華アワセ姫空木編蛟√感想 親友だけど大嫌い

姫空木編蛟√のネタバレがあります。







蛟編とは少し違う、積極的な蛟さんが見られる嬉しい√です。掟にガチガチに縛られた蛟さんにとっては、みことちゃんが鴻鵠組にいないからこそ素直に恋ができるのかもしれません。
心のままに生きてその結果をすべて受け入れる蛟さんが漢らしくもあり、切なくもあります。

ついでに姫空木さんと蛟さんの友情とそれに挟まれるみことちゃんがたっぷり楽しめるので、私のヘキにクリティカルヒットします。蛟さんが√はじめでみことちゃんを襲ってるシーン(語弊)を姫空木さんに見られてからの敗北エンドとか最高じゃないですか?

という私の戯れ言は忘れてください。

蛟さんと姫空木さんはお互いのことをよく知っていてとても仲良しです。ですがその実お互いを羨む関係です。友情と妬みを両立しているので、非常に微妙なバランスで親友でいられています。だから、そこにみことちゃんが絡むとあっさり壊れてしまう。
ハッピーエンドなら友情を保ったままいられるのは、実はすごいことなのかもしれません。

蛟さんと一緒に姫空木さんを救出しに行くことになります。が、温室に溢れてきた電気に穢されたみことちゃんは枯渇を起こしかけ、蛟さんが服を脱がせたり舐めたりします。いきなり超展開です。ここでも目は閉じているって主張する蛟さんが可愛い。
そしてそれを自力で講堂のうつろひを突破した姫空木さんに見られてしまいます。みことちゃんのパートナーは蛟さんになり、葵さんには避けられます。いきなり地獄みたいな展開で辛い。ここが奈落か。

姫空木さんは蛟さんとみことちゃんの恋を応援しようとしてきます。姫空木√をやっていればわかりますが、罪に囚われたままの姫空木さんは、みことちゃんと距離を置くことで自分が役目を果たすときに傷付かないようにしています。罪から逃げることを決して選ばない姫空木さんは、みことちゃんから逃げることを選んだということです。みことちゃんの方はもう、姫空木さんだけが好きなのに。

金時花、ショウくんからアドバイスを貰い、みことちゃんは花伐に押しかけて蛟さんと一緒に戦います。枯渇で倒れたみことちゃんに蛟さんが処置をして、姫空木さんに「恋人みたい」と茶化されるの辛すぎませんか?目の前で香りに興奮するとか好きとか会話されてめちゃくちゃ傷付くし気まずいみことちゃん…。

花伐中、葵さんの残留思念に触れた蛟さんは枯渇で倒れてしまい、姫空木さん指導の元みことちゃんが処置をします。みことちゃんは至って真面目なのに、「そこに僕がいないのが残念だ」とか言い出す姫空木さんがあまりにも残酷すぎる。こんな状況だけど蛟さんの目は閉じている主張と「後ろを向いていてくれないか」があまりにも可愛くて複雑な気持ちです。蛟さんはいつも健康的で良いですね。

蛟さんは葵さんの気持ちを理解してないし、姫空木さんはみことちゃんの気持ちを理解してないから各方面が拗れてて悲しいです。
姫空木さんに「自分の好きな子が、違う女の子を勧めるなんて男にとってはきついんだ」と言われて、みことちゃんが言い返したら恋心に気付かれて振られるとか…あまりにもみことちゃんが不憫すぎる。ばいばいって寂しそうに言うのやめて欲しい。ずるいから。

蛟さんが心からパートナーを大切に扱ってくれるから、みことちゃんは姫空木さんの優しさを恋と錯覚していたとまた傷付きます。
姫空木さんを想って泣くみことちゃんを見て、蛟さんはパートナーを姫空木さんに戻そうと言ってくれます。聖人かな!?蛟さんが惚れさせに来てます。でも、振られたみことちゃんは姫空木さんのことを想うからこそ戻れない。
ここまでみことちゃんに一線引いてきた蛟さんも、みことちゃんが本気で姫空木さんと離れようとしていることを知り、キスをして正式にパートナーになります。蛟さんに足を踏み外させてる気しかしない。

その後、ちゃんと姫空木さんに「いいんだな」とちゃんと確認する蛟さんが誠実で好き。それに比べて姫空木さんはみことちゃんの気持ちを勝手に暴いた上で振り、蛟さんとみことちゃんを祝おうとし、挙げ句の果てには蛟さんとみことちゃんを恋人扱いします。
みことちゃんの恋心をこれでもかという程踏みにじった上、蛟さんに強烈に嫉妬しているので救いようがない…。「心のままに生きる」といった蛟さんと、心を表面上殺して生きる姫空木さんが対比的です。

