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The Adventure of Dr.Linn解説

5/29に配信開始予定のGirls Back Teenの新しいアルバムThe Adventure of Dr.Linnの解説をしていきたいと思います。

まずはタイトルの「The Adventure of Dr.Linn」を説明しましょう。
今回のアルバムの最大の特徴が、ドラムマシンである「Linn Drum」を全曲で使用していることなのです。(モチロンDAWでLinn Drumを模した音源を使ってます、実機はとんでもない値段ですので。)
なのでLinnをアルバムタイトルに入れようと思って色々考えてるうちに
ドラムを「Dr」と略してあるのを見てDr.Linnというのを思いつき、Dr.Linnが冒険するアニメってことにしようと思ってThe Adventure ofをくっつけたって感じです。

では早速各曲の解説に入りたいと思います。

1.プレゼント

前作「Da Chee Chee Chee!」もモチロン打ち込みではあるんですが生ドラムの音源で、時間をかけて可能な限り人力のドラムに聞こえるようにタイミングをずらしたり強弱を工夫したりしていました。これは前作に限らずもう何年もやってきてました。

それが今回なぜ突然Linn Drumというどうしたって人力のドラムに聞こえない音源を使い始めたのにはきっかけがありました。

ドラゴンボールの作者鳥山明さん急逝のニュースを見て、ついついドラゴンボールの漫画を読み返し、Abema TVで配信されていたアニメを観てベタにED曲のロマンティックあげるよがあまりにも名曲でガツンとやられてしまったのです。

こんな雰囲気の曲作りてえな!と思って作ったのがこのプレゼントという曲です。
ロマンティックあげるよの雰囲気を出すためにLinn Drumをつかったら非常に好きな音でしたのでガンガン使っていこうと決めたのです。(ロマンティックあげるよのドラムがLinn Drumである確証はありませんが音的にも時代的にもおそらくLinn Drumかと思われます)

シンセサイザーのプリセットで80年代っぽい音を見つけて弾けない鍵盤で鳴らしてるうちにコード進行メロディ歌詞までスラスラと出てきてあっという間に完成しました。

2.The Adventure of Dr.Linn

プレゼントが完成した時点で、全曲Linn Drumを使ったアルバムにすると決めていたので、Linn Drumを使ってる音楽を意識的に聴いているとやはりPrinceにたどり着くわけで、Prince的な変態性の強いファンクを意識して作りました。結果的にどこかYMOの匂いがするなと自分では思っています。

3.悪い下着

Prince的ないわゆるミネアポリスファンクを作るにあたってやはり現代にミネアポリスファンクの匂いをさせるギタリストCory Wongを意識して以前に作って放置されていたギターのカッティングフレーズを使って曲に仕立て上げました。
どうせ裏声でフワッと歌うだけだし歌詞なんてどうでもいいんですが、やはりファンクの歌詞は猥雑じゃないといけないというマナーがありますので、昔夢に出てきてやけに記憶に残っていた「悪い下着」を出発点に2,3分で歌詞を書いてすぐメロディも確定していない状態で歌録りに入りました。

5年以上前とはおもわなかった

4.Little Secret

アルバム制作の中盤に差し掛かり、ここらでゴリゴリのバラードがほしいなと思い曲を作り始めたのですがイマイチいい曲にならなかったのでボツにしたので、かわりになにかと考えて2020年に配信したアルバムSongs About Usに収録されていたこの曲を思い出しました。曲自体は気に入ってたのですが、サウンドとボーカルが不満だったのでこれを機に録り直しました。
歌詞は西島大介さんのディエンビエンフーというベトナム戦争の漫画を読んで作った、珍しく気に入ってる歌詞なのです。

5.妖怪変化

アルバム制作開始したのと同時期にSynthesizer VでAIボーカルを導入して色々遊んでたのですがアルバムとは別にAIボーカルのSaki AIさんに曲を一曲提供するつもりで作りました。

曲名は何か気に入らなかったので変えました。どう考えても妖怪変化が歌詞の中で一番目立つのでタイトルにするべきだろうと思いまして。

この曲でやりたかったことは、シャッフルビートというどちらかというと打ち込みに不向きなリズムを、タイミングをずらしたり強弱を工夫したりせずにベタ打ちの打ち込みだけで、かつ生演奏の楽器もなしでグルーヴ感が出せるかという実験でした。一体グルーヴとは?という話を始めたら戦争が始まるので割愛しますが、ハーフタイムになってるところと普通になってるところがあったりフィルを工夫したりで不思議とグルーヴ感を感じました。

