華アワセ姫空木編共通~姫空木√感想 天使と白い華


華アワセ姫空木編 共通~姫空木√までのネタバレ感想です。




 
姫空木編はある意味一番ヤバい男、闇の王子様、あまりにも変態プレイが多い、ヤンデレ要素全開な姫空木さんのターンです。
姫空木編は姫空木さんの心もですが話がかなり複雑です。個人的には花神さんの生き様も非常に興味深いと思っています。その辺も含めて感想に書いていきます。

ここのみことちゃんは癖のない真面目な良い子として描かれます。まさにエンゼル。物語のお姫様。華園に突然来ることになって困惑しても、それを受け入れて素直に順応しようとします。
姫空木√のみことちゃんを見ていると、百歳ちゃんの「エンゼル」呼びがとてもしっくりきます。
そもそも姫空木さんや姫空木編自体、キリスト教的な要素を多く含んでいるんですよね。姫空木さんのキャラソンはイントロがパイプオルガンで教会を連想させるし、やたら葡萄出てくるし、アワセる時の「罪」「赦し」という発言もそうです。

姫空木さんは本心を隠し、求められるままにお姫様として振る舞う男です。詰めが甘いのでその本心を時々垣間見ることができるのですが、そのくせガードが固いのでなかなか全体像は見えてこない。
そんな彼の根っこは幼少期から続く「罪と贖罪」「愛されない環境」にあります。
末利花を事故で魂だけの存在にしてしまった姫空木さんは、その罪を償うために末利花と彼女を愛する花神さんに従ってきました。チャリスや周りの大人も彼の水を操る力が目的で育てているだけ。姫空木さんは愛されていないので、愛する方法も知りません。
華園に入り、自分を慕ってくれる水妹にどう接していいかも姫空木さんにはわからなかった。姫空木さんは孤独を嫌います。周囲に人がいて欲しいけど、深入りはされたくない。だから、彼女たちの求めに応じるだけのお姫様を演じるようになります。
求めに応じていれば、ひとりになることはないから。まさに中身のない「空木」です。

そんなみことちゃんと姫空木さんが恋でどう変わるかが姫空木編の見所かなぁと思います。

みことちゃんは家でいきなりうつろひに襲われ、飛び込んできた姫空木さんに庇われます。
そしてまさかの姫空木さんがみことちゃんの谷間にキスするスチル。いくら顔が綺麗だからって会ったばかりの女の子への対応としては0点どころかマイナスすぎる…。がここのみことちゃんはすんなり胸キスを受け入れます。なぜ。姫空木編だから?対くれなゐ様と対応が違いすぎる…!

姫空木さんはみことちゃんから水妹の力を受け取るつもりだったんですが、キスで相手を選定する鬼札が姫空木さんに反応します。姫空木さんとみことちゃんは華アワセでうつろひを退けます。
可憐で華奢で、うつろひに襲われ怯える泉姫候補という特別な女の子。そんなみことちゃんを姫空木さんは「守るべきお姫様」だと感じます。この子相手なら自分は憧れの王子様でいられる。そんな打算を感じます。
はじめてながら健気にうつろひに立ち向かうみことちゃんの強さは丸っと無視して、自分にとって都合の良いおとぎ話とお姫様役をみことちゃんにあてはめます。蛟編集姫空木√を通過していると不穏な気配しか感じないよ。

いろは様が持つ運命を変える力を持つカラクリ命によって、みことちゃんが「自ら望んで華園に編入した」という運命に書き換えられてしまいます。
訳がわからないまま講堂である儀式へ向かうみことちゃんですが、講堂はうつろひによって穢されていました。斧定先生の助力で、蛟さんと組んだみことちゃんが華アワセで生徒を救います。
華アワセ初心者のみことちゃんが穢れの中でも冷静に判断している姿を見て、蛟さんは気丈な女の子だと感じます。姫空木さんとは対照的です。

理事長室で改めて鬼札による選定を行います。が、今回の鬼札は誰も導かず、パートナーは未定のまま。姫空木さんはおとぎ話の王子様役を自ら買って出て、みことちゃんは月光組所属になります。
蛟編と違って横恋慕ではないですけどまたごっこ遊びですか?ってちょっと怖い。そこが好きなんですけどね。

