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【落語日記】立川談笑さんの古典改作「ジーンズ屋ようこたん」。

2025/2/20
落語を好きになった感動が大きすぎて、忘れないうちに言語化しなきゃと開設したnoteブログの2本目です。

初ブログは、私のリアル友人以上に落語界隈の皆さんが読んでくださって、ありがたいやら申し訳ないやら…。
何と立川吉笑さんご本人さんもリポストまで。

衝撃がでかすぎて嬉しすぎて。
しばしおかしなテンションになりました笑

思わず京都在住の長女にこの写真と「!」の一言をLINEに送ってしまいました。
本当にありがとうございます!

さて、私が落語にハマったのは昨年11月下旬に京都で行われた長女の学祭での吉笑さんの高座だったのですが、吉笑さんのブログや著書に師匠の談笑さんのことが多数紹介されていまして。
これは聞かなきゃと手にしたCD「薄型テレビ70%off」に度肝抜かれました。

談笑さんのCD、たくさんあってチョイスに迷って。
楽天市場で検索したら
トップに出てきたCDを即ポチ。

全4作品とも度肝抜かれたんですが、全部書き切ると大長編になるので……苦笑😅。
代表して「ジーンズ屋ようこたん」について書きます。
あーでもSF落語「猿の夢」もめちゃくちゃ面白かったので、別の機会に書こう。

ジーンズ屋ようこたんは、「紺屋高尾」という古典落語の改作だそうです。
桂歌丸師匠ら多数の落語家が披露されてきたという名作を、落語を好きになったばかりの私は全く知りませんでした。
そんな知識を知ってたら改良したポイントとかもわかってより落語を深く楽しめるのでしょう。その楽しみ方は先に取っておきます!

平たく言えばジーンズ屋ようこたんは、「逆シンデレラストーリー」です。
岡山のジーンズ工場の職人、久三が人気グラビアアイドルのようこたんに無謀な恋をして、なんと結ばれるというハッピーエンドの噺です。

この噺を私は大きな感動とともに聞いていました。
「落語って、ドッカンドッカン大笑いするだけじゃないんだ。こんな形の面白さもあるんだ」と。

指がインディゴブルー(笑)になるほど岡山でジーンズづくりに取り組む働き者の久三は、社長の嘘も真っ直ぐに信じてしまう純朴な青年です。
3年間で必死で貯めた700万円を使い、社長の協力であの手この手を駆使して2人きりでようこたんに会う時間を作り出しました。
そのひたむきさが、人気アイドルの心を掴みます。
「こんな私をもらってくれますか?」とまさかの急展開。
来年3月15日に契約が切れるから、そのときに結婚しよう、と。

「来年3月15日」はあっという間にきました。
スポーツ紙には「近藤ようこ電撃引退」の文字が踊り、ようこたんは本当に岡山にやってきました。
久三があの日プレゼントした、ジーンズを履いて。

岡山のジーンズって超高級品なんですよね。
相当奮発したプレゼントだったと思います。

ようこたんはなぜ久三の思いを受け入れたのか。
彼女が芸能界の闇にのまれてたからでした。
誰も彼女の心は見ようとせず、スタイルと顔だけを目的に男たちは迫り、彼女は3回も堕胎してしまうという過酷な状況で心を殺しながら生きていました。
(このシリアスなカミングアウトで久三が「グループ抜けたんですか?」とマジボケするのが何ともおかしく。それ脱退や!と私も思いましたわ)
自分のことが嫌いで嫌いでしょうがないと涙を浮かべるようこたんに、「30年でも50年でも僕は待ちます」と言い切る久三。
奇跡はそんなところから生まれました。

この落語は純朴な青年が人気アイドルを射止めた話ではありますが、女性目線で見れば、都会で傷ついた女性が救われた話でもあり。
原典の紺屋高尾も、設定は吉原の花魁に恋する職人とか。
であれば、女性の置かれた過酷さは、なおのことでしょう。
大河ドラマ「べらぼう」の初回にもそのリアルが描かれてましたが、吉原とは華やかさの代償として、女性が心と体を削って生きていく世界ですから。

落語とは「笑撃弾」だけではなく、心を揺さぶる人情も描かれているんだと思った次第です。
ぜひリアルで見てみたいなあ。

立川吉笑さんの著書によると、談笑さんは「噺の本質をつかむ力が優れている」とのこと。
独演会で吉笑さんは談笑さんのことを「本当に優しい師匠」と話されていました。
だからこんな解釈の作品が生まれるんだろうなと納得もしました。
原典知らないけど苦笑。

ところで福井在住の私には、この噺が「ご当地落語」なのにも感銘を受けました。地方が題材の落語、いいですね。
岡山には尊敬する知人がいて、ちょうど先日岡山を訪問したときにこの噺の舞台となったジーンズ産地の倉敷市児島エリアについても話をお聞きしました。
干拓地とのことで、塩分が強い土壌。ゆえに塩に強い綿が育ったんだとか。
冬の瀬戸内海の穏やかな光景は雪国の私の目には鮮やかで。

そんな岡山を思い浮かべながら落語を聞いていた次第です。

岡山の金甲山から臨んだ瀬戸内海。
冬に晴れ間が見れるのは、日々雪に埋もれてる身としては貴重。





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