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新卒カード捨てたら初任給54万になった話

新卒カードを捨てた


新卒カードをなくしたら一生いい企業に入れない

そんなことをtwitterで嘆く人は多いし、実際そうなのかもしれない。新卒カードを使いたいがために就職浪人と称して大学5年生を送る学生もいる。1年分の学費を余分に払う価値があるということか。

そんな中私は新卒カードを自ら捨てた。
東証プライム企業の最終面談に招待いただいていたが、それを拒否した。他の企業もよかったが全部蹴ったり途中で落ちたりした。大学4年で内定なしだ。
東証プライム企業に入っていたらある程度の給与と社会的地位はほぼ保証されていたようなものだ。コンプライアンス的にブラック企業ではないだろうし、おまけに家から近い。親からも怪訝な目で見られた。

「なにが不満だったの?」親は聞いてくる。
私の答えは1つ。このまま就職したら社内の「私」という人材としての優位性が保てないことがはっきりわかっていたからである。

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新卒採用と強い履歴書


新卒一括採用は続けるべきかという議論がSNS上でされている。個人的には続けるべきだと考えるが、それは国全体のことを考えたときに新卒採用があったほうが安定するから、というだけの話である。私自身の就活では新卒枠で採用してもらうことにためらいがあった。

新卒枠は基本的に何も仕事ができない前提で採用される。ということは学歴と資格のスペックが重要な判断材料になる。適性検査や性格調査等を受けたこともあったが、あれが本当に採用判断に大きな影響を与えているのだろうか。多分補助的なものだろう。

また、私はいわゆる ”強い履歴書” を大学時代に作ることができていた。
学歴フィルターに引っかからない高校と大学を卒業し、英検準1級とTOEIC910という新卒にしてはめずらしい資格を保有していた。

自分から「入社したいです!」と相手に履歴書を送りつけておいて非常におこがましいが、この "学歴と資格だけで判断されている感" が非常にひっかかった。なぜなら私が入れかえ可能な人材として扱われるからである。

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就活生の3つの敵


就活の動画や同級生を見ていると不思議に思うことがある。
この人たちは 「同期の応募者の中で1番をとりたいのではないか」 と。
同期の応募者の中で1位を取れればほぼ採用されるだろうから、これは一見理にかなっている。だけど中長期的に見て本当にこれでいいのだろうか?

私は就活するとき、3つの "敵" を設定していた。
1. 今年応募してくる人材
2. すでに社内にいる人材
3. 来年以降入社してくる人材

この3つの全ての敵に対して自分という人材に優位性がないと、中長期的に見て会社にいる価値がなくなってしまうのではないかと思う。

これはフリーランス時代に痛いほど実感していた。自分が誰かに仕事を取られたり、逆に誰かの仕事を奪ったり。フリーランスたちは流動性が高いのでこういったことが日常的に起こる。正社員はここまで流動性がないにしろ、「仕事の奪い合い・価値のある人材の入れ替わり」はおこるのではないだろうかと考えた。

入社後に自分の人材としての優位性が確保できるのであれば、昇給や人脈という形で労働への対価を最大化しやすい。逆に優位性がなければ一生月収20万円のままで窓際社員になりえる。

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海外に人生を全ベット


大学4年生で内定なし。
私は一夜にしておちこぼれになった。周りが内定して遊んでいる中、私はあまり穏やかではない日常をおくっていた。
親には心配された。安くない教育費をかけて22年育てた結果が内定なし。本当に親不孝な人間だったと思う。

ただ、完全にノープランでプライム企業を蹴ったわけではない。実はこの時期に国内での就活と並行して国外での就活も試みていた。Linkedinでプロフィールを作り、英語圏の人材派遣会社とやり取りをしていた。最初は英語での面談にも苦戦していたが、徐々に面接に受かるようになっていた。

私はこれに人生を全ベットすることにした。

今から考えるとリスキーだった。せめてプライム企業に入った状態で海外就活を続けてもよかったのではないかと思うが、"若いしどうにかなるだろう" という何の根拠もない楽観主義で全て切り捨てた。