作ってみたらなかなかいい曲になったし、自分で歌っちゃおうということでキーを変えて歌いました。

6.Disco24

ギターとベースとドラムとメロディだけ作って長年放置されてた曲を今なら形にできそうだと思って再トライした曲です。

聞けばわかると思いますが思いっきり山下達郎スタイルのファンクです。「BOMBER」「SILENT SCREAMER」「メリー・ゴー・ラウンド」あたりそのものですね。間奏のカッティングソロは達郎さんのライブで必ずある達郎さんのカッティングソロタイムを意識してますね。

作ったときよりカッティングがうまくなかったので成立しなかったのがなんとか成立させることができるようになったので成長を感じて嬉しかったです。

7.Superman

Prince的な変態ファンクシリーズの一環です。歌詞はモチロン、メロディもコード進行もどうでもいいので俺のギターのカッティングを聴いてくれっていう曲です。

とはいえ歌うからには歌詞がないと歌えないので考えました。
英語風に適当に歌ってて「I'm Superman」というのがハマったのでそれを引っかかりにして作りました。

Supermanを訳すと「超人」manをsuperしてるってなりますが、「超」super男「man」っていうテイストに訳しちゃおうという発想です。

ファンクの歌詞、猥雑じゃないといけない論もあり、男性性の象徴である男性器のことをバカっぽく歌うことでマチズモへのアンチテーゼとしたわけです。

というのは嘘で、チンチンについて歌ってたらウケるなってだけです。

いい感じの変態ファンクになったのでシングルとして配信してブーメランパンツにコートを羽織ってクネクネ踊って歌うMVを作ろうかと思ったけど思いとどまりました。

8.毒にはならない

今回のアルバム制作はなかなか調子がよくて、この曲もエレピを暫く弾いてる内に歌詞までスラスラと出てきました。

曲の一番盛り上がるところに唐突に蕎麦が出てくるのはsyrup16gのex.人間のオマージュです。

イントロはグレン・キャンベルのWichita Linemanからの引用です。

↑のライブ映像初めてみたけどめちゃくちゃ良いな!ギターめっちゃ良い!と思ったけどよくかんがえたらこの人元々レッキング・クルー(フィル・スペクター作品やビーチボーイズetcのレコーディングメンバー)の一員だったもんな。

9.G.F.M

Frankie Valli & The Four SeasonsのDecember, 1963 (Oh, What a Night)のようなポップでディスコな曲を作ろうとした曲です。

基本のドラムパターンはそのまま引用ですね。
前作のアルバムの流れで作った曲なので元々普通に生ドラムの音源で作ってたんですが、このアルバムに合わせてLinn Drumに差し替えました。

G.F.Mは大サビで歌ってるGreat Funky Musicの略です。Great Funky Musicって曲名だとあまりにもダセえなと思ったので略しました。

10.Never Ending Summer

仮タイトルがずっと「2021年夏」となっていたのでおそらく2021年の夏前に作ってて、そのときは生ドラムの音源にピアノ2台、パーカッションにアコギ4本くらいにエレキも2本くらいいれたいわゆるウォールオブサウンド系統のアレンジだったんですが、なんか歌える気がしなくて放置されていた曲です。

転機となったのが先述のSynthesizer VでのAIボーカルの導入でした。
とりあえず使えるようになったからなんか歌わせてみたいということでふと思い出したこの曲で試すことに。あくまでAIボーカルのテストなのでアレンジをバッサリシンプルに、今のモードであるLinn Drum、シンセ、ベースだけにしてやってみたら思いの外良かった。

こうして客観的に聴けたのがよかったのか、急に自分でも歌いたくなってキーを下げて歌ってみたら良い感じになってハッピーでした。

AIボーカルに歌わせると一度客観的に聴けるので歌入れが早く、そして良くなることに気づきました。あと、歌詞を書くのもすごい早くなります。一文字一文字打ち込んでは歌ってみてもらえるのでサクサク歌いまわしなどを試行錯誤できるので非常に便利です。

この曲と「Little Secret」「妖怪変化」「Disco24」「毒にはならない」は自分で歌入れする前にAIに歌ってもらいながら歌詞を作ってから歌入れしました。以前の作品や今回のアルバムでもAIに歌ってもらっていない曲に比べてボーカルのクオリティが上がったんじゃないかと自分ではおもっています。

以上全10曲、ぜひお聴きください!


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