Tableau入門:データ接続
はじめに
データ接続について
Tableauは、さまざまなデータを解析し、直感的なダッシュボードを作成するための高機能なBIツールです。特に、異なる構造を持つデータを結合し統合できる力がテーマの一つです。
本記事では、Tableauで使用される主なデータ接続の種類を解説し、そのメリットと利用場面を解説します。
データ接続の選択
データを接続する際には、「行レベルで接続」するのか、「列レベルで接続」するのかを決定する必要があります。
行レベルの接続
ユニオン (Union):
複数のテーブルを行レベルで結合する方法。
例: 年次の売上データを統合し、年間の推移を解析する場合。
列レベルの接続
リレーションシップ (Relationship):
テーブル同士を関連付ける方法。必要なときに自動でデータを結合。
例: 複数のテーブルを粒度が違うまま分析する場合。
結合 (Join):
2つ以上のテーブルを共通フィールドで結合。
例: 注文データと返品データを結合し、一つのテーブルで解析。
クロスデータベース結合 (Cross-Database Join):
異なるデータベースやファイル形式を結合。
例: ExcelデータとSQLデータを結合し、分析を実施する場合。
データブレンド (Data Blending):
複数のデータソースを個別に集計した上で結合。
例: 店舗別売上目標と実績を統合して比較分析。
ユニオン
ユニオンは、データを縦方向に繋げる方法です。同じ構造を持つデータを統合するのに適しています。
どんな時に使う?
年ごと、月ごとに分かれた同じ構造のデータを統合したい場合。
例:2023年売上データと2024年売上データを一つにまとめたい場合。
選択のポイント
同じフィールド構造を持つデータが複数ある場合に適しています。
データを縦方向に統合することで、分析の範囲を広げたい場合。
フィールド名が異なる場合は「一致していないフィールドをマージ」することで簡単に統合可能。
作り方
データソース編集画面で、ユニオンしたいシートを選択しドラッグ&ドロップします。
「ユニオンの編集」を選択して、複数のテーブルを追加します。
統合された結果を確認します。
注意点
同じ構造が必要:統合するデータは同じフィールド名やデータ型を持つ必要があります。
フィールド名のマージ:異なるフィールド名がある場合、「一致していないフィールドをマージ」を使用して統一します。
リレーションシップ
リレーションシップは、データを柔軟に繋げる新しい方法です。Tableauが自動的に適切な結合方法を選択してくれるため、データを効率的に扱うことができます。
どんな時に使う?
複数のテーブルを組み合わせたいが、重複データを避けたい場合。
結合やデータブレンドの代わりに柔軟な方法を試したい場合。
選択のポイント
データ量が多い場合や、分析中にクエリパフォーマンスを最適化したい場合に向いています。
LOD(詳細レベル)計算が必要な場合。
異なる粒度のデータを同時に使用したい場合に適しています。
作り方
データソース編集画面に、結合したいシートをドラッグ&ドロップします。
Tableauが自動的にリレーションを構築します。
必要に応じて、共通フィールドや結合タイプを編集します。
注意点
共通フィールドが必要:結合と同様に、共通のフィールドが必要です。
柔軟性が高い:複数の粒度を扱えるため、LOD(詳細レベル)計算も可能です。
結合
結合とは、複数のテーブルを共通のフィールドをキーにして横方向に繋げる方法です。例えば、「注文データ」と「返品データ」を結合すると、一つのテーブルとして分析が可能になります。
どんな時に使う?
共通のフィールドが存在する場合(例:注文IDや顧客IDなど)。
同じデータソース内に複数のテーブルがある場合。
選択のポイント
共通フィールドが確実に存在し、データ型も一致している場合に最適。
データが1:1または1:多で関係している場合。
テーブル間の関係が単純である場合。
作り方
Tableauでデータソースを開きます。
左ペインから、結合したい最初のシートをドラッグ&ドロップします。
次に、結合するシートをドラッグ&ドロップし、共通フィールドを指定します。
例えば、注文データと返品データで「注文ID」をキーに指定します。
注意点
共通フィールドが必要:結合するデータ間に共通のフィールドがないと結合できません。
データ型の一致:共通フィールドのデータ型が一致している必要があります(例:文字列、数値など)。
重複に注意:データが1:1で対応していない場合、値が重複して正しい結果が得られないことがあります。
例:同じ商品が異なる品種で登録されている場合、重複して集計されることがあります。
クロスデータベース結合
クロスデータベース結合は、異なるデータソース間で非集計データを横方向に繋げる方法です。例えば、ExcelファイルのデータとSQLデータベースを結合する場合に使用します。
どんな時に使う?
