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行政書士としての実務と武者修行<経験がすべてを決める>

資格を取って、事務所を開業したからといって、すぐに思い描いていた仕事が舞い込んでくるわけではない。それどころか、何をやればいいのかすら分からず、どの案件にどう対応すればいいのか不安だらけの状態になる。

そんな手探りの中、最初にやることといえば、ひたすら情報収集だ。本を読み、他の行政書士のホームページを研究しながら、自分のホームページを作る。ところが、いくつものサイトを見比べていると、どこも似たり寄ったりで、内容に大差がないことに気がつく。「結局のところ、行政書士の業務ってパターン化されているのか?」そんな疑問が頭をよぎる。

それでも、ホームページを立ち上げると意外にも反応はある。最初の問い合わせが来たときの気持ちは、嬉しさ半分、不安半分。果たして自分に対応できるのか? 何が正解なのか? そんな迷いを抱えながら、試行錯誤の日々が始まる。


即答できない現場——ネット検索と実践のリアル

行政書士の仕事は、どんな相談が、いつ、どこから舞い込んでくるか分からない。電話が鳴る。相談内容を聞く。分からなければ、その場でネット検索。まるで間抜けな話に聞こえるかもしれないが、実際はそういう場面の連続だ。もちろん、書籍や資料を参考にするが、それでも即答できない案件は山ほどある。

しかし、ここで気をつけなければならないのが、ネットの情報が本当に正しいのかどうかという点だ。法改正のスピードは速く、去年の正解が今年の誤りになっていることも珍しくない。そんな時、頼りになるのがAIだ。

今や、士業の仕事にAIは欠かせない。
お客様からの相談を受け、AIと対話しながら情報を整理し、シミュレーションを行う。ときには徒労に終わることもあるが、知識の下地があるのとないのとでは、対応力がまるで違う。とはいえ、情報に先入観を持ちすぎてしまうのは危険だ。最も大切なのは、お客様の話を偏見なく聞くこと。そのためにも、AIやネット情報は「参考資料」程度の位置づけにしておくべきだ。

実際に相談を受けてみると、多くのお客様はすでに自分なりに調べている。ネットで情報を集めたり、知人に相談したり、時には対策案まで考えている。それが正しいとは限らないが、「まったくのゼロから話を聞く」わけではないという前提で対応することが重要になる。


思わぬところからの依頼——遠方案件のリアル

ホームページを公開すると、意外なことに遠方からの問い合わせが増える。例えば、福島の人が九州の中古車を購入し、その名義変更や車庫証明を依頼してくるケース。通常、こうした手続きは地元の販売店が対応するが、遠隔地の案件になると行政書士に依頼が回ってくる。

また、大手の行政書士法人から声がかかることもある
特に地方では、そもそも行政書士がいない地域もあるため、「このエリアで対応できる行政書士が必要だ」と依頼が来るのだ。私自身、大手の相続業務で現地対応を任されたことがある。こうした案件のメリットは、大手のノウハウやマニュアルが用意されていることだ。マニュアル通りに進めることで、大きなミスなく仕事をこなせる。これは、開業したばかりの自分にとって大きな助けとなった。


実務がすべてを決める——「経験」の価値

結局のところ、行政書士として成長するために最も大切なのは、実務経験だ。
どれだけ本を読んでも、どれだけ情報を集めても、実際に手を動かして案件をこなさなければ、仕事の本質は見えてこない

開業してすぐに自分の理想の仕事ができるわけではない。
むしろ、どんな仕事があるのかすら分からず、目の前の案件をこなしていくうちに、自分が進むべき道が少しずつ見えてくるものだ。

最初の問い合わせに戸惑いながらも、試行錯誤し、対応し、経験を積む。
その積み重ねが、行政書士としての「本当の力」になる。

結局、やるしかないのだ。

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いなか侍すげさん|脱サラ×田舎ビジネス×自由な生き方
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