オンチェーン BRC-20 インデクサの構築
インデクサのインデクサ
前回の記事では、BRC-20のために分散型インデクサがなぜ重要なのかについて触れました。要するに、ビットコインはイーサリアムのような“仮想マシン”のレイヤー1ではなく、スマートコントラクトの機能が限られています。このため、BRC-20トークンのトランザクションはブロックチェーンには記録されますが、全体の残高を正確に知るのは難しいので、インデックスの追跡が別途に必要となります。しかし、現在のインデクサは完全に分散型ではないため、悪意を持った利用者からの危険が考えられます。
ビットコインのためのレイヤー2ソリューションであるスタックス(Stacks)チェーンは、スマートコントラクトレイヤーがビットコインのコンセンサスと共有し、ビットコインの状態を直接読み込みます。このことを積極的に活用して、ALEXチームは他のチームと協力し、普遍的で変更不可能な分散型インデクサを開発しており、近くリリース予定です。
オンチェーンインデクサの役割は、BRC20に関連するイベントを全て確認し、オンチェーン契約の残高の状態を更新することです。BRC20の台帳の不変性と検閲耐性が強化されれば、BRC20の採用と拡散は更に進むでしょう。
オンチェーンインデクサ:レイヤー2の特性を活かしたレイヤー1の検証
オンチェーンインデクサは、BRC20の創始者であり、ALEXのアドバイザーであるDomo氏を始め、BestinSlot、OKX、Hiro、Unisatなどの主要なオフチェーンインデクサと共同で開発されました。
この仕組みでは、オフチェーンインデクサがオンチェーンインデクサにイベントを提出し、それを検証します。続いて、オンチェーンインデクサはスタックスチェーンを通じて各取引を確認し、受け入れるか拒否するかを決めます。ウォレットやDAppsは、有効なイベントを確認するためにこのオンチェーンインデクサを参照することができ、これはビットコインのDeFiにおける大きな進展を示しています。
インデクサは、“インデキシングエンジン(Indexing Engine)”のオンチェーン版を独自に実装していません。理論的には可能ですが、計算のコストが高すぎます。そこでインデクサは、コンソーシアムモデルを採用し、アレックスが作成したオンチェーンのスマートコントラクトで、最新のBRC20トランザクションの確認と提出を、オフチェーンのインデクサのコンソーシアムに頼っています。このスマートコントラクトは、以下の方法で検証者たちを監視します。
合意メカニズムの導入
ビットコインのトランザクションが実際にマイニングされたかを独立に確認(この情報は、スタックスのようなビットコインのレイヤー2プロジェクトだけが “Read” できます)
特定のBRC20のイベントで、インデクサのある一定の割合(例:“m-of-n”)が同意した時のみ、合意が成立します。インデクサが正直に行動する動機は、経済的な報酬や彼らの評価にあります。現在、不正行為をするインデクサへの、ステーキング資産からのペナルティ導入を検討しています。
オンチェーンインデクサの必要性について
BRC20のマーケットプレイスは、中央集権的なオフチェーンインデクサに大きく依存しています。しかし、中央集権型のシステムは脆弱で、各インデクサには、性能の低下による予期しないエラーや、意図的な操作、検閲による誤りが生じるリスクがあります。したがって、私たちの主な目標は、合意メカニズムとL2の検証を取り入れることで、この「中央集権のリスク」と関連するオフチェーンインデクサの誤りや操作を最小限にすることです。
例として:
誰かが1 BTCと1000 ORDIの取引を行ったとします。もしBRC20のインデクサにエラーが生じ、誰かの1000 ORDIの有効な送金が、あるサトシに紐づいていると誤って判断されたら、その取引は正常に行われるてしまいます。つまり、不正確なインデクサ情報のせいで、ユーザーの資金が失われる恐れがあります。
したがって、ALEXの協力パートナーは、BRC20の広範囲な適応のためには、オンチェーン基盤で改ざん不可能で検閲耐性を持ったインデクサの設立が不可欠だと考えています。現在、オンチェーンのインデクサーは特定のエンティティへの依存を最小化することを目指しています。このオンチェーンインデクサが依存性を減少させることで、BRC20トークンの不変性はビットコインに近づくと言えるでしょう。