殺しても殺しきれない甘さがあるのが姫空木さんで、学園に張られた水の色の世界は姫空木さんの心を映して荒れ始めます。

携帯苦手な蛟さんの意味不明メールが可愛いです。まあこれが勝利エンドで地獄を演出してくるのに一役買ってくるのでしんどさもある。

斧定先生からはちゃんと決着をつけろと忠告されます。みことちゃんは自分の気持ちのことだと思っていますが、嫉妬で暴走する姫空木さんを何とかしろって話ですよねきっと。
もちろん鈍感みことちゃんは「姫空木さんが実はみことちゃんが好きで蛟さんに嫉妬してる」なんて知らないので、物語はバッドエンドへと直進します。

公園で蛟さんはみことちゃんに告白しようとしますが、姫空木さんの水の色の世界に閉じ込められてしまいます。
封鎖されている講堂で、姫空木さんはみんなの器を使ってひとりで「蛟さんとみことちゃんを祝うパーティーごっこ」をしていました。相変わらずお人形遊び大好きな姫空木さんはホラーです。ボイスも狂気的でぞわぞわしますね(誉めてる)

姫空木さんは蛟さんを羨ましいと本心を吐露します。運命に縛られていると思い込んでいるのは姫空木さんが罪を赦されようとしているからです。決して消えない罪を受け入れて生きることができれば、心のままに振る舞うことができたはずなのに。
蛟さんが大嫌いなのも本心だけど、泣いている姫空木さんを見るとやっぱり親友でもあるんだなあと思えて悲しいです。

自力で体に戻った葵さんは姫空木さんの行動について「全部自分のためじゃない!」と正論をぶつけます。「誰にも愛される資格なんかない」と言いますが、姫空木さんはみことちゃんの愛を貰ってはじめて愛し方を知る男なので、愛されることは許して欲しい。可哀想というみことちゃんの意見に賛成です。
でもみことちゃんはみんなで死のうとする姫空木さんに味方しません。本当の姫空木さんは学園を守るためにひとりで穢れを引き受ける人だから。蛟さんを友達だと思い、月光の水妹たちを大事にしていると知っているから。
みことちゃんは自分が見た姫空木さんを守ろうとします。

姫空木さんと蛟さんのはじめての喧嘩が好き。ようやく姫空木さんと蛟さんも心から向き合えたのかなと思います。姫空木さんを想うからこそ戦わなければならないことが辛いです。
好きな子を譲れないと叫ぶ姫空木さんを見て、私は好きな子を譲れる蛟編姫空木√の蛟さんを思い出しました。

戦いの勝敗でエンディングが分岐。

勝つと姫空木さんは死に、その水は浄化されます。姫空木さんは綺麗にこの世から消えますが、みことちゃんは心を壊し蛟さんを姫空木さんだと思い込むようになります。
好きと言ってくれないと不満そうなみことちゃんに蛟さんが返す歌2首があまりにもしんどいです。みことちゃんを愛したことは決して地獄に堕ちるような罪ではないのに。心のままに生きた結果をただ受け入れて生きる蛟さんが切ない。

みことちゃんも愛する人がいない現実から逃げながら、向き合えないまま虚構に生きていく。誰も幸せになれない結末が悲しいです。
この続きもまた蛟さんが最高(につらい)のでぜひ後日談小説を読んでください。

負けると姫空木さんは完全に壊れて、自由に、自分のしたいように振る舞うようになります。ここの演技があまりにも狂気的で凄い。
王子様とお姫様のおとぎ話に囚われている姫空木さんは、蛟さんを見届け役にすることでみことちゃんを奪われた復讐を果たします。
蛟さんにあえてみことちゃんの背中を舐めさせる。蛟編冒頭のシーンをめちゃくちゃ根に持っていることを示しつつ、蛟さんに施しという屈辱を与えているのかな。姫空木さんが怖すぎる。才能ある。
ひどいことをしたあとに優しくしてくれるのは完全にDV男の手口ですしそれを「心地いい」と感じはじめているみことちゃんはもう逃げられないですね…つらい…(でも好きなエンドです…)


人間誰しも心を殺しては生きられないけど、心のままに生きることがすべて正しいわけではないということでしょうかね。

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