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テクニオン イスラエル工科大学
2020/2/19
テクニオン イスラエル工科大学へ見学に行ってきました。
テクニオン大学は、イスラエルで最初に設立された国立大学であり、
世界でトップクラスの優秀なエンジニアを輩出しています。
ノーベル賞受賞者が多い世界の大学Top10にも入っています。
詳しくはテクニオン公認組織のテクニオンジャパンのサイトがあるようなのでそちらをご覧ください。
是非、見学してみたいと思っていたところ、今回ビジターセンターがあると教えてもらい、早速問い合わせて訪問して来ました。
1.テクニオン工科大学のあるハイファとは
テクニオン大学はイスラエルの北、地中海に面する地域、「ハイファ」にあります。
ハイファにはイスラエルの主要港であるハイファ港があり、観光地としても有名で、バハーイー教聖地群は世界文化遺産にも登録されています。
また、世界の大手企業のR&Dが集まる「マタン ハイテク&ビジネスパーク」があり、Intel・Microsoft・Google・Yahoo・Appleなど世界大手企業のR&Dが集まる敷地があります。
2.テクニオン工科大学までの行き方
テルアビブからハイファは高速と鉄道でつながっています。今回はテルアビブから電車に一時間ゆられて向かいました。
"Hof HaCarmel"という、ハイファの中央鉄道駅に到着したら、1番の路線バスに乗ります。(※大学行きは他の番号のバスもあるので、駅に着いたらGoogleMapで調べるといいです。)
カルメル山のトンネルをくぐって、坂を上り下りしていると、30分程度でテクニオン工科大学に着きます。
門の前でセキュリティー確認がありますが、路線バスはそのまま構内に入れます。(※自家用車は事前に許可を得ないと乗り入れられないのでご注意。)
3.ビジターセンターについて
今回は大学構内にある、ビジターセンター "David and Janet Polak Visitors Center" と、構内見学ツアーに参加しました。ちょうどリノベーションが終わったばかりだそうで、真新しい設備が見れました。
・ツアーの所要時間は、ビジターセンターと構内案内を合わせて一時間半
・ヘブライ語と英語のどちらかを希望できます
・料金はなんと無料
・開催の最小人数は何人か教えてくれませんでしたが、他のツアーは10~15人ほどの団体さんもいました。
今回は当社ツアーの下見ということで、三人だけでも開催してくれました。
・センターのサイトにも載っていますが、内容がテクノロジーや大学の説明についてで少し難しいため、
お子様や家族向けのツアーではないとのことが書いてあります。
ガイドしてくれたのは学部生でもある、イケメンMotiさん。
テスト期間中ですが、難しいテクノロジーの説明など私たちにできるだけわかりやすく丁寧に説明してくれました。
4.構内マップ
最初は、入り口にある大きなタッチスクリーンで、大学構内を衛星マップで鳥の目のように説明してくれます。
話によると、このキャンパス内にはおよそ5,000人の生徒がレジデンスに住んでおり、全生徒数の30%にあたるそうです。まだこれから増える見込みで、どんどん構内にレジデンスを建てています。
ちなみに、大学設立は1912年ですが、このキャンパス自体は50年前に引っ越ししたらしく、全体的にボロくなっていて、そこかしこでリノベーションをしています。
研究分野ごとの建物にわかれていているのですが、主な分野は、
・純粋科学
・工学(航空宇宙、農業、環境、食品、電気、科学、機械、経営、etc.)
