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オーストラリアでの子育て・教育って正直どう思う?①小学校編


私のオーストラリアでの子育て・教育経験

まだオーストラリアに住んで2年弱という若輩者ではあるが、これまで小学校には保護者ボランティアとTeacher Aide(教員アシスタントの仕事)の両方の立場、中学校・高校には教育実習生として、また大学には自分が通う立場としてそれぞれ現場を見た経験から、感じていることを少しシェアしたい。長くなったので、前編である今回は小学校について書いてみる。

小学校

学校の概要


息子はPrepからこちらの公立小学校に通っており、現在Year 1である。Prepとは、日本の年長の学年にあたり、オーストラリアではこの学年から小学校が始まる。

私たちが住むエリアはブリスベンの中でも特にアジア系の移民が多いところ、また評判の良い公立のハイスクール(中高)の学区内にあたるため、比較的教育熱心な保護者が多いエリア。

息子のクラス構成は3分の1から半分近くはアジア系の子供たち。その点、息子が変に浮いてしまうということはなかった。大きな学校なので、1学年だけでクラスの人数は25名弱が7クラスほどある。

去年、今年と担任の先生には恵まれていて、熱心で子供の様子もよく見てくれる先生なので感謝している。

カリキュラム

オーストラリアには国で定められた教科書というものがない。そのため、学校単位で使っている教材やレッスンプランはあるのだが、何をどう教えるのかは学校と教師次第となる。
保護者からすると、「一体学校で毎日何を学んでいるの?」と疑問に感じる人もいるだろう。

一応、アプリで時々担任の先生が授業の様子を写真付きで教えてくれるのだが、日本のようにこの1年で何文字の漢字を学習する、とか二桁の割り算ができるようになる、といった到達目標・指標がふわっとしている。というか少なくとも保護者の目線で見ているとそういうものが存在するのかよくわからない。

教科はLiteracy (読み書き), Math (算数), Science (理科), Design Technology, Digital Technology, Music, PE (体育)など。科目名だけ見たら日本とあまり変わらない気もする。

通知表もPrepから発行される。ここはわりと日本と似ているというか、AとかBなどのグレードとそれぞれのグレードが示す基準、さらに最後に個人あての担任からのコメントがもらえる、といった感じ。

Excursion / Incursion 校外学習・校内学習

高学年になると泊まりのキャンプ学習もあると聞くが、低学年でも近くの博物館に行くなど、年に1、2回は校外学習が企画されている。
大体保護者ボランティアを募ることが多い。

Extracurricular Activities 課外活動

これはかなり充実している。学校にもよると思うが、息子の学校にはざっと20種類くらいは放課後に外部団体が学校で実施してくれるクラブ活動のようなものがある。学期ごとに申し込めるので、毎学期変えてもよし、気に入ればずっとその活動に参加することももちろんできる。

一例をあげると、スイミング、プログラミング、そろばん、サッカー、ラグビー、工作、絵画、ブラジリアン柔術、合唱、ウクレレ、演劇、チェスなど。

学校で行ってくれるので子供の送迎の負担がなく、保護者はこの活動が終わる時間に学校に迎えに行けばよいのも便利。

After School Care 学童

学校によって状況は異なると思うが、息子の学校は学童の供給が需要に全く追いついておらず、希望者はwaiting listにまず名前を登録するところから始まる。常に満員のため、実際に通えるようになるのは数か月先、という状況だ。我が家も最近まで週5で通わせていたが、最終的に月~金まで通えるようになるまでには4~5か月くらいはかかったと思う。

共働きで二人ともフルタイムの場合は下校時間には当然間に合わないので、どうしても学童が必要になる。お金があればシッターを雇ったり、近くに祖父母がいれば頼ったりする人も多いだろう。