データが異なるファイル形式に保存されている場合(例:CSVとExcel)。
複数のデータベース間でデータを結合したい場合。
選択のポイント
異なるデータソースを統合する必要がある場合に使用。
結合条件が単純で、データ量が多すぎない場合が理想的。
データ間の関係が緩やかである場合に適しています。
作り方
最初のデータソース(例:Excel)をドラッグ&ドロップします。
「接続を追加」をクリックして、新しいデータソース(例:CSVやSQL)を選択します。
ドラッグ&ドロップで結合したいシートを追加し、共通のフィールドを指定します。
例:商品IDや顧客IDで結合。
注意点
結合の基本ルール:通常の結合と同じく、共通フィールドとデータ型の一致が必要です。
パフォーマンス:異なるデータソース間で結合を行うと、クエリの実行速度が低下する可能性があります。
データブレンド
データブレンドとは、複数のデータをそれぞれ集計してから横方向に繋げる方法です。データの粒度が異なる場合や、異なるデータソースを組み合わせたい場合に役立ちます。
どんな時に使う?
データの粒度が異なる場合。
例:商品ごとの売上データと、店舗ごとの売上目標データを組み合わせたい場合。
異なるデータソース間で、結合が適さない場合。
選択のポイント
データの粒度が異なる場合や、柔軟な接続が必要な場合に適しています。
セカンダリデータが必ずプライマリデータに関連付けられることを確認する。
テーブル同士を直接結合できない場合に最適。
作り方
データソースペインで、複数のデータソースを追加します。
各データソースの「リンクアイコン(鎖のマーク)」をクリックして関連付けます。
データを集計してから結合が行われます。
注意点
左外部結合のみ:セカンダリデータ(右側)は、プライマリデータに存在する項目のみが表示されます。
非集計値を扱えない:データが集計されるため、行単位の非集計値は使用できません。
Tableauでは、これらのデータ接続方法を使い分けることで、複雑なデータも効率的に分析できます。それぞれの特徴を理解し、目的に応じた方法を選択してみてください。
まとめと次のステップ
まとめ
Tableauのデータ接続機能を理解することは、効率的かつ柔軟なデータ分析を行うための重要なステップです。本記事では、以下のポイントについて解説しました。
ユニオンやリレーションシップ、結合、クロスデータベース結合、データブレンドといった主要な接続方法の違い。
各接続方法が適している具体的な利用場面。
接続方法ごとの注意点や選択のポイント。
データ接続の種類とその適用方法を理解することで、さまざまなデータセットを効率的に統合し、分析に役立てることができます。さらに、LOD計算やダッシュボード設計といった次のステップに進むことで、Tableauを用いたデータ活用の幅を広げられるでしょう。
Tableauを活用し、データドリブンな意思決定をサポートする分析スキルを磨いていきましょう。
次のステップ
Tableauのデータ接続を習得したら、以下のステップでさらにスキルを磨きましょう。
LOD計算の習得
LOD(レベルオブディテール)計算をを身につけると、より複雑な分析が可能になります。
ダッシュボードデザインの最適化
ユーザーの目的に応じたダッシュボードを作成するスキルを深めましょう。探索型や説明型など、ダッシュボードの種類に応じた設計を学ぶことで、視覚化の質を向上させることができます。
コミュニティと連携
Tableauのコミュニティに参加し、他のユーザーの事例やアプローチを学ぶことで、新しいアイデアや技術を取り入れることができます。
これらを通じて、Tableauの基本スキルをさらに強化し、データ駆動型の課題解決に役立てていきましょう。