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姑、御用心

私が結婚した相手の家は私から見れば普通のご家庭で特に高級だと思ってはいなかったが相手から見れば私と私の家族は『常識がなく何らかの指導をしてやらねばならん下等な家』と思っていたようだ。
何かにつけてはご両親揃って私の実家にやって来て、『妻の教育をできていない人って思われて恥をかくよって息子に言ってるんです』という事をうちの親に言う。
そうかと思えば、義母は私の娘を誰にも告げずに車に乗せてドライブに行ってしまい、
家中娘を探して大変だった事もあったが、
帰って来ても『だって娘ちゃんが車に乗りたがったから』などと言って悪びらない。
人によって、家によって、常識というのは大きく違うものなのだろう。

夫の家は考えが私とはあまりにも違うので、
ある時からは付き合いきれないと感じ、
マナーやエチケットの本を2〜3冊購入して
熟読。それに載っていないことは何を言われても受け流すことに決めた。

おそらく夫の家ではこちらに意地悪をしていたつもりは全くなく、単に夫が自分の過失は伏せておき私に対する愚痴を面白おかしく大きくして言うものだからご両親としては真に受けてしまって、その都度私の実家に抗議しにやって来たものだと思われる。

しかし当時の私はその話の内容を知らず、向こうの親が真に受けた話をこちらの親も真に受けて『だらしのないひどい嫁である』と全員で私を責めたものだから、心療内科を受診することとなったり不整脈が出るようになったりしてしまった。

長女を出産後、3週間ほど実家の母が来てくれて同居をしたら夫がどういう人なのか真実をわかってもらえたので、この問題は半分ほどは
解決した。自分の親に誤解されるのは、相手の親に言いがかりをつけられるよりもずっと辛い事だったから。

そんな事もあって結婚してからの2年間はなかなかの地獄であったし、子供を産む事も躊躇するくらいだったが、
まぁ、ここで十分すぎるほど悩んで育児について勉強したからこそ乳児育児は割とスムーズにやれたので、必要なプロセスだったのかな、という良い解釈をできなくもない。

第二子の長男が生まれた時、実はその前の週の健診時まで女の子と言われていたのでとても驚いたが、同時に『あ、私、姑になるんや』と思った。
不思議なもので、友人知人の誰に聞いても
ダンナさんの家というのは多かれ少なかれ大抵非常識で『なんや、それ』と思うような話ばかりだ。
しかし当然世の中は同性のきょうだいだけで構成されているわけではないので(夫にも妹がいて、その婚家は妹から見ても私から見ても変だと思う)、自分の親も誰かから見ればおかしな姑になり得るという事だろう。

自分も知らずに嫌な姑になってしまうのではないか・・・。
長男が生まれて、『元気な男の子ですよ』
と言われた時に分娩台で最初に思ったのがそれだった。
2人目で出産にも育児にも多少なりとも慣れて余裕が出て来たせいか、
なんだか1人目の時とは違う種類の不安感が
漂っていた。

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