・数学
・コンピュータ科学
・医学・バイオインフォマティクス
・建築 など
海外の学生向けに英語の学士コースがあり、土木工学と機械工学があるそうです。
キャンパス内ではイスラエル人の他にアジア人(主に中国の方)をたくさん見かけたし、コーシャ/ベジタリアン系カフェでお昼を食べていた時は、インドの方をたくさん見かけました。ちなみに構内で日本の男性お二人にもお会いしました。
ところで、スクリーンを見ながらガイドのMotiさんが話してくれた中で、個人的に印象的だったのが、航空宇宙工学の建物を指したときです。
50年前、まだイスラエルが建国して間もなく、中東戦争真っただ中で、移民や食料難などたくさんの不安定な問題があったにも関わらず、当時の政治家たちはすでに宇宙工学に目を向けており、テクニオン大学に研究所を作ったという話。
当時にして、世界の将来がすでに見えていて、イスラエルがどんな位置に立っているかがもう見えていたかのようです。少し鳥肌が立つ話です。
そして実際にイスラエルは2019年、ベレスシート宇宙船の打ち上げで、米国、ロシア、そして中国に続いて月着陸を試みた4番目の国となり、今や世界の中でも航空宇宙イノベーションでは先を行っています。
5.パノラマシアター
次に、360°の画面に囲まれたパノラマシアターに入ります。
部屋がすぐに暗くなり、テクニオン大学のイノベーションの歴史や、取り組みなどを紹介するビデオを英語で10分ほど流してくれます。
360°で囲まれているので、立体的に感じて迫力があります。音楽もドラマティックで、テクニオンがどんな歴史の中でイスラエルに貢献してきて、今度は世界にどんなインパクトを与えてるかを教えてくれます。
6.テクニオン発のスタートアップと歴代ノーベル賞受賞の発明
シアターから出ると、次にテクニオン発の有名なスタートアップと、ノーベル賞を受賞したテクノロジーについて説明してくれました。
例えば、
UBIQUITIN SYSTEM(ノーベル化学賞)
体の中でプロテインを再利用するプロセスを発見
QUASIPERIODIC CRYSTALS(ノーベル化学賞)
固体の構造についての認識を変える「準結晶」を発見。
当時はとんでもないと周りに理解されず、研究所から追い出されたが、その50年後にノーベル化学賞を受賞した、今も教鞭をとる特別教授のダニエル・シェヒトマンさんの話。
ReWork(スタートアップ)
脊髄損傷などで歩行ができなくなってしまった人のために作られた歩行補助ロボット。
世界にせでに進出しており、日本では安川電機さんが販売店になっています。
これらの他にMotiさんが丁寧にいろいろ紹介してくれました。
また個々の部分は別のブログで分けて書きたいと思います。
7.キャンパス案内
ツアーの最後はキャンパス内の案内。案内といってもキャンパス内は広すぎて、とてもじゃないですがすべて歩くことはできません。
また、このキャンパスは山の斜面に建てられているので、坂と階段が異常に多いです。
Motiさんは一年生の時に取っていた講義が、キャンパスの一番標高の高い場所でやっていたらしく、いつも上り下りするのが嫌で、もう二度と取らないと言っていました(笑)
キャンパス内の建物は前衛的で、建物のバランスが不思議だったり、旧校舎の上にムリヤリ新しいフロアを増設している建物をたくさん見ました。
日本では考えられないアイデアの面白い建物がいっぱいあります。
Motiさん曰く、コンピューター科学の学部は、IBMなど大手企業と働いているため、テクノロジーの売り上げがあり、構内でもお金持ちな学部だそうです。建物内に一緒に働いている大手企業の名前が載っているプレートがありました。
学生はインターンとして勉強しながら多くの企業の中で働いているそうです。企業も学生の新鮮な頭脳を得られるので、ギブアンドテイクの関係のようです。
ここの建物だけおしゃれなテラスや、セキュリティゲートが付いたカフェがありました。
また、キャンパス内にはドライブアクセラレーターもあり、テクノロジーの起業を支援します。
夏には学生関係者だけが参加できる、大規模な学祭(?)も行われるそうです。
学生が生活しやすいように、スーパー、レストラン、バー、ジム、映画館、音楽スタジオ、郵便局、ATM、薬局、イベント会場など必要なもにはすべてキャンパス内にそろっています。
それだけでもすごいのですが、特に私が、これはイスラエルらしいなと思ったのは、キャンパス内に保育園があること。
イスラエル人は18歳から男女共に兵役に入り、それを終えたら多くの人が一年ほど海外に行って、自分でやりたいことを見つけてから大学へ進みます。
そのため、入学自体が平均21、22歳くらいからになります。
そうなるともう結婚して子供がいたりする人も少なからずいるそうです。学生の間に産む人もいるそうです。
子育てやお金の不安もあるでしょうが、将来のために学問も優先して、同時に家族も大事にする志向と、周りの理解とサポートが得られる環境が、日本よりかなり先を行っています。
8.最後に
環境が整ったテクニオン大学を通じて、政府、アクセラレーター、企業、スタートアップが知識を育てて、互いに支援しているイスラエルのエコシステムの一部を垣間見ることができて、とても興味深いツアーでした。
ツアーはすべてヘブライ語か英語で、テクノロジーの内容は大人でも難しいのですが、勉強になるので是非とも立ち寄ってほしい所です。