ニコニコ哲学 川上量生
「ニコニコ哲学」 川上量生
ベンチャー経営者本は様々なドラマをVR的に体感できてよく読んでいるのですが、川上さんはベンチャーというよりも大企業なのですが、大学学部の先輩であったり、僕が初めてベンチャーで動画サービスにチャレンジした時にニコニコ動画を1つの指針にしていたところもあって気になっていた。先日の古本市でゲットしたので読んでみた。
インタビュー形式で書かれているので、物語ではなく掛け合いの調子が多く、少し読みづらかった部分もあるが、同じ技術者出身としては共感できる部分が多かった。
川上さんがやろうとしていることは「テクノロジーを駆使して人間性を追求すること」。
自分で壮大な問題設定をするよりも、課題を与えられたほうがやりやすい。ごちゃごちゃした状況を与えられて、「これをどうする?」というほうがいい。
企画とエンジニアだと企画が偉い。わざとそうして組織を進めたい方に導く。
原理的にどこまでできるかを考える。そこを理解した上でどうするかを判断する。
正義や使命感をビジネスの軸にしない、ただし、面倒を避けるための防御的手法、おまじないとして掲げるのはあり。
興味深いフレーズが色々ありましたが特に心に残っているのはこの2つ。
しょうがないなと思われるポジションを作る。ある種のエクスペクテーションマネジメントではあると思いますが、相手や周囲が「あの人ならそうだよね、(いい意味で)仕方ないよね」と言われるような行動や発言、それに伴った結果や実績を積み重ねていき、自分たちだけの独自のポジションを作るということ。これは組織はもちろんそうですし、個人としてもそうだと感じています。自分ブランド、他と一緒じゃないことを指摘する人もいるが、多少目立つ結果を出している程度だと後ろ指を刺されたり、裏で色々言われたりする。しかし、圧倒的に誰もが認めるポジションを確立すれば、陰口も叩かれないし、揶揄されることもない。さらに自分がそれをいちいち気にする必要もない。
勝つために必要なのは勇気じゃなくて計算。人生一度の大博打や人生の分岐点となるような決断がたくさんあるわけではない。周りが思う大きな決断が博打なのではなくて、その後の細かい博打・決断の積み重ねが大切。サイコロを1回振って終わりというビジネスなんてない。大きな博打のあとにある小さな博打、これをいかにマネージするか、様々な決断の中で、ここをしくじったらおしまいと思えるポイントが開発でも制作でもプロモーションでもある。それぞれについて、しくじる可能性が何%あり、ダメだったときのリカバリーはどういう方法があり、リカバリーできる可能性はどのくらいなのか、こう考えていくと、大きな博打と思われる決断に付随するリスクが細かく分解されていき、ある程度リスクが見積もれる。
そうであると思いながら、それを文章にすることで非常に頭に残る文章となっていました。
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