちゃん本人に許されて、また変で度胸のあるおもしれー女だと感じてくれます。

くれなゐ様を探すみことちゃんは桜花の水妹に取り囲まれ、強制的におしゃれさせられます。桜花のお姉さま素敵。
水妹たちがくれなゐ様は本当の「くれなゐ様の女」を探していることを教えてくれます。自分達が本命じゃないってわかった上でくれなゐ様に尽くして、本命っぽいみことちゃんに優しくしてくれる桜花の水妹が可愛らしいし好きです。

夜の公園で寝ぼけているくれなゐ様から、みことちゃんは「くれなゐ様の女」は子供の頃の「ヨメ」の話だと聞き出します。
みことちゃんはどんな人だったんだろう?とすっとぼけてますが、みことちゃんのことだよってプレイヤーは突っ込みたい。

くれなゐ様のためにホットケーキを焼き、食べさせてくれるみことちゃんをくれなゐ様は口説きますが、鈍感みことちゃんは体目的なんじゃと受け取ります。ちょっとくれなゐ様が不憫です。
くれなゐ様はもっと直接的に探していた「くれなゐ様の女」になれと言ってきます。そんな告白イベントに割って入ってくる姫空木さん。
「ひめくん」と名乗った彼にくれなゐ様は電流で攻撃され、みことちゃんは気絶します。

目覚めた時、側に本物の姫空木さんがいました。姫空木さんに再会して抱きつくみことちゃん。ここは姫空木編なので、どんなにかっこよくてもくれなゐ様は脈なしです…悲しい…。

一緒にいた阿波花理事長から、ここが生と死の狭間にある煉獄で、ここに居続けると生気が吸われて奈落へ落ちると聞かされます。
ひめくんは姫空木さんから切り離された魂の半身で、姫空木さんと理事長の体を使って現実世界で暴れたり、自分の精神世界にみことちゃんの器を監禁していました。
ほんっっとーにいつもいつもお人形あそびばっかりする姫空木さん…闇が深すぎる。こういう時の姫空木さんはある意味末利花とよく似ているんですよね。支配者気質という感じ。

ひめくんは桜花の水妹を操ってくれなゐ様を攻撃していました。殺されかけたとしとも自分の水妹に絶対に反撃しないくれなゐ様に、胸がきゅっとします…。
みことちゃんはひめくんを振り切ってくれなゐ様を助けます。穢れた水に苦しむ水妹に華アワセをする時のくれなゐ様の表情が痛々しい。アワセ中BGMも悲しげで辛すぎます。
戦いのあとで水妹に言葉をかけるくれなゐ様の声があまりにも優しくて…自分が華園に入るなら桜花がいいなぁ…

姫空木さんの行動でひめくんの世界は崩壊し、煉獄でみことちゃんはひめくんと会話します。
みことちゃんとひめくんの幼少期の話をしているのかなぁとプレイヤーは何となく察するわけですが、ここで出てくる「おばけ」の話はまだ謎に包まれた部分です。

おばけにくわれたおひめさまが誰かで分岐。

ひめくんだと、みことちゃんはくれなゐ様と再会できます。くれなゐ様が欲しい水はみことちゃんの心なんだよなあ…。みことちゃんはくれなゐ様に懐剣を返し、くれなゐ様はその懐剣で「血の誓い」をします。
ひめくんの罪を赦すために姫空木さんを枯らすことになります。みことちゃんの勝利のキスの話を持ち出す姫空木さん。くれなゐ様のことをねちっこく恨んでるというくれなゐ様の言い分もわかるんですが、ここの姫空木さんの口調がやけにさっぱりしているんですよね。避けられない死という赦しの前に、ようやく姫空木さんは自分自身として生きられることを喜んでいるようにも思えて切ないです。
この場所がいつもの奈落(地獄)ではなく「煉獄」(キリスト教で罪を清める場所)なのも姫空木さんの救いを示しているのかもしれません。

華アワセに勝ちひめくんを消すことに成功しますが、ひずみから落ちたダメージがあったくれなゐ様とみことちゃんはそのまま死んでしまいます。現実世界にはひとり「空木」だけが残されます。
空木はみことちゃんの遺骨が自宅に戻った日に自殺します。みことちゃんと同じ手首を傷付けたのは、血の誓いをしたくれなゐ様への嫉妬を思わせます。重い。
姫空木さんがみことちゃんに恋したのは、きっとあの庭での出来事で。そこからやり直したいと思いながら自殺したことがわかって心が苦しい。
ところで発見した隣人って多分ショウくんだよなあ…なんかごめん…。
桜花の水妹を待たせておく優しさがくれなゐ様らしいです。本当にくれなゐ様はいい男です。


おひめさまがみことちゃんだと、目覚めて最初に会うのが様子がおかしい姫空木さんです。みことちゃんとの恋を邪魔する「おばけ」をすべてやっつけた姫空木さんは鬼札を破り、みことちゃんの水を奪い、意識のない状態のみことちゃんに迫ります。姫空木さんにこういうエンドがあるのは毎回恒例になってきた。
結局どちらのエンドでもくれなゐ様は死んでしまうのが最高に「らしい」と思います。


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