好奇心
道端でカラスが死んでいた。
道路の真ん中で胸の辺りから血を流して倒れていた。口が開いていたと思う。
実家から甥っ子が遊びにきていて、駅まで送る途中だった。
なんとなく、ちびっ子には見せない方がいい気がして、彼の目を覆って通り過ぎたが、
「しんじゃったカラスみたかったのに!」
と、後から散々ぐずられた。
見せてやった方がよかったのかな。
縁起が悪いとか、子どもには刺激が強いとかが頭をよぎっての行いだったが、これらも所詮後付けの理由で、なぜ自分がちびっこにカラスの死体を見せてやらなかったのか、よく分からない。
彼のことを慮るのだったら、生物は死ぬのだと教えてやる方が良かった気がする。
何かの本で、
現代人は身近に死がなさすぎる。人は当たり前に死ぬし、大概はよく分からないまま死んでいく。
今の死刑制度は改めるべきだ。ひっそりとどこがで、誰かが刑を執行するのではなく、民衆の面前で殺すべきだ。そうすりゃアンチとかも減るぜ。
命の実感が湧くからな。
的なことを読んだ。多分。
タイトル好奇心なのに、全然それについて書いてない。支離滅裂波。
カラスの死体、初めて見たなあ。
何で死んだんだろう。
鳥って車に轢かれるのかな。
人だってこんな風に、特に理由なくへろっと死んじゃうんだろうな。
ああ、恐ろしき無関心。
ムルソーはカラスの死体を見て何を思うのかしら。
母と甥を駅まで送った帰り道では、カラスの死体はもう無かった。
昨日と今日の大雨で、道路に広がっていた血も洗い流されていた。
もうカラスがどこで死んでいたのかも正確には思い出せない。
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