みことちゃんはいろは様がカラクリでアイちゃん、ショウくんを遠ざけたことに心を蔑ろにされたと傷付きます。百歳ちゃんが怒るけど、心を理解しないいろは様には通じません。
そこに現れたのが姫空木さんで、いろは様にみことちゃんを一度帰宅させることと、みことちゃんへの謝罪を要求します。姫空木編なので姫空木さんがちゃんと王子様してる。ごっこだけど。
姫空木さんが華闘を申し込みますが、いろは様は最初拒否します。花神さんの乱入でみことちゃんのキスが景品になった瞬間、手のひら返して華闘を受けるいろは様が可愛いです。

斧定先生にいじめられたみことちゃんを優しくフォローしてくれる葵さんが…申し訳ないけど蛟編と態度違いすぎてちょっと怖い。蛟さんに関わらなければ普通に素敵な水妹の先輩なんだなぁって思うと、蛟編での彼女の結末がより切ないものに思えます。

華闘当日、講堂にくれなゐ様が現れいろは様を姫空木さんより先に倒し、みことちゃんにキスして一方的にパートナー宣言します。いついかなる時も登場して即好感度0になるのがくれなゐ様です。だから好感度が上がるしかない男。
姫空木さんの怒りに呼応するようにうつろひが発生。仇花になった生徒をみことちゃんと姫空木さんでアワセて殺します。傷付いたみことちゃんをフォローする姫空木さんの優しさに、みことちゃんは想いを返したいと思うようになります。みことちゃんはここではじめて、ひとに甘えることを知ります。
このタイミングで入るのが「我が心 焼くも我れなり~」の歌なのが秀逸すぎる。これは嫉妬で言葉の限り罵る長歌に対する反歌なんですが、嫉妬に燃えまくる長歌とは一転してスンッ…となっています。嫉妬に狂うのも恋するのも自分の心なのだなぁ、という歌。くれなゐ様に激しく嫉妬したのにそれを隠してみことちゃんに王子様として接する姫空木さんの屈折した心理にぴったりすぎる。

くれなゐ様との華闘中に倒れたいろは様のお見舞いで、みことちゃんたちは病院に来ています。姫空木さんも体調を崩し、みことちゃんが介抱します。姫空木さんはみことちゃんに王子様とお姫様のお伽噺を教えてくれます。胸にキスってそれ最近どこかで聞いたシチュなんですけど、みことちゃんは「深い意味はないよね」ってスルーします。圧倒的鈍感力。

ところで理事長がくれなゐ様のお尻を叩いてるの想像できなすぎるから、スチルで補完して欲しい。

花神さんの提案で、五光それぞれからプロポーズを受けることになってしまったみことちゃん。
蛟さんはプロポーズそのものを辞退しますが、みことちゃんには興味があるようで図書館で本を読むみことちゃんを観察したり、みことちゃんのために泉姫空さの伝承を調べたりしてくれます。さりげないイケメンムーブが凄い。
そして葵さんが優しいお姉さんすぎて胃がキリキリする…なんで…この葵さんと蛟編で出会いたかった…(無理)

姫空木さんと一緒に、みことちゃんは一度家に帰ります。道中さりげなくみことちゃんをエスコートしてくれる姫空木さんは、かなり王子様役が板についてる感じです。

公衆の面前では「恋人の間違われるのは嫌?」って聞いて手を組ませて、対ショウくんアイちゃんには「恋人に間違われても知らないよ?」って言って離れるところに、姫空木さんの闇を感じます。男版小悪魔という雰囲気の駆け引き上手と見せかけて、本当は身を引いて暗がりでひとり膝を抱える悪魔です。光が強ければ影もまた濃い理論です。