ちなみにBefore School Careといって、仕事で早く家を出る人は朝7時から子供を預けることも可能。その場合は朝食も出る。

学童の利用金額は1回25ドル前後。Permanent Booking(定期利用)、Casual Booking(1回限りの利用)かどうかによっても料金が異なり、また収入によって学童の料金は政府が補助を出してくれるのでそこまで高額ではなく利用ができるのは良いところ。

学校が休みの間も仕事をしなければいけない保護者が多いと思うが、Vacation Careと言って終日預けられる。子供がよろこぶ企画もいろいろ用意されている。

iPadに頼りまくる教育が心配

息子の学校、そしてTeacher Aideとして仕事をした公立小学校2校ともに、4年生ごろから一人一人iPadをもって授業に参加する時間が増え、子供たちは教材にiPadでアクセスするし、自分やグループの意見を発表するのもTeamsで行ったりしていたのはちょっとびっくりした。

中~高学年になると、教師・アシスタントが見ていないところではバックグラウンドで授業に全く関係のないウェブサイトを見ていたり、ゲームをしていたり、動画を観たりする生徒も多くいて、この問題は中学校・高校でも散見された。

低学年の授業でも「ゲーム要素」を取り入れたコンテンツが多く(Kahootなど)、短時間だが生徒がiPadを触れる時間もあるし、クラス全体で大きなスクリーンに映されたアニメーションを見たり、ゲームをさせたり、30年前の日本の小学校しかしらない私には衝撃の光景だった。

宿題

宿題はあってないようなもの。これは低学年の息子だけでなく、高学年の友人の息子さんの話も聞いたが、日本のようにドリルもなければ、漢字練習も当然ないので、宿題と言えるほどの課題は求められない。子供にとってはうれしいだろうが、親としては不安にならざるをえないポイント2番目である。

Dress Up

もう一つ、あまり理解できないのが、やたらとdress up(コスプレ)しなければいけないイベントが多いこと。Prepが始まって100日目に100歳(おじいさん・おばあさん)の格好をして登校する日、Book Paradeといって好きな本のキャラクターに変装する日、自分の国を象徴する服を着てくる日、将来なりたいもの(仕事)の格好をしてくる日、First Nations(先住民)の人への敬意を表すNAIDOC Weekで指定された色の服を着てくる日(個人的にこういう歴史的なことは大事だと思っている)・・・数えるとキリがない。基本的にこういうイベントに興味がないので、最初はかなり面倒だった。

お弁当・Tuck Shop (売店)

こちらの小学校は基本的にお弁当なのだが、学校にはTuck Shopと呼ばれる売店があり、事前にオンラインで注文・決済すれば子供が学校で受け取れる仕組みになっている。ちなみにメニューはサンドイッチ、ホットドッグ、サラダ、フルーツ、ピザ、などに加えマフィンやアイスなどのデザートもある。まぁ、普通に不健康なものが多い。当然おにぎりはない。

息子が食べるのがゆっくりなのもあるとは思うが、日本の小学校と比べるとお昼の時間がしっかり確保されておらず、すぐにベルがなって片づけて早く遊びに行きなさいと先生から言われるらしく、お弁当はよく食べ残してくる。オーストラリアは基本的に、食に対してのこだわりが薄い国だと思う(だからおいしい店も少ないんだよね、本当に)。

日本で体験入学をしてきたときには、息子は給食のおいしさにたいそう感動したらしく、「今日もじゃんけんに勝っておかわりできたんだ!」「アジフライがおいしくて全部食べられたよ!」と毎日報告してくるのを見て、日本の良さをあらためて実感したのであった。食育というのはすごく大事だと思っているので、この点は日本の方が確実にいいと思う。


まとめ

iPad使いすぎ問題など、懸念事項はあるものの、楽しく通えている息子の様子を見ていると、一生懸命指導してくれている先生方には感謝の気持ちしかないし、良い友達にも恵まれてありがたいと思っている。

学校での生徒の問題行動(暴言、いじめ、暴力など)、インクルーシブ教育、ICT利用、学力についてはまた別の投稿で私見を述べたい。

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