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第1夜 鏡越しの自撮り

私にはトラウマがある。
それは鏡に映った自分の写真を撮ること。
時々、SNSで自分を鏡越しに自撮りをしている写真をみることがあると思う。
その行為が私にはとてつもなく怖いのである。

当時、10代の私は実家の自室で悩んでいた。
年頃の女の子であった私、
初めての異性とのデートに着ていくコーディネートが中々決まらない。
あれでもない、これでもない。着ていく服がない。どうしよう。
お洒落に疎かった私が一人で悩んでみても一向に埒が明かないので
友達に相談してみることにした。
なんだかんだでそういう時間が一番楽しい時期。
友達も快くアドバイスをしてくれる。

「その服着て写真撮って送ってよ」

全身の写真を撮るとなると携帯の内カメラではうまく撮ることができない。
そこで自室にあった化粧台の鏡に映して写真を撮ることにした。
この化粧台というのは祖母のお下がりの年代物、
長方形の鏡があり、その下に台と引き出しがついている。
ドレッサーというより化粧台という単語が似合うような古いものである。

明るさやピントを調節し、いざシャッターを押そうかなと思ったとき
なぜだかどうしようもない嫌な予感がする。
焦りにも似ているその感じ
例えるなら今日提出の課題をやり忘れていて、先生に提出してと言われてから課題があったことを思い出したときのような。
じわりと冷や汗が出るような。

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