みことちゃんと姫空木さんには「幼なじみ3人組」という共通のキーワードがあります。片や引き裂かれてもまた繋がれる仲良しな3人で、片や自分の罪によって壊れ元には戻れない3人。「ああ、あの場所にはいけないんだって」あたたかい光の中の3人を黙って見守ることしかできないのに、まだおとぎ話のかっこいい王子様でもありたい。だから誰にも気付かれないように庭に隠れていた。
そんな彼に気付き、声をかけるみことちゃん。姫空木さんは家の中には決して入りません。子供の頃から末利花たちの憎悪を受けて育ってきた姫空木さんは愛を知らず、あたたかい光あふれる家の中は憧れの存在です。どう手を伸ばしたらいいのか、どう愛を受けとればいいか、姫空木さんにはわかりません。

みことちゃんには姫空木さんが幻の手(多分水かな?)を伸ばしているのが見えました。みことちゃんは前に自分をフォローし、ぬくもりをくれた姫空木さんに同じものを返します。
みことちゃんは姫空木さんの自虐を否定も肯定もしません。姫空木さんが言うような優しい童話のお姫様のように振る舞うのではなく、ただ人様の庭で座り込みをする変な姫空木さんをそのまま受け入れます。
だって本心を隠してひとりで生きようとする、それが嘘偽りない本当の姫空木さんだから。
みことちゃんは以前甘えさせてくれた分、不器用ながら姫空木さんを甘やかします。

そして姫空木さんをもっと知りたいと思うようになります。以降、みことちゃんの心にあるのはこの場面の姫空木さんです。あたためてあげたいと思わせるカッコ悪い姫空木さんです。
姫空木さんとしても、みことちゃんに本気で惹かれたのはきっとこの場面だと思います。はじめて素の自分を受け入れてくれ、人に甘えることを教えてくれた女の子ですから。
本当の姫空木さんを垣間見て、もっと知りたい、助けたいと思うみことちゃん…恋愛的にいいシーンなんだけど、メール即返信してくるのだけはやめて。蛟編思い出すからやめて。

そして自らの罪に強く縛られている姫空木さんは、みことちゃんとの関係がごっこ遊びではなくなっていることに気付き、距離を置くように提案します。これ以上みことちゃんと距離が近付けば、自分が辛くなるから。
というのは姫空木さんが抱えるものを知ってようやく理解できることで、当然この時点のみことちゃんが聞いても「えっ」て感じです。そして姫空木さんがプロポーズを辞退すると聞いて悲しみます。それが恋だよみことちゃん。

みことちゃんは姫空木さんに何かしてしまったんじゃないかと、不安になって百歳ちゃんに相談します。百歳ちゃんはみことちゃんと姫空木さんにそれぞれ芽生え始めたものを理解して、「プロポーズは殿方だけがするものじゃございませんのよ」と言ってくれます。
この百歳ちゃんの言葉は姫空木編全体を象徴するものです。
蛟編では華アワセ世界の「男の役割、女の役割」的な部分がピックアップされていました。姫空木編ではより近代的に「男らしさ」「女らしさ」よりも「その人らしさ」をより重視しているように感じます。男性なのにお姫様な姫空木さん、女性なのに男の制服を着て王子様と呼ばれる花神さん、おとぎ話のお姫様という役割を脱ぎ捨てて愛する男を救いに飛び込むみことちゃん。性別を越えたその人らしさを表現しつつ、乙女ゲームとして「男」と「女」の恋を描く。それが姫空木編だと思います。
ところで百歳ちゃん結婚してください。

いよいよやってきたプロポーズ作戦の日ですが、ジンジャーTVのADが実は五斗の配下で、みことちゃんの誘拐を狙って襲いかかってきます。
うつろひ電流でみことちゃん含む水妹がほぼ全滅し、絶体絶命のピンチになります。その場を収めたのは電流を一手に引き受けた姫空木さんでした。
いろは様に穢れに満ちた講堂を姫空木さんごと爆破すると言われ、みことちゃんは自分がちゃんとパートナーを選べなかったからだと悩みます。

