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多忙なニート、ちょっと愚痴る

バブルが弾けた頃、私は社会人になった。

バブルと言われていた時期にちょうど大学生をやっていたので恩恵は受けていないが、お気楽学生だったので多分今の苦学生さん達からは総スカンを食らってしまうかもしれない。

就職も氷河期に入る直前で滑り込んだ形だ。
働いていたのは比較的大企業で、
帰宅はいつも深夜だった。

そういう人も多い時代だったとは思うが、
終電に近い時間の車両はいつも空いていて
酔っ払いのおじさんに『お姉ちゃんも飲み会かい?いいねぇ』なんて話しかけられたりもしたが、会社帰りに同僚とご飯とか飲みには一度も行ったことがない。

もっとも一滴も酒は飲めないし友達とワイワイやりたいタイプではないので、
この生活そのものには特にストレスは感じないが、元々の体力がなさすぎて疲れて頭の方も働かなくなってきた。

そこで私はちょっと転職を考えた。
会社にではなく、永久就職の方だ。

これ、世間ではなにかと脳内お花畑状態で語られることが多いけれど、
それは私にはとても違和感がある。

それに『腰掛け』くらいにしか思ってないでしょと言われることもあったが、
もともと会社側の方が腰掛けとして採用しているし、腰掛けと言っても別に仕事を舐めていたわけではないし、普通に頑張って、普通に疲弊して、普通に体を壊した。

見た目はステキな『寿退社』かもしれないが、内情は『逃げ恥婚』に近い。

つまり職業としての主婦業を選んだだけの事だった。燃えるような恋愛感情は皆無だが、暮らしているうちにほんわか家族愛が育まれればいいのでは?と思って家庭に入った。

生まれた時から女の子として育てられたわけだし女子校女子大で教育を受けたが、
家庭科はからっきしダメダメで、
情報番組や雑誌で勉強しながら家庭を土台から支えてきた。

私の母はもちろん『昭和のお母さん』だが正社員で働いていた。
令和のお母さんは確かに全員と言っていいくらい外で働いている感じはするが、昭和や平成の人が専業主婦で当たり前という言われ方も、それはそれでちょっと違和感がある。
私の友人も専業主婦じゃない人は多い。

統計上そういう言い方になってしまうのは仕方がない事なのだろうが、人は皆性格も考えも事情も違うのでひとまとめにして批判的に扱われるのは、どの立場でも哀しい。

私は早生まれで小さく内気で、母が働いていて家にいなかったのは正直言って寂しかった。
近所の祖母に預けられたが、なにしろ明治生まれ、優しいおばあちゃんではなく幼少期は暗黒時代だ。
だからと言って、それで専業主婦を選んだわけでもない。

しかし、そのおかげで大学に行かせてもらえたり、盛大な結婚式をしてもらえたり、子供の学費を貸してもらえたりなど
『人生親がかり』みたいな部分も多々あり、感謝の気持ちは大きい。

母は母で寂しい思いをさせたという悔恨の気持ちもあって、私に『子供たちをちゃんとよく見ているね』と言ったりする。

私が寂しいと思うのとは逆に働く親の背中を見て憧れる子も世の中には大勢いるだろう。

正解はない。

正解はないので人の事をどうこう言わないで、自分の選択に誇りを持ちたいものだ。

しかし私がいつまでもグズグスと心の片隅に黒い塊を置いてしまっているのは、離婚する少し前にOECDから専業主婦はニートと言われたせいだ。

確かに言いたい事はわかるが(OECDだからね)

『えーあんなに夜も寝ないで体壊して働いてもニートなんて言われちゃう?』
目から星が出たかと思うくらいの衝撃だった。

昼寝するあたしンチのお母さん、いいじゃないか、なんならOL時代私も昼休みに椅子を並べて昼寝してましたが、何か?みたいな。

『OECDの分際で私の何がわかるッ!』と怒り心頭だったが、子供達に『誰もニートなんて思ってないから(笑)』となだめられ、慰められた。

その後少しして、離婚するときに夫に25年間を労われるどころか私の人生の半分を踏みつけて『俺が働いた金だ』と言われた時には、
やっぱり世の中は金が全てなのかぁと思った。

確かに金がないと生きてはいけないからね。

自分で働いたお金を自分だけで使いたい人は結婚しなきゃいいのにな、と思う。

お金は渡さないで『家とご飯があるならいいだろう』では、奥さんでも家政婦でもなく、
単なる奴隷でしょ。

自分が残業代で年収が高いだけのことを自分の能力と勘違いをしている。
残業は確かに多いが、楽しい飲み会も多い。

もし私が働いて二人で子供の面倒を見た場合、夫は残業ができなくて給料は半減するから結局は年収は変わらず、その上で二人で疲弊する。
自分が自由に飲みに行ったりできるのは妻が家で全てを一手に引き受けてるからなんだけど。

夫は妻が家の事を全部やっていて自分はやっていない事に全く気がついていない。

気が付かないまま離婚して、今でも私が働かないのに離婚で大金を手にしたと思い、恨みを抱いている。勘違いも甚だしい。

こわいこわい(笑)

書いていて私自身も『お金が全て』『働いてお金を持ってくる人が正義』って思っているんだと、
なんとなく思った。

だからニートって言われる事に腹が立つのかもしれない。OECDにも夫にも。

今はOECDにドヤ顔してやりたいくらいの
正真正銘『正しいニート』なんだけど、

どっかの誰かが唱える正しい家庭や社会のあり方とかって、万人には当てはまらなくて、

とても気持ちが悪い。

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