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【子育て】人はどれくらい周りの影響を受けるのか(5)人材育成と子育て
育成を仕事にしている人へ
前回、と言ってもだいぶ前だが、この子育て編は1~3と4では内容がかなりちがう。
今回は4の続き、子育てそのものについて触れながら、「仕事において人にアドバイスをする立場」の人が必ず一度は悩むことについて、これまでの私の気づきを書きます。
子育てや人材育成、またカウンセラーや各種アドバイザーの行動で悩ましいのは
この一言が相手にどんな影響を与えるか
ということを考えてしまった場合です。
多くの場合、経験を積めば過去の引き出しで流れに合わせてアドバイスができるものですが、初めての子育て、人材育成、その他アドバイスを人にするとき、その一言が相手にどんな影響を与えるのかを気にする人もいるかと思います。
たいだい、そのことを気にするのは時間が経ってからが多いようですが。
私がそうでした。
こんなこと言ったらモチベーションが下がるのでは?
もしかしたらこう言ったら相手は成長するのでは?
将来誤った方向に行ってほしくない・・・
今回は、30年以上人材育成に関わってきた私が、そのことをどのように考え、解決したかを書くことで、あなた自身が解を見つけるための助けになればと思います。
いつものことですが、「これが正解」があるのではなく、「どう考えたか」なので、また長い話になりますがお時間ある方はお付き合いください。
その子が出来がいいのは先生のおかげか
学校の先生や会社で新人のトレーナになると、あとあと気になることに、例えば数年後にその教え子が良い(悪い)成績、業績を出したときに
それは私自身の教え方のせいからか、それともその子の素質か
という疑問があります。
特にそういった疑問を持たない人は「他人が人を変えることはできない」とか「すべては相手次第」といった言葉で、その疑問については考えないようにしているのだと思いますが、私が今回提案する「考え方」は次の通りです。
すべてのものは常に相互作用している
この記事が、以下の記事の直後、9月1日から書き始めているのですが、この相互作用というのはスピリチュアル的かつ科学的なレベルでの話です。
この考え方から行けば、相関関係は「その子に近づくか、遠ざかるか」だけであり、あなた自身がどんなアドバイスをするかは、
その子に近づくと決めた時から、ほぼ決まっている
と言えます。難しいですね。詳しく説明しますね。
影響するとはどういうことか
先ほど紹介した前回の雑談の中で出している結論のひとつに、以下の文章があります。
結局自分が思い通りに生きていけるかどうかは、他人がどう動いてくれるかに依存している、ということが軸になっています。
一方で、そのために自分自身ができることは、他人を何とかするのではなく、自分自身を知る必要がある
この結論の背景は単純ではないのですが、あなたが誰かにアドバイスをする前に、私に何か一つアドバイスを求められたら、こう答えます。
育成とか、成長などという単語に惑わされず、
あなたがどうしたいかだけを考えたらいい
これは、私だけでなく、多くの人が間接的には、同じことを言っています。
自分自身が何かの経験を積もうとしたり、成長しよう、と思うのは「自分自身を奮い立たせるため」には良いことですが、他人から「成長しなければいけない」とか「経験を積む必要がある」と言われるのは、実はアドバイスにはなっていないことが多いです。
なぜなら、もし成長という言葉に意味があるとすれば、それは明確に目指すべき方向、ゴールが定まっているときだけです。
つまり、とにかく成長がしたい、という人は他人にアドバイスを求める以前に課題があることになります。
もしあなたが誰かにアドバイスできるとすれば、考えるべきは「その人が今立っている位置」と「目指すべき位置」を、その人自身が自覚しているかどうかを尋ねることだけ、です。
ここで補足しますが、これはすでに目標が明確な人に対してのアドバイスではないということです。
目標が明確でないのに成長についてのアドバイスを求めてくるということ自体が本来はおかしいのですが、最近そういう人が増えているという話です。
多くの迷い子たちは、目指すべき位置をはっきり認識しておらず、同時に立っている位置、または向いている方向が分かっていないことが多いです。
成長は上に向かうものだと思っている人も多いですが、そもそも分野が違えばまず横に移動する必要がある、ということが分かっていないということですね。
ここでいう「位置」ですが、位置の重要性は私の記事の各所で語られています。
前回の雑談にあった占星術もそうです。
人は、常に周囲の影響を受け続けていて、自分以外をコントロールすることは出来ない。 でも自分が何かをしたい、と考え行動すると、周囲はその影響を受けて結果的にあなたにも影響を及ぼす、ということです。
後から思えば成長した、ということは言えますが、初めから成長を目的とした行動、考えは・・・この時点の私の考えでは存在すらしないということです。
成長はプロセスであって目的ではない
成長、育成、子育て・・・
アドバイザー的立ち位置の人は
成長するためには何が必要か考えてみましょう
若手の育成は必要だからやるべき
子育てを成功させるコツ
のようなことを言ってしまいがちです。
しかしこれらは過程を表す言葉で、目的にはなり得ないということです。
すでに目的が明確な場合は、このようなことを言うことはあります。
しかし、真っ先に「もっと成長したい」とか「なにかいい子育ての方法はないか?」と聞いてくる人たちは、まず目的を持ってないことがほとんどです。これについては、目的を「スキ」と言い換えて以下の記事で詳しく解説しています。
好きの正体については以下の記事で書きました。
以上のことを踏まえて、まだ目的が定まってない人に早く成長したい、というアドバイスを求められたときは、例えば次のように話すことで、過程と目的を分離することができます。
あなたが手に入れたいのはお金ですか?名誉?それともやりがい?