亡き祖父の言葉で「誰かにしてもらうのではなく、自分からするんだ」と気付き、みことちゃんは運命を受け入れない決意をします。

姫空木さんを助けるために誰に声をかけるかで√分岐。

花神さんからは姫空木さんは特殊な能力を持つ五斗側の人間で、ずっとうつろひを湧かせていた張本人だと聞かされます。このタイミングだけでなく、花神さんはちょこちょこ姫空木さんの悪評をみことちゃんに聞かせてきます。
花神さんというのはとても興味深い人間で、男という存在を嫌悪しながらも末利花の王子様=男として振る舞っています。姫空木さんは末利花に靡かないし、お姫様=女だからパートナーとして我慢できていた。

そもそも花神さんは姫空木さんと末利花に依存してアイデンティティーを確立しています。
花神さんは末利花を心から愛しています。末利花を愛する自分でいたい人間です。器探しをやめることは末利花への愛の否定になるので決してできません。だけど末利花の器探しで、純粋に花神さんを慕ってくれる月光の水妹を殺すことを本当はやめたいと思っていた。
一方、罪の意識に囚われた姫空木さんは盲目的に末利花に従います。まるで花神さんよりも末利花を愛しているように。だから花神さんはそんな姫空木さんを見て、依存して、罪を増やし続けます。その名の通り、花神は相手の鏡映しです。姫空木さんを見て、末利花を愛する自分という存在を確立しています。

そんな花神さんにとって姫空木さんの恋は許せない裏切りでした。姫空木さんはみことちゃんと出会い、男になり、みことちゃんとの恋に踏み出すことで舞台を降りようします。姫空木さんに舞台を降りられたら、「末利花を愛する自分」=「器探しをする自分」は守れません。
花神さんは姫空木さんがプレイボーイだとみことちゃんに吹き込み、破局するようにします。だけどみことちゃんは姫空木さんを信じ、支え、寄り添います。花神さんはそれを見るたびに末利花に従うことに迷いを感じ、愛する者を一心に信じるみことちゃんに嫉妬します。でも結局、嫉妬はしたけど、みことちゃんを嫌いにはなりきれなかった。
姫空木√に分岐した後、みことちゃんは花神さんに、なぜ姫空木さんを疑っていることを理事長に報告しなかったのか質問するシーンがあります。そこで花神さんは自分の嘘に気付きました。花神さんが姫空木さんを売れば、姫空木さんはきっと黙って受け入れます。末利花の側にい続けます。花神さんは末利花に従うのを本当は迷っているのに、姫空木さんは迷わない。花神さんは男のなりをしても嘘をつく「女」です。末利花を崇拝する自分を守るために、結局は姫空木さんを売らなかった。そうでもしなければ自分を維持できなかった。そういう自分の本心に、みことちゃんという水鏡に映った自分を見て気付いてしまった。
花神さんは舞台を降りるつもりがないから、以降は一切迷わず末利花に従います。結果、姫空木√であの結末を迎えてしまいます。悲しい。
この辺の詳しい話は後日談小説を読んで頂ければと思います。





ここから姫空木√へ。

みことちゃんは講堂にいる姫空木さんに会いにいきます。姫空木さんは自分が犯人であることを認め、王子様としてうつろひごとここで死ぬと言い出します。罪が赦されないのなら、いっそ好きになった女の子を守るために死のうということでしょうか。
ここでみことちゃんは蛟編と同じく泉姫の力に一部覚醒。「布瑠の言」を唱えて穢れを払います。「布瑠の言」は魂を呼び出し、死者を甦らせる祝詞のことです。死に場所を探す姫空木さんを呼び戻すにはぴったりの言霊ですね。

みことちゃんは自らパートナーを姫空木さんだと決めました。自分の水の色の世界を全部浄化してみせたみことちゃんに、姫空木さんは「自分の罪も浄化してくれるかも」と希望を見出だし、罪から解放される大きなきっかけになります。
それなりに良いシーンなのにみことちゃんの胸触って「だって大きいし」とか言い出す姫空木さんが変態すぎて可笑しい。ほんとどうしようもない男なんですけどそこが好き!

