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日曜日に起きた忘れられない出来事

小学2年生だった、ある日曜日のことです。
日曜日の父はパチンコや公営競技によく出かけていましたが、それが趣味だったのか、それとも家にいると母に邪見にされるからだったのか、理由はわかりません。でも、この日も父は出かけて留守でした。そして母は、私に知らないおじさんと会わせようとしました。断ろうとしましたが、母はその男に会うよう強引に言ってきました。結局、私はその男の車に乗せられ、昼食を一緒にさせられ、ショッピングセンターに連れて行かれました。

その時、私はせめてもの反発心から、その男にいろんなものを買わせました。文具や、当時好きだった歌手のカセットテープ、いま思えばしょうもない細々としたものばかりでした。それでも、何か自分の中で「こいつに金を使わせてやろう」と思っていたのでしょう。その後、しばらくはその時買ってもらったものを使っていましたが、時間が経つと皆捨ててしまいました。

後になって、その男が実は私の血縁上の父親だったのではないか、という考えが浮かびました。でも、確かめる術はありません。私はおばあちゃん・おじいちゃん子で、日曜日になると、実家の近くにあるおばあちゃんの家に遊びに行くのが楽しみでした。母が、私がおばあちゃんの家に行くのを制止して、その男に会わせる理由があるのであれば、ただの不倫相手では説明がつかないと思いました。

その男の名前は「中島」でした。それからしばらく、その名前を聞くたびに、私は強いトラウマを感じました。今でもその名前を思い出すと、あの日の出来事と一緒に心の中に苦い感情が蘇ります。

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