BRC20と分散型インデックスへの道
ALEX Lab Foundationと@domodataによる共同制作
ビットコインは、その安全性と分散性で長年にわたり最優秀なブロックチェーンとして機能してきました。そして最近では、BRC20トークンを実現するためのOrdinals(オーディナルス)プロトコルが、記憶に新しいなかで他の何とも比較できないほどコミュニティの関心を引きつけています。
ビットコインは、「マネーレイヤー」だけでなく、数億円もの価値が記録され、決済される「データレイヤー」にも進化しています。 BRC20は、まだ3ヶ月しか存在していない新たなトークン標準であり、現在は中央集権的なインデクサが全体のバランス状態を維持する役割を果たしています。
BRC20 Index(インデックス)とは何か?
BRC20インデックスは、BRC20トークンの所有者とその量を追跡するためのデータベースを指します。このデータベースの構築および維持を行っているのがインデクサとなります。全てのBRC20の記録がオンチェーンに存在するとはいえ、なぜ全体のバランス状態が一目でわからないのかを理解することが重要です。
ビットコインは、イーサリアムのような「仮想マシン」L1ではありません。ビットコインのスマートコントラクトは「送金」や「受取」のトランザクションに限定されています。ビットコインのメインプロトコルでは、オンチェーンで分散型アプリケーションを実現するチューリング完全(Turing Complete)スマートコントラクトは可能ではありません。(これは技術的な劣化を意味するものではなく、チェーンのセキュリティを最大限に高めるために自身の機能を制限した結果です。)
この制約はBRC20トークンにも適用されており、これらはJSONテキストファイルやサトシにインスクリプションされた5行のJavaScriptにすぎません。具体例として、今年の3月8日にインスクリプションされ、ツイートされた最初のBRC20の記録をご覧ください。
上記のインスクリプションがデプロイは$ORDIというトークンが存在すると意味します。そして1つのインスクリプションあたり最大1000個までミントが可能である、そして最大供給量は2100万であるうことをを意味します。
$ORDIの制作者には$ORDIトークンを与えません。$ORDIを保有するには、「デプロイ」ではなく「ミント」のインスクリプションが必要で、これにより最大限度に達するまで、インスクリプションごとに最大1000トークンが提供されます。
そして、一度ミントされると、BRC20の転送には「Transfer」トランザクションのインスクリプションが必要であり、この転送インスクリプションが別のウォレットアドレスに送信されます。
もしこれが少し素朴に感じられるなら、それはBRC20がスマートコントラクトの能力を持たずに動作するトークン規格だからです。ビットコインプロトコルはデータを読み取らず、そのためデプロイ、ミント、または転送のトランザクションを「認識」しません。サトシが一つのウォレットから別のウォレットへと移動するだけで、他のビットコイントランザクションと何も変わりません。
インデクサが不在なら市場も存在しない
記事公開時点で、$ORDIの市場価値は約2億ドル($200M)に近づいています。インスクリプションが単にテキストファイルなら、悪意のあるユーザーが再び$ORDIをデプロイし、ミントする試みはどう防ぐのでしょうか?
これこそが、BRC20インフラにとってインデクサが不可欠な理由です。もし「error: $ORDI already exists(エラー:$ORDIは既に存在します)」というオンチェーンコードが動作していない場合、$ORDIが本物か偽物かを判断するのはBRC20マーケットプレイスのインデクサの責任になります。
これを実現するためには、新しいトークン名を「デプロイ」した最初のインスクリプションを確認するために、全てのBRC20トランザクションデータを「読み取り」、インスクリプションするデータベースが必要となります。インデクサは、オリジナルのトークン供給を最大限度までミントしたウォレットを追跡し、ミントが停止した時点を把握し、そして二次市場で「転送」されるトークンがこれらのウォレットに由来するものかを継続的に確認する必要があります。
インデクサが存在しなければ、BRC20マーケットは存在しないと言えます。存在するのは、ほとんど区別がつかないテキストファイルの混乱だけです。
インデクシングの課題
ビットコイン自体は不変で分散型ですが、BRC20エコシステムがオフチェーンのインデクサに依存しているという事実は大きな脆弱性です。中央集権的なエンティティは本質的に弱点であり、特にインデクサの状態が変動していることを考えると尚更です。
現在、インデックス化または識別されていないインスクリプションは「Cursed(呪われた)」とされ、負の数が割り当てられています(一部のユーザーは、新奇性のために意図的にこれらの「呪われた」インスクリプションを作成します)。別の課題は、最近導入されたP2WSHインスクリプションです。
簡潔にまとめると、P2WSHは「Pay To Witness Script Hash」で、通常のインスクリプションと同様にSegwit(証人データ)を使用しますが、Taproot(P2TR)は使用しません。さらに、P2WSHはSchnorrではなくECDSA署名を使用します。
その結果、インスクリプション10366012の後、一部のBRC20インデクサはこの新しいスクリプトを使用するインスクリプションを認識し、他のインデクサは認識しないため、BRC20インデクサ間で分裂が生じます。
これらの技術的な問題による分裂は、主要なインデクサが悪意をもって行動した場合、またはエクスプロイトによって、その影響は深刻なものになることを示しています。
分散化への進歩
BRC20コミュニティの長期的な存続と発展を確実にするために、普遍的に使え、不変性を考慮した分散型インデクサの開発が極めて重要です。
このような分散型で、オンチェーンのインデクサは、不変の立正と検証が可能なスマートコントラクトのロジックを基に、真実の唯一の源を提供するためにオフチェーンのインデクサと協力します。
アレックス(ALEX)チームは、ビットコイン上での最終決済の安全性を確保しながらも迅速なトランザクションの確認を可能にするL2の拡張性を利用して、初のかつ最速のBRC20 Orderbook DEXであるB20を開発しました。
B20の成功は、ビットコインのセキュリティを補足し、そのスマートコントラクトの能力を補うL2ソリューションの可能性を示しています。ビットコイン上でスマートコントラクトを実現するL2ソリューションは、分散化されたオンチェーンインデクサの開発に向けた道筋を示しています。
スタックス(Stacks)のスマートコントラクトレイヤーは、ビットコインとのコンセンサスを共有し、ビットコインの状態を直接読み取るという特徴があります。アレックスチームとスタックスのリーダーは、普遍的で不変なインデクサの構築に積極的に取り組んでいます。
最初のバージョンのリリースは、数ヶ月以内に予定されており、オフチェーンのインデクサからの入力を活用することが可能になります。これにより、多様なオフチェーンのインデクサが同じ真実の源に到達できるようになります。
透明なスマートコントラクトを通じて、オフチェーンのインデクサへの「信頼」の必要性を最小限に抑えることができます。BRC20の標準が成熟し、その可能性を十分に活かして成長していく中で、この目標は実現されます。
ビットコインは、中間者の必要性を排除した信頼性の高い金融取引システムによって世界を変革しました。BRC20においても、ビットコインの倫理がインスピレーションとなり、グローバルなバランス状態を構築し、「信頼(Trust)」との必要性を取り除くことを目指しています。
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