自分からショウくんの話題を出しておいて「君の口から男の話を聞きたくない」とか言い出す姫空木さんほんとどうしようもない男ですねぇ…。恋愛の不器用さは蛟さんを遥かに上回ってるよ。

いろは様が姫空木さんが五斗側だと疑い、追及するのがちょっと切ないです。いろは様それ絶対私情も混じってるよね…?
蛟さんも蛟さんでみことちゃんを心配してくれます。姫空木さんのことを信じてないって訳じゃないんだろうけど、みことちゃんにわざわざ声かけるのそれ絶対恋も混じってる感情だよね…?

くれなゐ様は月光組の水妹が何人か退学になっていること、それが姫空木さんに水妹の資格を奪われたことが原因だと匂わせてきます。
運命も姫空木さんという人間も自分で見つける覚悟を決めたみことちゃんですが、くれなゐ様の言葉をちょっと気にしてしまいます。それは姫空木さんの今までの行動の因果でしょうね。まだみことちゃんは姫空木さんをすべて見つけられていないから。

迷いを抱えたまま、「それでも姫空木さんを受け止めます」と言い切るみことちゃんが王子様過ぎる。みことちゃんはただのお姫様じゃなくなっているのに、まだおとぎ話の話をする姫空木さんはほんとどうしようもない男ですけど以下略。

月光組の水妹たちがみことちゃんの「パートナー係」就任のパーティーを開いてくれます。実態はくれなゐ様の言葉通り、みことちゃんをダシに姫空木さんと絡む会なんですけどね。
姫空木さんがメイドたちが求めに応じてキスをするので、みことちゃんはショックを受けます。みことちゃんをこの場から逃がしてくれるくれなゐ様がイケメンだしヒーローに見える。これ姫空木√なんですけど。

更に姫空木さんがメイドを抱きしめ、「君の体が欲しいんだ」と声をかけているのを目撃してしまいます。くれなゐ様の言葉もあり、みことちゃんはショックを受けます。
だというのに当の姫空木さんは「君と僕のパーティーなのに、唐紅先輩とこんな人気のない場所にいたのはなんで?」と言ってきます。なんでじゃないよあなたのせいだよって全プレイヤーが突っ込んだと思う。くれなゐ様が「てめえを棚に上げて~」って言ってくれるのがありがたいです。くれなゐ様はセクハラ以外の言動は真っ当なんですよね。

姫空木さんは本当は水妹を誘拐するような真似をしたくはないけど、末利花や花神の手前仕方なくやっている。だから自分のことを棚に上げたつもりはないし、くれなゐ様と一緒のすぐ手を出す奴扱いされるのは心外なんでしょう。
その気持ちは姫空木√クリア済ならわかるんですけど、この時点のみことちゃんには通じないよって誰か教えて上げて欲しい。結局姫空木さんはみことちゃんの気持ちになって考えられていない、自分で手一杯でパートナーを気遣えていないというのがよくわかります。序盤のプレーボーイっぷりは完全に行方不明。
愛し方がわからない不器用男愛おしいと思ってしまう私はダメンズ好きかもしれない。

パーティーの片付けが朝までかかったのに、姫空木さんはその後テニスの練習をしています。
本質的に姫空木さんは優しいから、うつろひ騒ぎに水妹たちを巻き込んでしまったことを後悔して、とても眠れるような状態じゃなかった。

一睡もしていない姫空木さんに、みことちゃんは休むように声をかけます。
このシーンのみことちゃん強いなぁと思います。昨夜の件を蒸し返さずに、今目の前にいる姫空木さんが傷ついていることを理解して、その心に寄り添うことができる。疑う気持ちがあっても、それを秘めてまずは相手を知ること、受け入れることから始める。なかなか難しいことだと思います。
みことちゃんがそういう愛し方を示してくれるから、姫空木さんも側にいてくれる人を求めていた。僕を好きなら僕だけを見て。と本心を告げてくれます。
みことちゃんの受け入れる愛を知り、姫空木さんは罪を振り切って踏み出すことを決めます。

