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テントウムシとの記憶と記録 4.堕罪

≪テントウムシとの記憶と記録 3.想起


4.堕罪

病室に戻り、テントウムシの幼虫だかサナギだかわからないものを調べてみた
簡単に調べただけだが、どうも幼虫からサナギに脱皮するまでの「前蛹」という状態のものらしい

なるほど
子供の頃にカブトムシを飼っていた時の事を思い出した
幼虫が大きくなり、暖かくなり、そろそろサナギになる季節かなという時に白っぽかったはずの幼虫が、何か白っぽいのだけれど古い茶色みを帯びたものといった色合いになり、丸っこくなり、動きが極端に悪くなったものを見た覚えがある
今考えれば不思議でも無い、あれもカブトムシの前蛹の状態であったのだろう
イモムシのような幼虫がわずかな時間でサナギの形にまでなろうとしているのだから、その体の変化はものすごい事であろう
それを今まで「幼虫がサナギになる前に死んじゃいそうな時」という解釈だったのだから恥ずかしい
いや、間違えてはいないのかもしれない
そんなリスクを超えてでも変化しようとしているのだ

その時ふと気づいた
あ、さっき私、幼虫だかわからなくてつついたんだ…
前蛹のテントウムシをつついたのだ
あぁ、私はなんて残酷で強烈な攻撃をしたものか
アリがおそらくだけどもテントウムシの卵を襲ったと知った時に切なさを感じたというのに…
酷い
前蛹だったテントウムシに謝罪したい
つつく前に調べて確認すべきだった
自分が恥ずかしかった
しかし明日その前蛹を見つけられるのか、そもそもいるのかすらわからない
何をしているんだ…と後悔しながらその日は過ごした

To be continue…

テントウムシとの記憶と記録 5.無知≫


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