何をいつまでに手に入れたいか、それによってどれくらいのスピードで
成長したらよいかが見えるようになります。
若手をいつまでに一人前にする必要があるか、経営陣で決めましょう。
そのやりかたによって育成に投資する予算、リソースは変わってきます。
お子さんが大人になれば、社会的責任が生じ、あなたの力を借りずに
この世界を生き抜いていく必要があります。
そのためにあなたがお子さんにできることはすべて子育てで、
やり方に悩む必要はありません。
もし悩むようなら、まずはあなた自身がしたいことを
はっきりさせてから、お子さんとの接し方を考えましょう。
あなた自身が自分の人生を生きていることを見せるのも、
一つの子育てのありかたです。
これらはすべて例であって、相手の悩んでいるレベル、つまり立っている位置と方向が定まっているかを見極めてからアドバイスを変える必要があります。
例えば高校2年生の後半くらいに、進路相談でアドバイスするとします。
この時、大学卒業後に何をしたいかまで考えている生徒と、大学卒業後のことなど考えずに、どの大学に行くのがいいかだけを聞いてくる生徒に対するアドバイスは変わってくる、ということです。
現状の学力から「入れる大学」を勧めるのも、将来を決めきれない生徒に対しては選択肢の一つですが、これが現在の日本で「自分で決められない」人が増えている原因なのかなとも感じています。
私はさきほど、
初めから成長を目的とした行動、考えは・・・この時点の私の考えでは存在すらしない
と書きましたが、それは今は違うということです。
このことについてみなさんと共有したいと思います。
子育てにおける親の願い
人を育てる基本が子育てとしたとき、私は例としてこんなアドバイスを書きました。
お子さんが大人になれば、社会的責任が生じ、あなたの力を借りずに
この世界を生き抜いていく必要があります。
そのためにあなたがお子さんにできることはすべて子育てで、
やり方に悩む必要はありません。
もし悩むようなら、まずはあなた自身がしたいことを
はっきりさせてから、お子さんとの接し方を考えましょう。
あなた自身が自分の人生を生きていることを見せるのも、
一つの子育てのありかたです。
これは、仕事における育成も、そのプロセスの先にある目的は一人でやっていけるように、ということだと思います。
一人で何かする、というのは一人で何かを決断する、ということです。
言われたことをただ実行する作業者ではなく、自発的に目標を決める、ということですが、多くの人にとってはこれが難しいんですよね。
なぜか?
自分で何かを決めるために必要なこと、それこそが言語能力の強化であり、言語能力を向上させる手段は環境しかないことは、現在のある技術の発展であきらかです。
それをご紹介します。
AIはなぜ劇的に進化しているか
AIの原理についてはまだ私の記事では深く触れていませんが、今世間を席巻しているAIはディープラーニングという手法で進化しています。
ここで仕組みの詳細は話しませんが、この技術、もし20年前にディープラーニングでAIを作ったとしても、今のような結果にはなりません。
なぜだと思いますか?