このシーンの直後に「恋ひ恋ひて~」の歌が来ます。愛をおねだりする姫空木さんがあざと可愛くてちょっときゅんとします。

アイちゃんの言う「絶対信用ならない男」の特徴に全部当てはまる姫空木さんです。ここの姫空木さんは体を要求してきて女の子側が断ったら冷たくなる、割と最低男ムーブしています。なのにみことちゃんと喧嘩した…って部屋に引きこもって蛟さんに相談します。不器用にも程がある。
男であることに目覚めた姫空木さんはみことちゃんと男女カップルらしいことをしたいと思うんですが、みことちゃんの想いを理解しようとしないからこういうことになります。死ぬほどめんどくさくてどうしようもないんですけど、姫空木さん推しだからそういうところも好き。救いようがないのは私です。

ここの蛟さんが「世迷言を垂れる男のために、自分は身を引いた覚えはない」「お前が動かないなら自分がいく」とみことちゃんへの恋を自覚しててすごくかっこいいんですよね。蛟さんはいつも王子様感を見せてくれます。
自分がメインヒーローでもなかなかかっこいい王子様になれない男、姫空木さんとの対比がいい。ここの友情すごく好きです。

うつろひショウくんとの戦いで枯渇を起こしたみことちゃんを、全裸で治療してくる姫空木さんがあまりにも変態すぎて感謝しかない。言葉は回りくどいのに、肉体言語的な分野ではあまりにも積極的な姫空木さん。ありがとう世界。

姫空木さんは蛟さんに言われたことを考えて、ようやくみことちゃんに想いを伝えてくれます。周囲に求められるままにしていたお姫様は、ここでようやく愛の捧げ方を知り、みことちゃんの愛を失いたくないと思います。愛とは水妹の水でもあります。水妹のみことちゃんを愛して、「君の水が似合う男になりたい」って素晴らしい口説き文句ですね。大好き。
みことちゃん側も、全部はダメだけど恋人として触れてほしいって言って受け入れてくれるの可愛すぎますね!キュンキュンする。

姫空木さんはチャリスや末利花との因縁から逃れるつもりがありません。赦して欲しいと願いながら新たな罪に苦しむことになっても、決して末利花を殺した罪から逃げません。だからこそ、今度こそその罪を精算するためにみことちゃんにいなくなる可能性の話をします。
両想い確定直後になに言ってるんだ、って初見だと思いますけど、姫空木さんの内面がわかっていれば自然な発言です。むしろ誠実であるとさえ思えます。
ショックで泣いてしまうみことちゃん。そこにみことちゃんを泣かせたと勘違いして割って入ってくるいろは様は、やっぱり私情もマシマシなんじゃないかなぁ…。

先の言葉通り、姫空木さんはおとぎ話の時間を終わらせて姿を消します。
百歳ちゃんからは姫空木が月光の水妹を殺し阿波花理事長を誘拐したと聞かされます。

ここでもいろは様は姫空木さんを率先して疑い、みことちゃんを監禁し、姫空木さんのキスマーク(大量)を発見するという地獄みたいな展開に。声だけで背筋が凍る。酔った勢いだけじゃないですよね。

蛟さんは姫空木さんが犯人という断定に少し迷っていたようでしたが、みことちゃんから姫空木さんを信じると聞いて粛清の覚悟を決めます。
次の犠牲者を出さないためにと言いながら、本当はみことちゃんのことも少し頭にありそうな蛟さん…。蛟編蛟√の姫空木さんと似た雰囲気ですね。親友同士っていい。

みことちゃんはくれなゐ様とジンジャーTVに乗り込みます。チンケな変装メガネのくれなゐ様可愛いです。連れていくたったひとりの水妹にみことちゃんを選んだつもりなのに、「私はあなたの女じゃないからってことなんですね」って返されるくれなゐ様がちょっと不憫です。鈍感。

大会中、末利花の命令で全員の水を吸い取った姫空木さんは、みことちゃんまで意識不明にしてしまい後悔します。
阿波花理事長を捧げれば末利花は満足し、姫空木さんは解放される。そう思って手を汚したのに、末利花はみことちゃんを器に望んだ。結局一番大切なみことちゃんを失うことになり、姫空木さんは泣きます。ここの演技が素晴らしくて切なくなります。
やっぱり彼は罪から逃げない。姫空木さんは自分を卑下しますけど、私は強い人だなあと思います。