インデックスの意味と、なぜインデクサが重要かについて
BRC20のスクリプトは全てオンチェーンに存在しますが、ビットコインはそのデータを“読み込む”わけではありません。持っているトークン以上を送信しようとしても、エラーメッセージは表示されません。ビットコインが認識するのは、サトシが送られることだけで、他のビットコインの取引と何ら変わりはありません。
このことが、BRC20のインフラにおいて、インデクサが不可欠である理由です。もしオンチェーンのコードが“エラー: $ORDI 既に存在”のようなメッセージを出さないなら、BRC20マーケットプレイスのインデクサが$ORDIが本物かどうかを判別しなければなりません。インデックスがないと、BRC20マーケットは正常に動かせず、区別不可能なテキストの混乱だけが残ります。
そこで、トークンの標準ルールを確立し、それを実現し、Layer 1の制約を乗り越えるためのオフチェーンのインデクサが開発されてきました。これらのインデクサは、BRC20のトランザクションデータ全てを解析し、新しいトークンが初めて“配布”された記録を掴むデータベースが必要です。
また、インデクサはトークンを最大限まで発行したウォレットの追跡や、そのトークンが二次市場へ“転送”される動きを追う能力も必要です。誰もが自分の残高を確認するためのインデックス作成は可能ですが、集中型のインデクサを使う方がはるかに効率的です。
インデクサが中断しても、全データはビットコインチェーンに安全に保存されていることを忘れてはなりません。インデックス作成はビットコインのマイニングとは異なり、取引やその他の記録の追跡のみを目的としており、トランザクションの検証やデータの追加には関係ありません。
イノベーションは続く
暗号資産の歴史において、Ordinals(オーディナルス)は大きなパラダイムシフトをもたらしました。ビットコインは単なる「通貨」の役割から、「データの保存場所」として進化し、その中に刻まれた情報の価値が取引の主体となりました。
ビットコインのブロックに記録されるデータは、暗号資産界において最も安全で、信頼性があり、価値のあるものとされています。オーディナルスは「デジタルアーティファクト」としてのオンチェーンNFTを生み出すだけでなく、ALEXが開発しているインスクリプションデータを通じて、新しいユースケースを生み出しました。
特に評価が高いのは、Domo氏によって提唱されたBRC20という標準です。基本的にビットコインは、全てのサトシがユニークな番号で区別されているため、代替が不可能なチェーンとなっています。その上で、代替可能なトークンを作れるかの実験としてBRC20が生まれました。ビットコインは遅さや非効率性という制約があるものの、BRC20は全2900万のオーディナルスインスクリプション中、2400万もの取引が行われるほど、非常に人気があります。
今年の夏の市場の動きやNFTの価格下落に関わらず、インスクリプションの比率は安定していました。これからのマーケットで、オンチェーン上の最高のインデクサとしてのオーディナルス、BRC20トークン、そしてビットコインL2が大きな成長を遂げることを楽しみにしています。
2023年8月時点で、ビットコイン取引の約半分はインスクリプションに関連しており、オーディナルスのビットコインエコシステムへの影響力は計り知れません。
結論
DeFiの世界はまだまだ広がる可能性に満ちており、その先頭に立つのはビットコインDeFiです。2023年、オーディナルスは前例のないブームを起こし、新しい展望を開くことができました。ALEXはコミュニティからの強い支持を受けながら、NFTの動きがビットコインへと集約されていく様子を実際に見守ってきました。
現在、ALEXはビットコインの制約を乗り越えるべく、Layer 2ソリューションの採用への拡大の時期に突入しています。ALEXはすでにオーダーブックを基盤としたDEX「B20」や分散型ローンチパッドをリリースしており、これらは最良のユーザー体験のためにビットコインのL1とL2を融合しています。オンチェーンインデクサの登場により、BRC20だけでなく、今後出てくるビットコインの新機能でも「信頼(Trust)」の要素を排除することができ、ビットコインレイヤーの利点がより際立つようになるでしょう。
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