それは、教師データが圧倒的に不足しているからです。
ディープラーニングによるAIの成功は、そのAI本体にあるのではなく、何をどれだけ学ばせたか、にかかっており、これがAIの本体自体は比較的公開しているところが多いのに、教師データの方がほとんど手に入らないのは、そちらがAIの性能、個性を決めているからです。
ではなぜ今は教師データが大量にあるのかというと、それは検索サイトの出現により、一か所に世界中の知見が集められたからです。
なので、今ブラウザと検索サイトで世界を席巻しているGoogleとMicrosoftがディープラーニングをリリースできているのは、初めからこれを狙っていた可能性があるのではないか、と思うくらいです。
AIの話を人に置き換えると
AIの話を先ほどの話に当てはめると、相互作用の意味が分かってくると思います。
ここでいうAI本体は生徒、教師データがアドバイスをするあなたとして考えてみてください。
AI本体はどんな構造になっているかというと、簡単に言えば入力データを出力に変換するまでにいくつかの階層を通します。 各階層ではデータをどう演算するか、または捨てるかなどをしています。
実は、このディープラーニングの仕組みをよくよく眺めると、これは教え子たちがしている行動そのものなんだな、と私は以前から感じていました。
それもそのはずで、もともとこのディープラーニングは脳の構造を模していて、コンピュータ科学と認知心理学を専門とする研究者のジェフリー・ヒントンらが2006年に発明したと言われています。
このマガジンの初めに触れていますが、人間の脳自体は実質的にはたんぱく質の塊にすぎません。
いきなりですが、私は、自分が単なるたんぱく質の塊であることは
知識で知っている
脳内を電気が流れていることは昔からわかっていましたし、筋肉の動作にも電気が関わっていることはみなさんもご存じでしょう。(だから心電図が取れる)
ディープラーニングにおける、AIの本体はこの脳の動きを模しているだけです。以下の記事では脳とコンピュータの関係を少し書いています。
では、アドバイスをするあなたが教師データだというなら、あなたはどんな振る舞いをしたらいいのでしょうか?
あなたとその人の関係
そこで、結局初めのアドバイスに戻るわけです。
すべてのものは常に相互作用している
だから、
あなた自身がどんなアドバイスをするかは、
その子に近づくと決めた時から、ほぼ決まっている
さらに言うと、このマガジンの最初の記事ですでにこう書いています。
子供はあなたが思うほど、
あなたの影響を受けていないし
あなたが思っている以上に、
あなたの影響を受けています
ここまで読んでくださったかたに、私の結論を共有したいと思います。
要するに、アドバイスそのものに良い、悪いはなく、ただあなたが相手にアドバイスをするときに、もしその人が大切なら親身になればよいということです。
親身になる、と言うのは家族のように扱う、ということです。
学校や会社の人すべてに対して、親身になるのは不自然です。
しかし実際には、仕事での付き合いから家族同様、またはそれに近い付き合いになることはよくあります。
そこには「縁」というものが働いていて、「縁」とは、つまりその人との距離です。
もし、自分のアドバイスに違和感を感じたら、見直すべきは
私はあの人をどう思っているのだろうか
です。
そこに立ち返ると、うまくいくと思います。
何を言うべきだったか、は考えない方がいい。
なぜなら、違和感が発生するときは、必ずと言っていいほど「あなた自身が何をしたかったのか」が分かっていない場合だからです。
アドバイス通りに動かない相手をどうにかしようと思っていたら、それはもうすでに親身ではないので、その人とは距離を置くべき相手で、アドバイスはしない方がよいと言えます。
アドバイスは、好きな人だけにしておけばよいのです。
子育てを論理的にやるには
ここまで読んで、収穫なし、という人がまだいるとすれば、それは方法論だと思います。その人の期待にお応えしたいと思います。
結局、子供を独り立ちさせる、社員を一人前にする、などはいずれも言語能力の向上しかない、というのが私の見解ですが、それを実践する方法を紹介します。
子供、若手=AI本体ということですから、これはもう「マインドセット」のレベルで、脳内における演算をきちんとさせる必要があります。
私はすでに子供二人を社会人にしましたが、一度もこの考えを外したことはないくらい、徹底した結果、成人として責任ある行動が取れるようになったと思っています。
この子育てを実行するには、「すべての行動前に仮説を立てる」という訓練が最適なのですが、今日は参考になる記事および本の紹介までで終わりたいと思います。(実践はまた機会があれば)
ディープラーニングの発案者が認知心理学の専門だったことと関係しますが、重要なのは教師データの質だけでなく、AI本体の個性でもある、というのが・・・がんばって読めば、なんとなくわかる人もいるかと思います。
いずれ、この本の解説もしたいですね。
最後まで読んでくださってありがとうございました。
次からはある職業の育成編にする予定です。
ではまた!