ここで不都合な事実が立ちはだかる。
海外企業は中途採用が99%で、既卒が絶対条件の場合がほとんどだった。
この当時はまだ卒業しておらず、扱いとしては高卒と同じだった。結局大学在学中に内定をもらうことはできなかった。内定なしのまま卒業した。

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内定がないまま大学卒業


国内の就活を切り捨てた結果大卒の無職が爆誕した。世間体は最悪である。しかし私の心の中は割とすっきりしていた。今まで "学位がない" というしがらみがあったせいで思うように進められなかったのである。これで準備は整った。

Linkedinのプロフィールを最新版にし、リクルーターからの返事をひたすら待った。面接を進めていくうちに自分が持っている以外な優位性に気が付いた。

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忘れていた自分の価値


私はこれまでの面談で自分のスキルであったり経験をアピールしていた。もちろんこれは大事である。実力主義なのでスキルがなければ雇ってもらうことはできない。

ただ、私は重要な特技を1つ見落としていた。日本語である。
純日本人として22年生きてきたのでネイティブレベルにしゃべることができる。カジュアルな場面、ビジネスの場面、読みも書きも全く問題がない。これは大きな強みになることがわかってきた。

日本語がまあまあできて英語ができる人は実は意外といる(JLPT N2とN1を含めると)。しかし日本語を完璧に話せて尚且つ英語がある程度できる人は少ないのである。

日本人の中で英語を話せる人は7%と言われている。日本語を完璧に話せる人は日本中にごろごろいるが、その大半が英語を話せないということである。帰国子女のような人たちは読めても書けないことが多い。ここでも純日本人が優位になる。

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作戦変更


そうと分かれば作戦変更である。実はこれまでの目標は、過去のスキルを使って英語100%の企業に入ることだった。これだと英語ネイティブ圏の人たちと比較されるようになり、非常に疲弊する。

でも "日本に進出したいが日本語を満足にできる人材がいない会社" はどうだろうか。この条件なら、前述した人材としての優位性は最高、完全に替えが効かない人材になる。給与や雇用条件の交渉にも有利に働く。

日本はオワコンと言われて久しい。実際30年も給料が上がっていないので終わっているのかもしれないが、経済水準で言うと世界中の大半の国よりも高い。日本市場に参入したい海外企業も当然存在するのである。

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日本からEUへ


この作戦に沿ってLinkedinのプロフィールを更新して少し待ってみた。そうすると明らかに連絡をしてくる会社が変わってきたのである。

今までは初歩的な翻訳やコールセンターなどAIでもできそうなものばかりだった。方向転換してからはマーケティングやウェブサービスの会社など、やってみたいなと思う職業が増えた。作戦変更は正解だったのである。

そんな中、スマホアプリを開発しているEUベンチャー企業から連絡があった。しかも公用語は英語とロシア語。日本人なんているわけがない。この企業と面談してみることにした。

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内定と驚きの初任給


面談はたった2回だった。1回目は人材派遣会社との顔合わせ。2回目はのちに私の上司になる人物との顔合わせだった。両方とも20分ほどで終了。

面接自体は大して難しくはなく、いつも通りこなした。ただ先方は日本語と英語が満足にできる人材を求めて数カ月面接を続けてきたそうだ。面談を滞りなく行える英語力がある時点でかなり歓迎されていた。
さらに、私の過去の経験がかなり使える職場であることも分かった。この2点から先方は私をすぐにでも雇って、面接を終わらせたいと思ってくれたのであろう。

私もこの意向をなんとなく察知したので、割と強気の給与を提示した。3000 - 4000ドル/月である。もちろん給与は先方の予算と相談できることも伝えた。結局2000ドルぐらいに帰着するんじゃないかと思っていたが、思わぬ反応を頂いた。

3,500ドル/月のオファーである

当時のレート(約155円)で額面54万円/月だった。勝利を確信した。
2つ返事でオファーを了承した。

こうして大卒内定なしニートから初任給54万フルリモフルフレックスに大躍進した。

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後日談


こうして家からのんびり月54万円もらえる仕事をゲットしたが、実はこの会社を5か月でスピード退社することになる。その話はまた今度。

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