姫空木さんの事情を知り、みことちゃんは魂を呼び出す「布瑠の言」を自ら唱え、意識を取り戻します。姫空木さんを知ったみことちゃんは、改めて姫空木さんを受け入れますし何なら「逃げても捕まえに行きます」宣言します。みことちゃん強い。

姫空木さんは因縁の末利花と対峙することを一度は決心します。が、月光組の水妹のうつろひに遭遇して姫空木さんは取り乱します。贖罪のために新たな罪を重ねて、延々と赦されないのは辛いことです。
末利花からの憎悪を受けて、女性が苦手になったことを隠して暮らしていた姫空木さんが痛々しい。そんな姫空木さんを「姫空木さんの罪は、私の罪です」と支えるみことちゃんはまさに天使、エンゼルです。そこのお姫様と結婚して。
それを受けてもう一度足掻こうとする姫空木さんがかっこいいと思えました。姫空木さんがかっこいいシーンはとても珍しいです。

花神さんの攻撃で致命傷を負った姫空木さんを、みことちゃんが泉姫に覚醒して救います。さらっと呼び捨てにしてくる姫空木さんがイケメン感出してる。

姫空木さんは蛟さんの証言や泉姫覚醒の功績で罪を赦されます。温室で殺されていた水妹については後日談小説にフォローがあるのでぜひどうぞ。
このままハッピーエンド!な雰囲気だったのに突然泉姫の着物を脱がしにかかる姫空木さんは本当にどうしようもない男ですね…。これSwitchに移植して大丈夫?

みことちゃんと姫空木さんは魂だけで水の色の世界に行き、末利花と決着をつけようとします。
花神さんは泉姫による救いを拒否し、器を棄てていました。結局最後まで末利花を選ぶ王子様であろうとした花神さん…。
それにしても、みことちゃんは殺して姫空木さんは生かしてやろうって。どこまで行っても姫空木さんは王子様じゃないんだなあとしみじみ思う。そんな彼が覚醒するのは後日談小説なのでぜひどうぞ。

花神さんはきっと本心では、みことちゃんの言う通り末利花を救って欲しいと思っていたんじゃないかなと思います。だけどそれを認める自分は自分ではないから、心の誠のままに生き死のうとした。
ここで詠む歌は三島由紀夫の辞世の句2首のうちのひとつ。もうひとつは歌自体の雰囲気ががらっと変わっていて、花神さんの別の一面を思わせて興味深いです。歌による「匂わせ」が姫空木さんとそっくりなのが面白い。

誘拐された阿波花理事長を救うために、末利花と戦います。けれど姫空木さんは末利花と戦うこと、つまり己の罪が永遠に赦されないことを恐ろしく思い、戦うことができなくなります。
「ひめくん」は末利花を殺してしまった罪がずっと赦されていませんでした。赦しを待ち奈落に囚われたまま抜け出せない彼に、みことちゃんは「助けに来てくれるのを待っている」と声をかけます。
罪を赦されるのではなく、罪を受け入れて生きる王子様として、姫空木さんはようやくここから始まります。めんどくさい男好きです。一生みことちゃんと支えあって生きて欲しい。
ツキの半身くんが言う「ひめたる空木に想いを咲かせる」って言葉が素敵です。

末利花の魂が去った後、名探偵百歳ちゃんによる解決編が展開されます。
疑われやすい姫空木さんと花神さんを隠れ蓑に、五斗側として暗躍していたチャリスが斧定だと明らかになります。不穏な言葉を残してチャリスは退場し、姫空木√はハピエンを迎えます。

いろは様がみことちゃんが姫空木さんを受け入れようとしたシーンを2回とも見ていたことをさらっと告白してきます。ストーカー力高い。片想いを秘める蛟さんがちょっと切ないです。
みことちゃんに白い華の表現が好き。それって姫空木さん(=卯の花)だよね。好き。

ようやく姫空木さんがみことちゃんの家に入ってきてくれて、感無量という感じてすね!ショウくん相手に遠慮しなくなった姫空木さんが生き生きしていて素敵です。

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