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弦から管へ:トロンボーン挑戦記#01
挑戦に至った事の顛末をば。
01:ディキシージャズ
自分は20年くらい続いているディキシーランド・ジャズを演奏するアマチュアバンドに所属している。
ディキシーランドジャズとは、ニューオリンズ発祥の古いスタイルのジャズで、陽気な雰囲気が特徴の音楽である。
有名な「聖者の行進(When The Saints Go Marching In)」は死者を明るく天国へ送り出す曲だ。そう、日本人には思いも寄らないまさかの葬式ソングなのだ。
よくある編成はトランペット、トロンボーン、クラリネット、バンジョー、ピアノ、チューバ、ドラム、といった感じで陽気で賑やかなジャズの原点である。
自分はもともとロックギターから始まって大学でジャズ研に入って音楽にどっぷり浸かったまま社会人になった。そんな流れでバンド加入当時は主にジャズ・ギターを弾いていたのだが、「katsuさん、バンジョー弾いてくれない?」のお誘いに二つ返事でホイホイと乗っかったのがきっかけでバンジョーを弾き始めた。
弦から弦への持ち替えは、チューニングの違いに多少戸惑ったもののなんとか形にはなっていた。
02:バンド育休と復帰
なんちゃってバンジョー弾きとして活動していて数年後、結婚して子どもが生まれたタイミングでバンド活動の自粛が余儀なくされた。
ディキシーっぽさの一つであるバンジョーが居なくなるとまずい、ということで昔から親交のある友人であるベーシストに声をかけたところ彼も二つ返事で代打を快く受けてくれた。彼も「求められれば何でもやる」系のなかなかのフッ軽である。
「育休」という形でバンドから離れ、気づいたら10年くらい経っていた。
下の子供が小学校中学年くらいのタイミングで再びバンドに合流。
03:復帰後の微妙なバンド編成
再びバンドに戻ってから迷走が始まる。
復帰後のバンド編成になにか違和感を感じた。
なぜかといえば、1つのバンドにバンジョーは二人も必要ないから。
仮によっぽど個性の異なるテクニシャンを二人擁してバンドのウリにすることはできるかもしれないが、なんちゃってバンジョー弾きが二人いてもどうにもならない。
しかも自分はブランクが永く、もう一度バンジョーを覚え直さないといけないレベル。
そこで、代打のバンジョーはそのままに、そして楽器浮気性の自分は以前から好きでいじっていたバンジョーウクレレに持ち替えてお茶を濁して参戦することになった。(知らない人は何だそれ?って感じだと思うが知りたい人はググるなどしてください。)
そのままライブを1回行ったところ、メンバーから「katsuさんもともとギターなんだからギター弾けば?」と言われ本職に戻った。
そうして、バンドのコード楽器はピアノ、バンジョー、ギターという組み合わせになった・・・ちょっとまて。
ジャンジャカジャンジャカ鳴らす楽器がさすがに多すぎませんか?と気付いた。
少人数編成のコンボバンドでは通常コード楽器は1,2種でお腹いっぱいである。
しかもうちのバンド、慢性的なフロント楽器不足にも悩まされている。トランペットは常に居るがトロンボーンが原因不明で長期休み、サックスは半永久的な育休、かろうじて若手クラリネットを引っ張ってこれたくらい。
残りの楽器は低音楽器としてスーザフォン、そしてパーカッションとドラムが居る。
つまり
フロント:トランペット、クラリネット
コード:ピアノ、ギター、バンジョー
ベース:スーザフォン
打楽器:パーカッション、ドラム
という編成でフロント2人、バック6人という前が軽くて後ろが重すぎる編成である。どう見ても後ろが豪華すぎる。
ということをライブ映像を観てしみじみ感じた。前が淋しい。バンドとして見たときに、もうちょっと華がほしい。
さて、このバンドのバランス問題を前に、自分が次に取った行動は……? ついに「弦から管へ」の大転換が始まる! 次回、「トロンボーンへの第一歩」をお楽しみに。